パンパパン

ぬばたま

ランチパック(脚本)

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〇カフェのレジ
葉介「娘よ。お前には才能がある。」
葉介「そんなお前だからこそ、安心してこの店を任せられる。」
色葉「何度言われても答えは変わらないよ。」
葉介「いい、何も言うな。」
葉介「お前は黙って・・・・・・」
葉介「店を継げ!!」
色葉「嫌だ!!」
葉介「え・・・・・・」
色葉「何驚いた顔してんのよ。」
色葉「そもそも、「継ぐとか継がない」とか、かっこいいこと言ってるけど・・・・・・」
色葉「うちただのパン屋じゃねぇか!」
  「ベーカリー彩(いろどり)」
  田舎にあるパン屋。
  パンの種類がやたらと豊富なだけのどこにでもあるパン屋。
  豊富過ぎて店で焼いたパンのほかに、メーカー市販のパンまで置いてあるのが唯一の特徴。
色葉「やる気がない娘に継がせるよりバイトでも雇えよ!」
葉介「こんな田舎のしかも儲かっていないパン屋にバイトを受けに来る子なんているわけないだろ!」
葉介「こんな儲かっていないパン屋になんて・・・」
色葉「わかったよ!自分で自分を傷つけないでよ!」
葉介「だって色葉が継がないとか言うんだもん。」
色葉「本当にすぐ凹む親父だな。」
葉介「だいたいお前は将来何かやりたいことはあるのか?」
色葉「公務員!」
葉介「つまらな。」
色葉「つまらないとか言うな!」
色葉「娘の夢だぞ!」
葉介「で?なんで公務員?」
色葉「お金が稼げてなおかつ安定しているから。」
色葉「うちのパン屋と違って!」
葉介「うちのパン屋と違って・・・・・・」
色葉「いちいち凹むなよ。」
色葉「めんどくさいなぁー。」
色葉「で?話は終わり?」
色葉「なら試験に向けて勉強したいんだけど。」
葉介「いいや、まだ話は終わっていない。」
葉介「店番してくれ!」
色葉「嫌だ!」
葉介「じゃ後は頼んだぞ!」
色葉「おい!ちょっと待て親父!」
色葉「まさか本当に行くとは・・・・・・」
色葉「まあいいか、どうせいつも通り暇なんだし。」
  私たちの住んでいる町は田舎にある。
  人口も少なく、観光地があるわけでもないため繁忙時期の朝以外は基本的に暇だ。
色葉「勉強でもしよ!」
シキ「お邪魔するわね。」
色葉「・・・・・・いらっしゃいませ。」
色葉「(誰この子?ここら辺じゃ見ない顔)」
シキ「ここは「ベーカリー彩」でいいのよね?」
色葉「はい。うちは「ベーカリー彩」ですけど。」
シキ「そう、良かったわ。無事に着けて。」
色葉「あの何か御用でしょうか?」
シキ「葉介さんに会いに来たの。」
色葉「・・・・・・はい?」
シキ「だから「伝説のパン職人」葉介さんをスカウトしに来たの!」
色葉「うちにいるのは「娘に店番を押し付ける」葉介しか居ませんけど。」
シキ「娘にパンの魅力を伝えるために店番を任せるなんて、」
シキ「さすがね!葉介さん!」
色葉「(なんか変なお客様が来店してきちゃった!)」
色葉「・・・・・・ん?スカウト?」
シキ「そう!私の名前はシキ・ラパン!!」
色葉「ラパン?」
色葉「どこかで聞いたことのあるような、ないような。」
シキ「ふふっ!気づいたわね・・・・・・」
シキ「そう!!フランスで10年連続三ツ星を獲得した今を生きる伝説になるかもしれないパン屋「ベーカリーラパン」!!」
シキ「フランスパンと言えばのラパン!」
シキ「クロワッサンと言えばのラパン!」
シキ「私はそこの娘シキ・ラパン。どうぞよろしく!!」
色葉「・・・・・・よろしく。」
色葉「(なんだろこの人テンションが異様に高くてちょっと変だ!)」
色葉「それで父をスカウトしに来たんですっけ?」
シキ「そうなのよ! 飛行機に乗り、船に乗り、電車に乗り、バスに乗り、山あり谷ありで遠かったわよ!」
色葉「(山あり谷あり?)」
シキ「フフッ・・・・・・でも、まあいいわ。」
シキ「こうして目的地にたどり着けたんだもの。」
シキ「葉介さんの前にまずは娘さんと遊んでみるのも悪くないわね!」
シキ「同じパン屋の娘として私のライバルにふさわしいかどうか確かめてあげるわ!!」
色葉「(なんかいきなりバトルを仕掛けられた!?)」
シキ「この店で一番人気のパンは何?」
色葉「・・・・・・ランチパックですけど。」
シキ「そう!さすが葉介さんね!」
色葉「何が!」
シキ「いいわよねランチパック!」
シキ「お手軽で何より種類が豊富!」
シキ「毎月新作が発売されるのもポイントが高いわ!」
シキ「・・・・・・はぁ、なんだか今日はたまごが食べたい気分だなぁー。」
色葉「(いきなりなんか始まった!なに演技?)」
シキ「でも今日はツナマヨも食べたいなぁー。」
シキ「こんな時あなたならどうする!?」
色葉「えっ!えーっと?」
色葉「(2つとも食べればいいんじゃないの?)」
色葉「・・・・・・はっ!」
シキ「ふっ!気づいたようね!」
シキ「そう!それこそベストアンサー!!」
シキ「つまり・・・・・・」
シキ「本来一緒に食べることはありえない組み合わせ。」
シキ「だが、それが出来るのがランチパック!!」
色葉「(たまごとツナマヨはありえる組み合わせだと思うけど)」
シキ「そこで!あなたが考える最強の組み合わせを教えてほしいの!!」
色葉「え、ええとそれじゃあ・・・」
色葉「「メンチカツ」と「ソース焼きそば」で漢飯セットとか・・・・・・」
シキ「悪くはない。悪くはないけど・・・私は女の子よ。」
色葉「(私も女の子なんだけど)」
シキ「それに私はフランス人よ。」
シキ「せっかく日本に来たんだから、もう少し日本風がいいわね。」
色葉「日本風。」
色葉「・・・・・・そうか!」
色葉「ならばこれでどう!」
色葉「「ピーナッツ」と「ブレイクピーナッツ」」
色葉「そして「北海道限定ピーナッツクリーム」この3つを合わせて・・・・・・」
色葉「北海道なのにご当地千葉県セット!!」
シキ「セ・・・・・・」
色葉「セ?」
シキ「C’est vraiment très bon! (本当にとても美味しいわ! )」
色葉「えっ!なんて!?」
シキ「Mes compliments au chef ! (シェフに素晴らしいと伝えておいて!)」
色葉「だからなんて!?」
シキ「merci(ありがとう) また来るわ!」
色葉「・・・・・・お買い上げありがとうございました?」
  変な少女に目をつけられたと知らぬまま、
  色葉の新しい日常は始まった。

コメント

  • 結局シキは、葉介のパンには見向きもしないでランチパックの話と味見しかしませんでしたね。日本が世界に誇るランチパック。ボケ二人を相手にツッコミの色葉の返しが冴え渡っていました。ちゃんと勉強して立派な公務員になってください。

  • お父さん自分で儲からないパン屋と自称してしまうところ面白かったです。スカウトがくるくらいだからお父さんのパン本当はとっても美味しいんだろうな

  • パン好きなので、読みながらとっても心地良かったです。ようすけさんのパンの技術はダイヤモンドの原石のようなものなのでしょうね。お店が大きくなったりすると本来の味から離れてしまう傾向はなくもないと思いますが、ラパンさんのちからで是非有名店になってほしいです。

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