実況の合間に恋愛を

陽菜

悲しさの影(脚本)

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陽菜

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〇おしゃれなリビングダイニング
立花 湊「ってことがあったんですよね・・・」
高城 誠「なるほど・・・それで仲良くなったんですね」
  あの人にゲームをやるイメージはなかったけど、友人とならするのかもしれない。
立花 湊「そういえば、前に涼恵さんとチームで対戦した人、強かったな・・・」
  湊さんが呟いた言葉に俺達は首を傾げる。
高城 誠「そうなんですか?」
成田 恵茉「湊さんが言うなんて相当ですね」
  湊さんとその親友である涼恵さんがゲーム上手というのは世間の共通認識だ。
  そんな人が強いという人なんて、一体どんなプレイヤーなのだろうか?
立花 湊「確か・・・「くろさん」と「まなさん」だったかな?」
立花 湊「本当に負けるかと思っちゃいました」
立花 湊「二人して慌てていたんですよ」
高城 誠「・・・・・・・・・・・・」
  湊さんの出した名前に、聞き覚えがあった。
  ・・・いや、ありすぎた。
横山 碧「どうしました?二人とも」
赤月 恭介「あ、いや・・・!」
高城 誠「それ、俺達です・・・」
  俺のその言葉に、湊さんは驚いた表情を浮かべた。
立花 湊「え、本当ですか?」
赤月 恭介「そうっすよ!」
  まさかあの時のメッセージが事実だとは思っていなかった。
立花 湊「そうだったんですね・・・」
  なんか、本人達に聞かれて恥ずかしい・・・と湊さんは呟く。
立花 湊「お、おおお茶持ってきます!」
  そして慌てた様子でキッチンに入ってしまった。

〇おしゃれなリビングダイニング
大橋 小陽「あ、すみません!こんな時間まで・・・!」
  話し込んでいると、いつの間にか外が暗くなっている。
  相当時間が経っていたらしいと気付くと「大丈夫ですよ」と湊さんは笑った。
立花 湊「ご飯、食べますか? 作りますよ」
川口 莉子「え、いいんですか?」
  一人暮らしの身からしたらありがたいことだけど、本当にいいのだろうか?
立花 湊「大丈夫ですよ、作るついでですし」
  そう言って、湊さんはキッチンに入った。
管原 涼真「湊さんの料理、楽しみだ」
原田 蒼汰「そうだな」
  みんなで話していると、ドアベルが鳴った。
立花 湊「あ、はーい。どちら様ー?」
  湊さんが出ると、「こんばんは」と女性の声が聞こえてきた。
森岡 涼恵「丁度近く通ったから、寄っちゃった」
立花 湊「涼恵さん!いらっしゃい」
森岡 涼恵「ほら、これ」
立花 湊「ありがとー!」
  茶髪の女性だ。湊さんは「涼恵さん」と呼んでいた・・・。
  ・・・涼恵さん?
佐々木 渉「あの、失礼ですけど、もしかして・・・」
森岡 涼恵「あ、そういえばコラボするんだったね」
森岡 涼恵「初めまして。ホープライトラボの所長をしている森岡 涼恵と申します」
  彼女は丁寧に名刺を渡してくれた。
  ・・・本物だ。
森岡 涼恵「ごめんね、邪魔しちゃって」
立花 湊「大丈夫だよ」
森岡 涼恵「お母さんとお兄さんのことを報告したかったけど、また日を改めるよ」
立花 湊「うん、ありがと」
  どうやら近くを通ったついでに湊さんに用があって来たようだ。
立花 湊「あ、涼恵さんも食べる?」
森岡 涼恵「湊さんがいいなら、ごちそうになるよ」
  どうやら本当に仲がいいらしい。
  リビングのソファに座ると、彼女は俺達の方を見た。
森岡 涼恵「それにしても、湊さんが、ねぇ」
高城 誠「ど、どうしたんですか?」
森岡 涼恵「いや、まさか他人とコラボするとは思っていなくて」
森岡 涼恵「驚かせてしまったね」
高城 誠「い、いえ、気にしなくても・・・」
森岡 涼恵「・・・彼女、どこか自分の殻に引きこもってしまうところがあるから」
森岡 涼恵「だから仲良くしてあげてほしい、かな?」
  せっかく湊さんが自分で掴んだ手だし、と涼恵さんは微笑む。
立花 湊「もー、お母さんみたいなこと言わないでよ!」
森岡 涼恵「悪かったって」
  ・・・どうやら涼恵さんにしか知らない湊さんの過去があるらしい。

〇住宅街
  湊さんの家でごちそうになった後、涼恵さんが送ってくれるということで一緒に歩いていた。
森岡 涼恵「・・・湊さんね、弟を亡くしたんだ」
高城 誠「え・・・」
  俺だけになった時、涼恵さんがポツポツと話してくれた。
森岡 涼恵「ほら、数年前に「精神崩壊事件」ってあったでしょう?」
森岡 涼恵「その時の犠牲者の一人に、弟さんがいたんだ」
高城 誠「・・・そんなことが・・・」
森岡 涼恵「私も正直、詳しいことは分からないけど・・・」
森岡 涼恵「もともと病弱だったみたいでね、かなり可愛がっていたみたいなんだ」
森岡 涼恵「・・・まだ、私と出会う前の話だよ」
高城 誠「・・・・・・」
森岡 涼恵「高校の時、そのことで私の方が声をかけてね」
森岡 涼恵「それが、私と湊さんの初対面だったかな?」
  涼恵さんの話に、言いようもない悲しみが胸に広がる。
  湊さんはどれだけ苦しかっただろうか?
森岡 涼恵「だから君達とコラボするってなった時、正直安心したよ」
森岡 涼恵「少しは前向きになれてきているのかなって」
高城 誠「そう、だったんですね・・・」
森岡 涼恵「あ、ごめんね。初対面の人にこんなベラベラと・・・」
高城 誠「いえ、湊さんのこと、少しでも知ることが出来てよかったです」
森岡 涼恵「それならよかったけど」
森岡 涼恵「私も大学通ってるし、所長って立場上なかなか話せないからさ」
森岡 涼恵「出来たら、君達でも湊さんを見ていてくれないかな?」
  あの子、すぐ無茶しちゃうから、と涼恵さんは笑う。
高城 誠「・・・はい、そうします」
  俺はただ、それだけしか言えなかった。

次のエピソード:撮影の日

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