読切(脚本)
〇体育館裏
これはまだ恋を知らない女の子
そしてその子に恋をした男の子の話である。
〇体育館裏
大貴「おーい!陽菜帰ろーぜ!」
陽菜「待って!もう少しで掃除終わるから!」
──・・・
大貴(かわいいなぁ・・・)
陽菜「な・・・なに?そんなに見なくてももう終わるから・・・」
大貴「は?!ちげーし見てねーし!」
陽菜「はいはい 終わったよ!帰ろう!」
大貴「あしらうなよ」
陽菜「はいはーい!帰ろ♪」
〇街中の道路
──────・・・
陽菜「あれ?」
大貴「どうした?」
陽菜「見て!綺麗! こんなとこにお花屋さんなんてあったんだね!」
〇お花屋さん
〇街中の道路
大貴「本当だ!毎日通ってんのに気づかなかったな!」
陽菜「いつできたんだろう?」
大貴「もうすぐ陽菜の誕生日だよな!その時プレゼントしてやろうか?」
陽菜「え!?本当!?」
大貴「お、おう・・・」
陽菜「えへへっ もらえたらすっごく嬉しい♥️」
大貴(そんで・・・その時告白・・・したいな・・・うん!)
陽菜「楽しみ~♪」
大貴「まぁ、陽菜がいい子にしてたらな!」
陽菜「あははっ 大貴くんはサンタさんみたいだね!」
ぽとっ・・・
〇大きな木のある校舎
翌日
「おはよー!」
陽菜「あ、おはよう!」
琴音「ねぇねぇ 昨日見たよ!大貴くんと二人で帰ってたでしょ?」
陽菜「声かけてくれればいいのにー! 普通に一緒に帰っただけだよ!?」
琴音「ふふっ ラブラブですな~」
陽菜「いやいや! 友達だから!」
琴音「陽菜は友達でも大貴くんはどうかな?」
陽菜「いやいやいや・・・ ない!それはない!!」
琴音(大貴くん・・・頑張れ・・・)
陽菜「どーしたの?」
琴音「何もないよ~」
陽菜「あははっ 琴音変なの~」
〇教室
〇教室
陽菜「あれー? やっぱり生徒手帳ない・・・」
陽菜(どこかで落としちゃったのかな?)
陽菜「んー・・・こんだけ探してもないってことは教室にはないのかもしれない・・・ とりあえず今日は帰ろ・・・」
〇街中の道路
陽菜(道には・・・落ちてないか・・・)
・・・・・・
「あっ!!」
陽菜「え!?」
「君、陽菜さん?だよね?」
〇お花屋さん
〇街中の道路
陽菜「えっ・・・ は、はい!」
〇お花屋さん
悟「これ、昨日店の前に落ちてたんだ 君のでしょ?」
〇街中の道路
陽菜「あ!私の生徒手帳!」
陽菜「ここで落としたんだ・・・ 拾ってくれてありがとうございます!」
〇お花屋さん
悟「はい、どうぞ もう落とさないように気を付けてね」
〇街中の道路
陽菜「本当にありがとうございます! 朝からずっと探してて・・・あって良かったぁ」
陽菜「昨日帰ってる時にお花屋さんここにあるんだねって話してたんです! 毎日通ってるはずなのに気づかなくって・・・」
〇お花屋さん
悟「うちの親がね、このお店やってるんだけど事情があってしばらくの間閉めてたんだ。 ようやく今週からまたオープンした感じかな」
悟「俺の名前は悟。もし良ければまた明日にでも顔だして!」
ぽんっ・・・
陽菜の頭に大きな手が置かれた。
悟「よろしくね陽菜ちゃん」
〇街中の道路
陽菜(わー!わぁ!頭に手が!?)
陽菜「ま、また来ますね? 本当にありがとうございました!」
〇可愛い部屋
──その日の夜
陽菜「あって良かったぁ・・・ なくなったら先生に怒られちゃうもんね・・・」
〇お花屋さん
悟「陽菜ちゃん」
〇可愛い部屋
陽菜「わぁ!何で今思い出しちゃったんだろ!」
陽菜(なんかドキドキ・・・? する・・・)
陽菜「何で明日顔だしてなんだろう? でも学校休みだし少しだけ顔だしてみようかな・・・」
〇川沿いの道
次の日
大貴「よしっ!朝練も終わりー♪」
大貴(明日・・・陽菜の誕生日だな・・・ 花買いに行ってやるか)
〇可愛い部屋
その頃、陽菜は・・・
陽菜「よしっ!これでOK!」
陽菜「お花屋さんへGO!」
〇お花屋さん
「こんにちはー」
・・・
悟「おっ!」
陽菜「お言葉に甘えて・・・来ちゃいました・・・」
悟「陽菜ちゃん。こんにちは」
陽菜「お花かわいいし、買おうかなって・・・思って・・・」
パサッ
陽菜の手に花束がのった
陽菜「え?!」
悟「明日!誕生日なんだろ?」
陽菜「な、何で知ってるんですか!?」
悟「ごめん、手帳・・・誰のか見ようとした時に見ちゃって・・・」
悟「良かったらもらってくれないかな? 俺まだ練習中だからうまく作れてないかもしれないけど・・・」
陽菜「う・・・うれしいです・・・」
〇街中の道路
ハァハァ・・・
走って息をきらした大貴がやってきた。
大貴「!? げっ!陽菜いるじゃん!」
大貴「本人いたら買いづらいぞ。おい・・・」
大貴「ん?」
そこには今まで見たことのない顔で笑う陽菜がいた。
大貴(・・・・・・・・・)
〇お花屋さん
陽菜「・・・そうなんですね」
──────・・・
陽菜「あれ?」
悟「ん?どうしたの?」
陽菜「何か友達に似た人がいたような気がしたけど・・・」
悟「・・・誰も・・・いないね?」
陽菜「私の見間違えかな?」
悟「かな?」
〇川沿いの道
・・・・・・
明日の陽菜の誕生日・・・
約束した花渡して・・・俺が陽菜に好きだって伝えて・・・
それで・・・
それで・・・・・・
大貴「・・・・・・」
大貴「あんな顔見たら・・・好きとか・・・」
大貴「・・・・・・っ」
大貴「言えるわけねーよ・・・」
〇川沿いの道
大貴「ふぅ・・・」
大貴「帰るか・・・」
〇お花屋さん
誕生日の前日
初めての恋を知った陽菜
〇川沿いの道
そして失恋を確信した大貴──
〇並木道
少し甘酸っぱく・・・
でもほろ苦い。
そんな恋のお話でした。
──おわり──
「縁は異なもの味なもの」と言いますよね。男女の結びつきには何が起こるかわからないから、諦めるのはまだ早いかも。大貫の気持ちが本物だったら、いつの日か失恋した陽菜の帰る場所になれるかもしれませんね。
悲しいですが、人の気持ちはどうしようもないですよね。
彼女は友達だと思ってて、まるで意識してなかったところが、なんともかわいそうで。
甘酸っぱい恋になりましたね。
いいですね、とても心がきゅんとなりました。忘れてしまっていたような純粋な心、今思うと懐かしいですね。いいストーリーでした。女の子がとても可愛い。