ツクモ戦記

竜谷 晟

エピソード1(脚本)

ツクモ戦記

竜谷 晟

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ツクモ戦記
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〇ホテルの部屋
?「ここは・・・・・・どこだろう?」
?「ホテルのワンルームみたいだけど ・・・・・・なんでこんなところに僕はいるんだろう?」
?「頭が・・・・・・痛い 僕は確か・・・・・・?」
?「あれ?  おかしいな ・・・・・・何でこんなところにいるのか、全然わからない」
?「ここは── ボクは────」
?「”ボクは誰だっけ?”」
  ピキリ
  と
  脳が遁走を起こす
  ピキリ
  ピキリピキリ
?「あ、ぁぁ   あ?」
  吐き気がひどい
  視界が歪む
  体が酷く暑い
  燃えるように──熱い
「いや実際に燃えてるよこれ!?」
  実際に燃えていた
  そして炎渦巻く中心には
  怪物が  いた
?「何・・・・・・あれ 人? 燃えてる?」
?「いや、そもそもさっきまであそこには 何も・・・・・・」
炎の恐怖「AAAAAAaaaa!!!」
  怪物の咆哮は床や壁を震わせ、炎はより強く燃え上がる
?「ひっ」
?(も、もしかして火災の被害者の人かと思ったけど、絶対違う!)
?「に、逃げないと」
  幸いなことに出口はすぐそこにある
  ぼくは意を決して、身を翻し、ドアを開けた

〇学校の廊下
?「え?」
  ”ドアの向こうは学校の廊下だった”
?「え、いや さっきまでホテルの部屋にいたはずじゃ」
  振り返ってもそこには教室のドアしかない
  思わず触れると
?「熱い!!」
?「あ、熱いってことは、さっきの部屋と繋がっているのかな?」
?「なっ!?」
  目の前でドアから炎が噴き出し、一気に燃え尽きたドアがばたりと倒れる
  そしてその向こうから燃ゆる人影が現れる
?「に、逃げないと」
  瞬時の判断
  再び身を翻し、全力で廊下を疾走する
  一瞬で視界から怪物が消え去る
  振り返ってみると怪物はゆっくりと追ってきているもののその歩みは遅く、このまま逃げ切ることはできそうに思える
  だが
?「校舎が燃えるスピードが ・・・・・・速い!!」
  炎それ自体が意志を持っているように、素早く襲いかかってくる
?(このまま突き当たりまで逃げ切れば、階段がある 火事の時に上に行くのは悪手 下に降りる!)
  そんな風に、できる限り冷静に思考を回して生き残ろうとするぼくに、最大級の
?「え?」
  ”不幸”が訪れた
?(つ、突き当たりに女の子!?)
  和服を着た女の子が突き当たり近くでゆっくりと歩いていた
  こちらに気づいている様子はない
?(このままじゃあの子が巻き込まれる! そもそも何でこんなところに女の子がいるんだよ!?)
?「くっ おお、りゃ!!」
?「キャッ!! な、何?」
  驚く少女を抱えたまま、一気に階段を飛び降りる
?「キャ、 キャアアアアァァ!?」

〇学校の廊下
?「なっ!?」
  降りた先にあったのは当然同じような学校の廊下・・・・・・
  否
  ”同じ”ではない
?「さっきまで、夕やけが差していたのに、今度は暑苦しい程の日差しが差している」
?「一体どうなって──── いや、」
  幸いなことに、階段から炎が流れ込んでくる様子は無いが、それもいつまで続くとは考えにくい
?「いや、それよりもまずはもう一楷下降りるか、それともこの廊下を進むか決めるのが──────」
?「ねえ」
?「人をいきなり抱き抱えてそのまま階段を飛び降りるなんて危ないじゃない! 何のつもりなの?」
?「ご、ごめんなさい」
  少年が凄まじい剣幕に思わず謝罪すると、その少女はにっこりと笑みを浮かべた
?「あら、ちゃんと謝れるのね、あなた」
?「まったく、どうしてあんなことしたの? 怪我はない?」
?「な・・・・・・何でって 君も見ただろう! あの怪物を!?」
?「うん? もしかしてあなた、 最近この『ゴミ箱』に来たの?」
?「あぁ、なるほど そう言うことだったのね」
?「ゴ,ゴミ箱? どういう────」
?「!?」
  炎が燃え上がる
  階段からではなく、天井から
?「まさか──」
?「地面を燃やし尽くして下に降りてきたのか」
  ボトリ と
  天井から零れるように落ちる
炎の恐怖「AAAAAaaaa!!!?」
?(失敗した!! 火事の時に上に行くなんて常識が 当たり前のように! 通じるものだと思っていた!!)
  常識なんて
  そんなものがあってくれる空間じゃないことぐらい
  もうわかっていたはずなのに
?「そう あなたとあれはほぼ同時期に ”発生”したのね」
?「発生?」
?「いや、そもそも”アレ”は一体────」
?「何なんだ」
?「うーん」
?「ちょっと説明が難しいな」
?「うん、とりあえず」
?「あれを終わらせてからにしようか」
  そういうと謎の少女は自分の人差し指を
  ずぶり と
  根元まで、自分の耳に突っ込んだ

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 楽しく読ませていただいてます。まだ途中ですが手に汗握るような展開。(今のところは)

  • タイトルに「戦記」とあるからにはこれから戦いが始まるのでしょうか。ツクモとは何を指すのか。突然現れた少女が味方であってくれればよいのですが。謎が謎を呼ぶプロローグで次の展開が気になります。

  • いきなり目の前に現れた真新しい状況を理解するまもなく、次々と新たな展開を見ることはかなりの恐怖とストレスでしょうね。それでも主人公の優しさのようなものを感じました。

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