パパが私のマスコット!?(脚本)
〇黒
魔法少女。それは奇跡を起こす存在。
古今様々な少女達が不思議な力を身に付けて
魔法で様々な困難を解決してきた。
しかしもし、困難の元がとても身近でそれも魔法少女だからこそ解決しない問題だったらどうだろう?
今から始まる物語はそんな困難に直面する少女のお話。
〇川に架かる橋
あいまいみぃ「魔人覚悟しなさいッ。 魔法少女あいまいみぃ参上!!」
魔人 デンデン「にゅふふふふふ。」
あいまいみぃ「ダメ、キモチワルイィィィッ!」
モッキ・チィ「あいまいみぃ、魔人は『イジイジえなじぃ』ひねくれた心を力にしてるっちぃ。 悪口は逆に相手を強くしてしまうっちぃ。」
あいまいみぃ「だってキモチワルイものはキモチワルイんだもんっ!」
あいまいみぃ「パパなんてこのヌメヌメと一緒で大嫌いッ!」
モッキ・チィ「魔法少女の時は二人の正体は隠して欲しいっちぃ。」
ー時は少し遡るー
〇学校の校舎
〇教室の教壇
同級生A「今週の魔法少女プチチュア見た?」
同級生B「見た見た!今週チュアイエローが大活躍だったよね。 私もあんな魔法使ってみたいなぁ。」
同級生A「アニメの女の子ってどうしてあんなに可愛いんだろうねー。」
九龍 シュナ「小学5年生にもなってアニメの話なんておこちゃまですわね。」
姫岸 クウコ「確かにちょっと恥ずかしいかも。」
舞葉 アイミ「だ、だよねー。 いつまでも夢見てたら恥ずかしいもんね。」
九龍 シュナ(??)
九龍 シュナ「今日帰りに駅前に行きませんこと? 新しいショップが開店したらしいですわ。」
姫岸 クウコ「いいねいいね。 お小遣いじゃ買えないだろうけど、覗くだけならタダだもんね。」
九龍 シュナ「アイミさんはどうしますの?」
舞葉 アイミ「ゴメン。アイミは今日用事あるからパスするね。」
姫岸 クウコ「用事があるならしょうがないか。 じゃあまた今度一緒に行こっ。」
舞葉 アイミ「うんっ!」
〇可愛い部屋
ーアイミの部屋ー
(TVの音)
『プチっと解決!プチチュアだよっ♪』
―――友達にはああいったけど。
本当はテレビに映っているような魔法少女になるのが夢だった。
強くて、可愛くて、優しい魔法で皆を幸せにする存在。
素敵な仲間達やマスコットと一緒に、
悪いヤツをやっつけるそんな毎日に憧れてる。
アイミちゃん、下でパパがお話があるって呼んでるわよ。
舞葉 アイミ「ママの声だ。 パパのお話ってなんだろ。」
〇明るいリビング
舞葉 茂吉「パパと契約して魔法少女にならないか?」
舞葉 アイミ「何言ってるの?わけわかんない。」
舞葉 茂吉「実はパパ、魔法少女のマスコットなんだ。」
舞葉 アイミ「アイミの歳、パパ知ってるよね?」
舞葉 茂吉「娘の歳を知らないはずがないだろう。 今年で11歳だ。思えば大きくなったなぁ。」
舞葉 アイミ「じゃあからかわないで。 アイミだってアニメと現実の区別くらいつんだから。」
舞葉 茂吉「からかってなんてないさ。 パパは正真正銘天界で選ばれたマスコットなんだ。」
舞葉 アイミ「アイミが魔法少女のアニメが好きだって知っててどうしてそんな嘘つくの?そんな事して楽しいの?」
舞葉 アイミ「アイミ、パパなんて大嫌い!!」
舞葉 茂吉(アイミにまた嫌われちゃったよ。)
舞葉 茂吉(けれど、これなら。)
舞葉 エマ「嘘じゃないわよ。アイミちゃん。」
舞葉 アイミ「ママ!」
舞葉 エマ「パパは本当にマスコットなの。 魔法少女事務所『ぷりてぃ・ぷりんせす』でプロデューサーもしているのよ?」
舞葉 アイミ「魔法少女事務所?」
舞葉 エマ「パパは魔法少女をプロデュースする会社でお仕事しているの。」
舞葉 茂吉「表向きはアイドル事務所という事にして、有能な女の子を発掘しているんだ。」
舞葉 茂吉「けれど最近は『ぷりぷりえなじー』を持った子が少なくなってね。 才能があるアイミに魔法少女になって欲しいんだ。」
舞葉 アイミ「ぷりぷりえなじーって何?」
舞葉 茂吉「ぷりぷりと怒っていると生まれるエネルギーの事さ。でもただ怒ってるだけじゃダメ、可愛い仕草と心根が必要なんだ。」
舞葉 茂吉「カワイイから正義、これがぷりぷりえなじーの源なんだ。目には見えないけれどアイミからはぷりぷりえなじーが溢れ出している。」
舞葉 茂吉「これだけのえなじー量があればアイミはきっと魔法少女に変身する事ができる。」
舞葉 アイミ「よくわからないけど、ママが本当だって言ってるからアイミ信じる。」
舞葉 茂吉「パパはまるで信用されてないのか。」
舞葉 エマ「茂吉さん、私はいつもあなたを信じてるわ。」
舞葉 茂吉「ママ!!」
舞葉 アイミ(パパはこんな見た目なのにどうしてママとパパは仲良いんだろ。)
〇川に架かる橋
蝸牛 潮(俺がニートだからってどいつもこいつも陰で馬鹿にして! 許せねぇ。俺が不幸なのは世の中の奴らのせいだ。)
魔人 デンデン「にゅふふふ。俺様が世の中を正してやる!」
〇明るいリビング
舞葉 アイミ「二人共そろそろイチャイチャするの止めてよ。」
舞葉 茂吉「もしもし、今日はスケジュールを空けているはずですが。」
舞葉 茂吉「何だって!?住宅地に魔人が!」
舞葉 茂吉「分かりました。現場が近いので直接新人を連れて退治に行きます。 ・・・・・・はい。・・・・・・では。」
舞葉 エマ「行くのね。」
舞葉 茂吉「ああ。」
舞葉 茂吉「アイミ。すまないが時間がない。」
舞葉 茂吉「このステッキをかざしながら、 『ぷりっと変身♪あいまいみぃ!』と唱えるんだ。」
舞葉 アイミ「ぷりっと?そ、そんなの人前で恥ずかしいよ。」
舞葉 茂吉「時間が無いんだ!パパを信じてくれ。」
舞葉 アイミ「んもぉ!わかった!!」
舞葉 アイミ「ぷりっと変身♪あいまいみぃ!!」
あいまいみぃ「やった!本当に魔法少女になっちゃった。」
モッキ・チィ「無事に変身できたっちぃね。」
あいまいみぃ「パパ、スーツなんか着てどうしたの? 口調もなんだかキモチワルイし。」
舞葉 エマ「その格好がパパのマスコットに変身した姿よ。」
あいまいみぃ「可愛くないッ!!キモいッ!!」
あいまいみぃ「魔法少女のマスコットはもっとこう、インティメートでプリティーなぎゅっと抱きしめたくなるような存在じゃないと駄目なのッ!!」
モッキ・チィ「あいまいみぃは難しい言葉知ってるちぃね。」
あいまいみぃ「こんなオジサン連れてアイミ戦いたくないぃぃぃ。」
舞葉 エマ「ワガママ言っちゃいけません。 パパはとっても優秀なマスコットなんだから。」
あいまいみぃ「はぁい。」
モッキ・チィ「そんな事よりも早く暴れている魔人を退治しないと街が危険だっちぃ!」
モッキ・チィ「空を飛んでいくっちぃよ!」
あいまいみぃ「え、空を飛ぶってどうやって?」
モッキ・チィ「頭でイメージするっちぃ。 そしたら簡単に飛べるっちぃ。」
あいまいみぃ「うーん。こうかな?」
あいまいみぃ「わっ!本当に浮いちゃった。」
モッキ・チィ「そのまま窓から外に出るっちぃ! 高く飛べば正体がバレる心配もないっちぃ。」
あいまいみぃ「じゃあママ、行ってくるね!」
舞葉 エマ「はぁい。二人共晩御飯までには帰ってくるのよぉ。」
〇川に架かる橋
ーそして現在に至るー
あいまいみぃ「魔人はヌメヌメしてるし、マスコットはパパだしこんなんじゃあ戦えないよぉ。」
魔人 デンデン「にゅふふふ!魔法少女なんて名乗った時は少し焦っちまったけど、只のガキじゃねぇか。」
あいまいみぃ「よぉし!甘く見てたらやっつけちゃうんだから。」
魔人 デンデン「痛いッ!!ステッキで殴るの止めてっ!」
あいまいみぃ「え、弱っ。」
モッキ・チィ「あいまいみぃ、暴力はいけないっちぃ。」
あいまいみぃ「何言ってるの。 戦わないと倒せないじゃない。」
モッキ・チィ「魔法少女は相手を傷つけずに魔人を浄化しないといけないっちぃ。」
あいまいみぃ「そんな事先に言ってくれないとわからないもん! モッキ・チィのバカッ!!」
魔人 デンデン(なんかなごむなぁ。)
モッキ・チィ「あいまいみぃのぷりぷりえなじぃで魔人がなごんでいるっちぃ。」
モッキ・チィ「今がチャンスだっちぃ! ステッキをかざして『まいんスイーパー』と唱えるっちぃ。」
あいまいみぃ「わかった!」
あいまいみぃ「まいんスイーパー!!」
魔人 デンデン「俺も女の子にパパって呼ばれながらぷりぷりされてえぇぇ!!」
蝸牛 潮「俺は何をしていたんだ。」
あいまいみぃ「ヌメヌメが人間の姿になってる。」
モッキ・チィ「元々は人間だったんだっちぃ。 イジイジえなじぃが人を魔人に変えてしまうんだっちぃ。」
あいまいみぃ「そうだったんだ。」
蝸牛 潮「ありがとう!二人のお陰で目が覚めたよ。」
蝸牛 潮「なんでも周りの所為にするんじゃなくて好かれる努力をしなくちゃいけなかったんだ!」
蝸牛 潮「だからこれから俺は幼女に好かれる大人になる為に、家でひきこもって美少女ゲームで特訓をするよ。」
あいまいみぃ「えっ。」
蝸牛 潮「それじゃあ。」
あいまいみぃ「なんだかあの人全然幸せになってない気がするんだけど。」
モッキ・チィ「魔法でなんでも解決するわけじゃないっちぃ。 あいまいみぃも大人になるとわかるっちぃ。」
あいまいみぃ「世知辛い!!」
通行人B「あれ、コスプレ?」
通行人A「変なオッサンが声掛けてるし、警察呼ぶか?」
モッキ・チィ「国家権力はマズい!早く逃げるっちぃ。」
あいまいみぃ「こんな魔法少女やだぁあ!!」
〇時計台の中
魔王 ネックラー「魔人は倒されたか。」
魔王 ネックラー「まぁいい、代わりは幾らでも居るのだからな。」
〇明るいリビング
かろうじて魔人を退け、社会的立場も守った二人。
しかし様々な意味で試練は続く。
頑張れあいまいみぃ!!くじけるなあいまいみぃ!!
娘のアイミにも「パパはこんな見た目なのに」と言われる茂吉ですが、モッキ・チィに変身して語尾にちぃをつけた口調を聞いているうちに可愛らしく見えてくるから不思議です。暴力を使わずに魔人を浄化するという退治法もなごみますね。
理解できるまで少し時間は要しましたが、分かるとすごく納得できるストーリーでした。パパがなぜ自分の娘を魔法少女に起用したのか、結果からパパの手腕が見て取れますね!