パクリ怪人現る

ぽむ

パクリ怪人現る(脚本)

パクリ怪人現る

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パクリ怪人現る
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〇教室
  キーンコーンカーンコーン
まい「おっはよー。 宿題やってきた?」
ゆうと「そりゃもう。バッチリだょ。 トモヤくんのおかげでね。」
まい「トモヤは勉強できるからなぁ」
ともや「そんなことないよ。 たまたま塾で習ってたところと 同じものが出てたからだよ。 ドリルで出たところは、全部終わってるし」
「頼りになるう〜」
  私はマイ。小学四年生。
  ユウトとトモヤは、同じマンションに住んでいて、クラスも一緒。
  私達はいつも一緒だった。
あきら兄ちゃん「おぃ、そこのブサイク。」
まい「ブサイクって誰のこと?」
あきら兄ちゃん「お前しかいないだろ」
ゆうと「あっ、向かいの団地のアキラくん。同じクラスだったっけ?」
まい「知ってる人?」
ゆうと「前に同じクラスだったんだ」
まい「ふーん。知らないなぁ・・・ でもなんでアンタにそんなこと言われなきゃいけないわけ?」
あきら兄ちゃん「ブサイクはな、ブサイク税を払わないといけないんだよ。 だから、なんか持ってるモノよこせよ」
まい「なにそれ、バッカじゃない。 あげるものなんてないわよ。」
ともや「君も、そういうことを言ったらいけないよ」
あきら兄ちゃん「うるせーよ。バーカ。 少し頭が良いからって、良い気になってんなよ。」
  タッタッタッ
まい「行っちゃった。 なにあれ」
ゆうと「すぐにケンカしてくるし、 人のものを欲しがるから、みんなから嫌われてるって聞いたよ」
まい「そりゃそうよね。 まったく困っちゃうわ」
  キーンコーンカーンコーン
  
  「授業をはじめまーす」

〇教室
  キーンコーンカーンコーン
  「きりーつ」「れーい」
  「せんせーさよーならー」
まい「はー、やっと終わった。 ゆうと、ともや、 一緒に帰ろ、帰ろー。」
ともや「あれ、宿題のノートがない・・・ あれがないと宿題できないし、 困ったなぁ。」
まい「しょうがないなー。 一緒に探してあげる」
ゆうと「先生が持ってたりは、しないよね?」
ともや「たぶん・・・ さっき返してもらったと 思うんだけどなぁ」
まい「一応、聞いてみようか。 職員室にゴー!」

〇散らかった職員室
  トントン
  「失礼しまーす」
まい「中西せんせー! いますかー?」
中西先生「あら、横田さん、どうしたの?」
まい「あのね、田中トモヤくんが、宿題のノートが見つからないって。 もしかしたら先生が持ってないかなー とか思って聞いてみたの。」
中西先生「そう。 ちょっと探してみるわ。 でも全員に返した気がするのよね」
中西先生「やっぱり見つからなかったわ。 仕方ないから、代わりのノートで代用してもらえたらいいわ。 はい、ノート」
ともや「ありがとう中西先生。 それじゃ帰ります」
中西先生「気をつけて帰ってね。 最近、なんか変な人が出るって話も聞いたから」
ゆうと「変な人?」
中西先生「そうなの。特に公園に出るって。 気をつけてね」
  全員「はーい」

〇公園のベンチ
あきら兄ちゃん「やったぞ!ツトム。」
弟つとむ「どうしたの?兄ちゃん」
あきら兄ちゃん「秀才田中トモヤの、 宿題のノートを手に入れたぞ! これを書き写せば、 俺たち宿題しなくてすむ!!!」
弟つとむ「やったぜ!兄ちゃん!!! 兄ちゃん天才!!!」
  「パクる子はいねがー」
弟つとむ「・・・今の何?兄ちゃん」
あきら兄ちゃん「さぁな」
パクリ怪人「パクる子はいねがー!!!」
「ぎゃーーー でたーーーーー」
弟つとむ「・・・って、誰?」
パクリ怪人「我が名は「パクリ怪人」〜〜〜」
「パクリ怪人?」
パクリ怪人「人のものをパクる悪い奴は オイラが「パクッ」と 食べちゃうぞ〜」
パクリ怪人「ンガー!!!」
あきら兄ちゃん「ヤバイ、逃げるぞツトム」
弟つとむ「わかったよ兄ちゃん!!!」
パクリ怪人「まてーーーーーー」
  ドスドスドスドスドス

〇広い公園
  ハァハァハァ

〇大樹の下
  ハァハァハァ

〇池のほとり
  ハァハァハァハァ
あきら兄ちゃん「こ、ここまでくれば 大丈夫だろう・・・」
弟つとむ「兄ちゃん、疲れたよ〜」
パクリ怪人「おまえら〜」
あきら兄ちゃん「きゃーーーーーーーー!!!」
  ドスドスドスドスドス

〇住宅地の坂道
まい「でさ〜 キャハハハ」
あきら兄ちゃん「わーーーーー 助けてーーーーーー」
まい「あ! アイツラ、私のことバカにした奴らだ!!!」
まい「だーれが助けてやるもんか。 バーーーカ」
  バサッ
あきら兄ちゃん「わーーーーーーーん」
パクリ怪人「パクる奴は! パクッて食べちゃうぞーーー!!! 喰ってやるーーーーーーー!!!」
  バタバタバタバタ・・・
  ドスドスドスドスドス
まい「あら、行っちゃった」
ともや「あっ、これ僕のノートだ」
ゆうと「アイツらが、持ってったのか」
まい「あんにゃろーーー。 喰われちゃえ。悪いコトした天罰だぞ。」
ともや「いや・・・とはいえ 怖いけど、喰われたらマズくない?」
ゆうと「しかたないから 僕らで助けにいくしか」
まい「えーーーーーヤダ。」

〇交番の中
おまわりさん「それで?」
まい「・・・というわけで、 変な人が出たので 知らせに来たのです〜」
おまわりさん「わかった、直ちに向かおう。 君たちはもう遅いから、 早く帰りなさい」
  全員「はーい」
まい「って素直に言う事を聞くと思う?」
「全然、思わない・・・」

〇狭い畳部屋
弟つとむ「ウエエェェン 兄ちゃん怖かったよぉ〜」
あきら兄ちゃん「なんとか家に帰ってこれたから、 もう大丈夫だろう」
あきら兄ちゃん「かぁちゃんは、まだ帰ってこないし 早く寝よーぜ。」
弟つとむ「うん」
  「トントン」
弟つとむ「・・・兄ちゃん、なんか音しなかった?」
  「トントン」「トントントン」
  「トントントントントントン」
あきら兄ちゃん「誰がドアを叩いているんだろ・・・」
あきら兄ちゃん「絶対開けないぞ」
弟つとむ「うん、兄ちゃん」
  ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
弟つとむ「兄ちゃん・・・」
  「ンガー」
  「泣く子はビネガー!!!」
弟つとむ「ヒィイイイイ」
あきら兄ちゃん「アイツだ・・・ 絶対ドアを開けんなよ」
弟つとむ「うん兄ちゃん!!! ウエエェェン」
パクリ怪人「ンガーーーーーー!!!」
  バリバリバリバリバリバリ
パクリ怪人「食べちゃうぞーーーーー!!! 喰うぞーーーーーー!!! いただきまーーーーす!」
あきら兄ちゃん「わーーーーーーー ドアを壊してきたーーーーー もうだめだーーーーーー」
  バーーーーーン
まい「そんなことじゃないかと 思ったのよ。 先回りしておいて、よかったわ。」
あきら兄ちゃん「お、お前ら なんでここに?」
まい「ちゃんと今朝のこと、 ワタシに謝ったら、 助けてあげるわ」
あきら兄ちゃん「わ、わかったよ。 悪かったよ、ごめんよ・・・」
まい「二度と人のものをとったり、 バカにしたりしません!返事は?」
「二度としません〜」
まい「しょうがないわね」
まい「ほら!!!怪人!!! よくみなさいよ!!! パクられてなんか、いないわ!!! パクる子は、どこにも、いないのよ!!!」
パクリ怪人「ンガー。 パクる子は、いない・・・ パクる子は、いない・・・」
パクリ怪人「パクリ怪人、 パクらない子は食べない・・・ 帰る・・・」
  ドスドスドスドスドスドスドス
まい「やっぱり。 帰っていったわ」
ともや「パクリ怪人は パクル子だけを 狙ってるって聞いてたからね」
ゆうと「話が通じる怪人で良かった」

〇交番の中
  警察署にて。
おまわりさん「さてと」
おまわりさん「どうして、 そういうことをするんだ? 住所は?名前は?」
パクリ怪人「なまえはパクリ怪人、 怪人は、パクる子食べる・・・」
おまわりさん「え?」
パクリ怪人「パクリ怪人、パクられた・・・」
パクリ怪人「パクるコは食べる・・・ いただきまーす」
  パクッ
パクリ怪人「ンガー」
  パクリ行為には、
  お気をつけください
  
  ね?

〇ストライプ
  おしまい

コメント

  • 子供達と怪人の、勧善懲悪の可愛らしい物語と思いきや、まさかのオチ!そっちの「パクる」のことですかー、気持ちよくやられました!

  • パクリ怪人本人がナマハゲのパクリじゃないかという事実は置いておいて、なかなかシュールな展開で楽しめました。女の子が一番落ち着いて対処していてそこだけ妙にリアルでしたね。

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