ミミックの中身はなんだろな

高峰なつ

ミミックの中身はなんだろな(脚本)

ミミックの中身はなんだろな

高峰なつ

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ミミックの中身はなんだろな
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〇教室
男子生徒1「はぁ・・・」
男子生徒1「【MIMIっく】の新作まだかなあ」
男子生徒2「ミミック?」
男子生徒1「お前知らねーの?」
男子生徒1「正体不明のゲームクリエイター【MIMIっく】」
男子生徒2「ああ、箱の中身はなんとかってゲームサイトの」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「・・・」
男子生徒1「【ミミックの中身はなんだろな】な」
男子生徒1「サイトの見た目は可愛いんだけど ゲーム内容はクセが強い上に、 難易度がマジで鬼畜」
男子生徒1「新作はゲーム配信者がこぞって動画を出したりしてさ」
男子生徒1「でも、攻略できる人めっちゃ少なくて」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「・・・」
男子生徒1「えっと 一見くん?」
男子生徒2「ご、ごめん うるさかった?」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「・・・」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「俺もさ ゲーム得意なんだよ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「特に格闘ゲームなんて最高だよな」
(物理的に殴られる!!)
「すみませんでしたあぁ!!」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「・・・」

〇通学路

〇一軒家の玄関扉
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(あいつらが話してた【MIMIっく】)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(それはな)

〇黒

〇一階の廊下
一見 三久(ひとみ みく)「んっ、お兄お帰り~」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(俺の妹なんだよ!)
  一見 三久(13歳)
  通称【MIMIっく】
  
  鬼畜ゲー制作者として
  ネット界隈で人気を博し
  SNSフォロワー116万人
  自身のサイトのフリーゲームだけでなく
  有名ゲーム会社ともコラボしている
  新進気鋭のゲームクリエイターである。
一見 三久(ひとみ みく)「うおっ、どったの」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「共通の話題という最大のチャンスが」
  膝から崩れ落ちる鉄二に、
  三久はゆっくりと近づいた。
一見 三久(ひとみ みく)「うーん、何かよく分からんが」
一見 三久(ひとみ みく)「お兄よしよし」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「俺は友達が欲しいだけなのに・・・」
一見 三久(ひとみ みく)「そっかー」
一見 三久(ひとみ みく)「じゃあ、いつものやつやるか?」
  三久が渡してきたのは、
  まだ未発表の新作ゲームだった。

〇男の子の一人部屋
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(よし、バーベルスクワットあと10回)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(さっきは三久に情けない姿を見せちまったな もっと強い男にならないと)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「ふー、今日のノルマ終了」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「さてと」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(三久のゲームは悩んでいる俺に いつも乗り越えるヒントくれる)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(小学生のころの誰も発言しない学級会では この時間に終止符を打つ正義の心を)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(中学の体育祭では、スポーツ科相手という理不尽に打ち勝つために 誰も寄せ付けない強靭な肉体の大切さを学んだ)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(ミミックの中身、それは俺への人生の教訓だ)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「三久はすごいよな こんなゲーム作っちまうなんて」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「今回はアクションRPGか」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「なになに────」

〇サイバー空間
  質問に答えて職業を決定します。
  職業は5種類。
  魔道師
  皇帝
  フェアリー
  魔人
  オラオラ系男子

〇男の子の一人部屋
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「どうやら俺は疲れているらしい」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「RPG世界にあるまじき職業が見えた気が・・・」

〇サイバー空間
  オラオラ系男子

〇男の子の一人部屋
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「やっぱいるな! そもそもこれは職業なのか!?」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「さすがクセが強いで有名な三久のゲーム」

〇サイバー空間
  なお、職業は99.6%の確率でオラオラ系男子になり、特技『パーティーナイト』を習得します。

〇男の子の一人部屋
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「攻略の鍵は職業選択からってことか」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「いや、三久のことだ きっと一つの職業だけが正解だろう」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「つまり1/1000の職業に辿り着くことが攻略の最低条件か」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「明日は土曜日 時間はたっぷりある」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「やってやるさ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「三久は俺がクリアしないとサイトにゲームをアップしない」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「それは俺が必ず攻略するという絶対的な信頼だ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「父さんも母さんも ゲームが得意なだけの俺を温かく見守ってくれている」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「大切な家族のためにも、 俺はクリアして友達もつくってみせる!」

〇教室
男子生徒1「聞いてくれよ 【MIMIっく】の新作が今朝アップされてさ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(クリアできた 土日ぶっ通しはキツかった)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(まさかクリアできる職業が 確率99.6%のオラオラ系男子だったとは)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(ゲーマーであるほど罠にハマる恐ろしいゲームだった)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(たが、さすがに眠いな)
???「てーつじくん いつにも増して怖い顔してるね」
泉 日成(いずみ ひなり)「おはよ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「泉さん」
泉 日成(いずみ ひなり)「もう、日成でいいってば」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「ははっ・・・」
泉 日成(いずみ ひなり)「なんか元気ないね もしかして体調悪い?」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「大丈夫」
泉 日成(いずみ ひなり)「そう? 無理しないでね」
泉 日成(いずみ ひなり)「何かあったら私に言ってね 必ず力になるから!!」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「ありがとう」
泉 日成(いずみ ひなり)「委員長ですから!」
泉 日成(いずみ ひなり)「じゃあね」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(泉さん優しいな 委員長だから俺なんかのことも 気づかってくれる)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「眠たいなんて言ってられない よし、やるぞ!」

〇白い校舎
体育教師「次はパス回しだ 3人組をつくってくれ」
男子生徒1「もう一人どうする?」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(俺は学んだ)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(結局一番仲間が多いのはオラオラ系)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(協力してラスボスを倒せたのはオラオラ系男子)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(現に俺もオラオラ系男子に心酔している)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(ゲームと現実は違う 分かってるさ だからこそ、無限に質問に答えなくても)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(俺は何者にでもなれる!)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「よう、俺と組まないか 絶対に後悔させないぜ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(かんっぺきだ!! 完全にオラオラ系を模倣できている)
(組まなかったら後悔するってこと!?)
男子生徒1「も、もちろんだよ」
男子生徒2「う、うん 組もう」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(通用する!?)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(やはりそういうことなんだな三久!!)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「ああ、楽しい時間の始まりだ」

〇教室
男子生徒1「なあ、昼飯」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「一緒に食うよな」
男子生徒1「ちょ、ちょうど誘おうと」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「いっぱいお喋りしたいからよ ほら、二人のパン買っといてやったぜ」
男子生徒2「そ、そんなの悪いよ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「気にすんな 俺たちもうダチだろ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「ダチのためには助け合わなくちゃな」
(ダチを理由に何か要求するつもりだ!!)

〇学校の校舎
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「帰ろうぜ」
男子生徒2「う、うん」
男子生徒1「もちろん」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(ここまでは完璧だ)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(次のステップ)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(下校中の寄り道イベントに誘うんだ 鬼畜ゲーすら攻略する俺ならできるはずだ)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「実はよ、おすすめの場所があって いつかダチを連れて行きたいと思っててさ」
男子生徒2「へー、どこに行くの」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「穴場スポットだから誰にも言うなよ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「町外れの古びたゲーセン」
(不良の溜まり場だ!!)
男子生徒1「今日は塾があるからまた今度」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「・・・」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「塾ならしょうがないな」
(助かった・・・)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(友達レベルが足りなかったか)
(このままじゃまずい)
男子生徒2「それなら他の人を誘ってみたら!」
男子生徒1「そうだ! 泉とか仲良さそうだし」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「泉さん? 委員長はさすがにこないだろ」
男子生徒1「そんなことないぜ! 女子たちが噂してたけど」
男子生徒1「泉って表ではあんなんだけど 裏ではヤバイことしてるって」
男子生徒2「一見くんも大変だね! 泉さんに付きまとわれて」
男子生徒2「もしかして好きとか! ああいうタイプは一見くんみたいな 危険、ごほん 強そうな男に惚れそうだし」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(泉さんは委員長として頑張ってるし こんな俺にも話しかけてくれる)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(そんなわけないだろ! って言いたいけど・・・)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(俺は今オラオラ系信者なんだ)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(三久はいつも正しい だから、泉さんごめん 俺はこの教訓を貫くよ!)
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「泉、いや日成ならもはや俺の女みたいなところあるしな!」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「どんなやばい女子でも 俺なら余裕っしょ!」
泉 日成(いずみ ひなり)「・・・」
「・・・」
「さよなら!」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「あっ、おい」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)(おかしい! ピンチのときは特技「パーティーナイト」で助け合うはずなのに!)
泉 日成(いずみ ひなり)「えっと」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「すっ」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「すみませんでしたあぁ!」

〇通学路

〇一軒家の玄関扉

〇黒

〇一階の廊下
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「俺は最低だあぁ!!」
一見 三久(ひとみ みく)「今度はどったの」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「三久こんな兄ですまない また兄ちゃんダメだったんだ」
一見 三久(ひとみ みく)「ええんよ、ええんよ」
一見 三久(ひとみ みく)「お兄が優しいことは お父とお母も、ほんでうちも知っとるよ」
一見 三久(ひとみ みく)「家族みんなお兄のこと大好きやお」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「なんて優しい妹なんだ! 温かさが身に沁みる!」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「立派な兄ちゃんになれるように頑張るよ」
一見 三久(ひとみ みく)「ううん ありのままのお兄でいいんやお」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「そうか」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「三久がゲームで伝えたかったのはオラオラ系になることじゃない」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「オラオラ系のように自分の信念を貫く覚悟だったんだな」
一見 鉄二(ひとみ てつじ)「ありがとう三久・・・ 今日はもう筋トレして寝るよ」

〇黒
  ふひっ
  ふひひひひっ
  今回も作戦通りなんやお
  お兄
一見 三久(ひとみ みく)「お兄に友達なんて必要ないんよ」
一見 三久(ひとみ みく)「だって友達ができたら うちがお兄を一人占めできんやろ」
一見 三久(ひとみ みく)「早く次のゲームも作らんとね」
一見 三久(ひとみ みく)「お兄がずっとうちの手元におるように」
一見 三久(ひとみ みく)「ミミックの中身はなんだろな」
一見 三久(ひとみ みく)「三久の愛が詰まっとるんよ、お兄」
  ふひっ
  ふひひひひっ

〇通学路
泉 日成(いずみ ひなり)「・・・」
泉 日成(いずみ ひなり)(えっ、待って)
泉 日成(いずみ ひなり)(鉄二くんってそうだったの! 俺の女って、俺の女って言ったよね! てか日成って、突然の名前呼びとか 不意打ちすぎじゃない!)
泉 日成(いずみ ひなり)(口調が少し変だったけど そんなの些末なことよね!)
泉 日成(いずみ ひなり)(無愛想だけど本当は優しくて 中学から好きだったんだけど 待って、つまり両思い! 嬉しすぎるんだが!)
泉 日成(いずみ ひなり)(やばい女でも余裕って 妄想大好き夢見少女でも 余裕ってこと? 懐広すぎてめっちゃ好き! てかこれ、もはや結婚確定よね!)
泉 日成(いずみ ひなり)(ご家族にも近々挨拶しにいかないと だって私も新しい家族になるんだから!)

〇黒
  ふひっ?
一見 三久(ひとみ みく)(なんか悪寒が・・・)
一見 三久(ひとみ みく)「風邪でも引いたんかな」

  おわり

コメント

  • あー!!✨良いですね!!✨😊🌸
    こういう展開好きです💓
    実は2人の女に愛されていたという・・・
    面白かったです!!✨

  • 三久は鉄二に外で人間関係を作らせないためにゲーム作りしてたなんて、すごいオチ。愛と束縛は表裏一体ですもんね。鉄二はもし日成と結婚しても、妹と奥さんの間でオタオタ系旦那になりそうですね。

  • 鉄二、友達の作り方とか人との距離の縮め方を履き違えていると言うか…何だか残念だなあと思っていたのですが、妹としては、これで良かったんですね!😂
    お兄ちゃん大好きなんですね😂
    みくと日成がバチバチしませんように😂

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