第壹譚・参(脚本)
〇高級マンションの一室
翌日、カーテンを開けると外は晴天で気持ちの良い陽気だった。
コーヒーを入れ朝食代わりのヨーグルトを食べながら、俺はテーブルの上に置いた【黒いノート】と封筒を交互に見る。
橘旬「・・・・・・」
昨晩は、余り眠れなかった。あんな事があったんだ、当然と言えば当然だろう。
何が起こったのか理解出来なかったのだ。そして、一晩中考えていたら朝になっていた。
誰かが悪戯したにしても、手が込み過ぎているし色々と不可思議な点もある。訳が解ら無い。
橘旬「・・・・・・っ」
ヨーグルトを食べ終わると、封筒を手に取った。流石に【黒いノート】に触れる気にはなれなかったからだ。
恐らく・・・・・・嫌、まず間違いなく例の【呪いの日記帳】だろう。
呪い等を信じてはいないが、昨夜の出来事を考えるとなんだか不気味で触りたく無かった。
見た目は、表紙が真っ黒なだけで普通のノートだ。封筒には、差出人の名前が書かれていた。
【赤坂椛】
橘旬「女か ?」
中には、便箋が一枚と写真が入っていた。
【初めまして、何処かの誰かさん。
貴方がこの手紙を読んでいる時、俺は既にこの世には居ないと思います。
俺は一か月前、近所の古本屋で偶然【呪いの日記帳】を見付けてしまいました。
最初は、只のノートだと思い中身を見ようとしたのです。
しかし、一緒にいた妹に止められました。妹には、いわゆる霊感があり。
俺がオカルトハンターを始めてから、ずっと手助けをして貰っていました。
妹は【呪いの日記帳】を俺の手から取るとそのまま持ち帰ってしまったのです。
妹「『このノートは、私がなんとかする』」
それが、最後の言葉でした。それから約二週間後、見るも無惨な姿で亡くなってるのを俺が発見したのです。
妹がノートを持ち帰ってから、七日目。
妹の婚約者が行方不明になっていたのですが、俺が妹を見付けた時・・・・・・彼もそこに居ました。
妹が何故、ノートを読んだのかは解りません。ブログに【呪いの日記帳】について記載してから、今日で一週間です。
俺もノートを読んでみる事にしました。
死ぬかもしれませんが、それでもブログを見た誰かが反応をくれたらノートだけは必ず届けます。
信じて下さい。この手紙の内容も【呪いの日記帳】も間違いなく本物です。
この手紙を読んでいる何処かの誰かさん。このノートが貴方の元に届いたなら、俺はきっと死んでいます。
だから、俺の代わりに俺たちの無念を晴らして下さい】