呪いの日記帳

里 惠

第壹譚・弐(脚本)

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〇高級マンションの一室
  読者の良心に語りかけている。どこぞのお人好しなら簡単に騙されるんだろう。
  だが実際、会ってみたらガラの悪い男たちに変な誓約書を書かされるか・・・・・・それこそ胡散臭い壺を買わされるのが関の山だ。
橘旬「・・・・・・釣られてみるか」
  ほんの暇潰しのつもりだった。何が出て来るか興味があったのだ。
橘旬「実際やばそうなのが出て来たら、警察にでも助けを求めりゃ良いしな・・・・・・」
  そうして、俺はブログの書き手に宛メッセージを送った。
  [件名:初めまして、赤トンボさん。
   本文: 私で良ければ【呪いの日記帳】を引き取らせて頂けないでしょうか ? ]
  【呪いの日記帳】等、実在する筈がない。
  仮にあったとして、そう呼ばれているだけの不気味な内容か見た目をした極々普通の日記帳だろう。
  それはそれで、見てみたいとも思った。
橘旬「まぁ、見たところで何も無いだろうけど・・・・・・話のネタ位には、なるだろう」
  パソコンの横に置かれたデジタル時計を見ると二十三時半を回った処だった。
橘旬(こんな時間に返事は来ないよな・・・・・・)
  シャワーを軽く浴びてビールでも飲んで、とっとと寝ようと思った時だ。突如携帯の通知音が鳴り、心臓が跳ねる。
橘旬「! ・・・・・・吃驚した・・・・・・・・・・・・ネットニュースでも届いたのか ?」
  [件名:呪いの日記帳を差し上げます。
   本文:有難う御座います。貴方に、俺と妹の無念を託します。
  自宅ポストをご確認下さい。
  
  
   赤トンボ]
橘旬「・・・・・・は ?」
  パソコンで送ったメッセージへの返事が何故か携帯に送られて来た。普通に考えたら、有り得ない事だ。
  急いでパソコンを起動しメッセージを確認する。だが、やはり携帯のアドレスに関する事を書いたりはしていない。
橘旬「てか、送信相手の欄が文字化けしてる ?   ・・・・・・どう言う事だ ?」
  アドレスは本来、アルファベット表記での筈なのに訳が解らない漢字がそこには並んでいた。気味が悪い。
  パソコンを閉じると、 改めて送られて来たメッセージを確認する。
橘旬「『自宅ポストをご確認下さい』って、どう言う意味だ ?」
  不審に思いながら、コートを羽織ると部屋を出た。そして、一階に置かれた集合ポストへと向かう。
  帰宅した時に、中はきちんと確認している。先程見た時は、間違いなく空だった。
  だから、ポストの中にある “それ” に目を疑った。
橘旬「・・・・・・何だ、これ ?」
  そこには、見覚えの無い黒いノートと小ちいさな封筒が丁寧に置かれていた。

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