夢まいり

安曇

夢は見ている(脚本)

夢まいり

安曇

今すぐ読む

夢まいり
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒背景
  それは神社であり、
  寺でもあり、
  
  夢であり──現実でもある。

〇教室の教壇
生徒B「最近あんまり眠れないんだよね」
生徒A「ベッドの中でスマホいじってるからじゃないの?」
生徒B「たしかにスマホ触ってはいるけど。そのまま寝落ちしてるし」
生徒A「ならいいじゃん」
生徒B「見る夢がね、なんか嫌な感じの夢なことが多くて」
生徒A「そういうの見た後って、起きたらどっと疲れてたりするよね」
生徒B「だから授業中もあくびがとまらないや」
生徒A「そんなに悪い夢ばっかり見るならさ、」
  ”夢まいり”
生徒A「してみたら?」
生徒B「何まいり?」
生徒A「神社とお寺をまぜたみたいなところが夢に出てきてね、そこにいる子供?に聞かれるんだって」
  『──悪夢を絶ちますか?』
生徒A「「はい」って答えて、そこでおまいりをしたら」
生徒A「見たくない夢を見なくなるんだって」
生徒B「それだけ?」
生徒B「そういう類の話って、代わりに魂をもっていかれたり、バッドエンドむかえそうなものだけど」
生徒A「私も噂で聞いただけだから、詳しくは知らないんだけどね」
生徒B「初めて聞いた。新種の都市伝説なのかな」
生徒B「「いいえ」って答えたら、」
  どうなるんだろう──

〇住宅街
  気になって検索してみたけど、ネット上にはそんな話落ちていなかった
壱子(いちこ)「なんだったんだろう。あの噂」
  もし本当なら、試してみたかったのに
  そうすればこの悪夢も
  もう、見なくて済んだのに──

〇一階の廊下
「おかえり」
和美(かずみ)「最近帰りが遅いんじゃない?」
壱子(いちこ)「別に。普通でしょ」
和美(かずみ)「髪もまた明るくしたりして・・・」
和美(かずみ)「校則破らせるためにお小遣い渡しているわけじゃないのよ」
壱子(いちこ)「・・・」
壱子(いちこ)「もういい?さっさと鞄下ろしたい」
和美(かずみ)「ねぇ、壱子──」

〇一人部屋
「お姉ちゃん」
「入るよ?」
宗弐(そうすけ)「お母さんが、晩ご飯できたって」
壱子(いちこ)「いらない」
宗弐(そうすけ)「そう言うと思って」
宗弐(そうすけ)「お皿はあとでとりにくるから」
壱子(いちこ)「・・・ありがとう」
宗弐(そうすけ)「あのね・・・」
宗弐(そうすけ)「気がむいたときでいいから」
宗弐(そうすけ)「・・・みんなで一緒にご飯食べない?」
壱子(いちこ)「・・・」
壱子(いちこ)「宗弐はさ、」
壱子(いちこ)「平気なの?」
壱子(いちこ)「気づいてるんでしょ?お母さんのこと」

〇おしゃれなリビングダイニング
  やば、今月使いすぎてお金足りない・・・
  週末約束があるのに・・・
壱子(いちこ)「ねぇ、日曜に出かけるから、お小遣い前借りしたいんだけど」
和美(かずみ)「何言ってるの」
和美(かずみ)「先月もそれで渡したじゃない」
壱子(いちこ)「ちょっと良いお店でおしゃれして、アフタヌーンティーしようってなって」
壱子(いちこ)「もう予約もしちゃったし」
壱子(いちこ)「真紀たちも楽しみにしてたから」
壱子(いちこ)「今さら行けないなんて言えない」
和美(かずみ)「そんな高そうなところなら、なおさらいけません」
和美(かずみ)「まだ高校生でしょ」
和美(かずみ)「贅沢よ」
壱子(いちこ)「たしかにディナーとかだと高いお店だけど」
壱子(いちこ)「アフタヌーンティーならそこまでじゃないし」
壱子(いちこ)「それに自分だって、使いもしないブランドのバッグとか持ってるじゃない」
壱子(いちこ)「そっちのほうが贅沢って言うか無駄遣いだと思うけど」
和美(かずみ)「それは・・・」
壱子(いちこ)「そうだ、あのバッグ貸して」
壱子(いちこ)「押し入れの奥にあった赤いやつ」
壱子(いちこ)「服だけおしゃれしても他が安っぽいと、バランス悪くなっちゃうから」
和美(かずみ)「・・・あれは貸せないわ」
壱子(いちこ)「別に使わないならいいでしょ?貸してくれても」
壱子(いちこ)「一度も使ってるとこ見たことないし」
和美(かずみ)「他のなら」
和美(かずみ)「ほら、前に見せた青いクラッチバッグとかはどう?」
和美(かずみ)「あれもブランド物だから」
壱子(いちこ)「いい。あんまり荷物入らなさそう」
壱子(いちこ)「色的にも赤いバッグのほうが差し色に──」
和美(かずみ)「駄目よ」
和美(かずみ)「とにかくあれは貸せません」
  そんなに大事な物なら──

〇部屋の前
  ──そんなに大事な物なら
  どうしてこんな押し込むように
  隠すようにしまっていたのだろう・・・

コメント

  • 夢の世界がテーマのストーリーって雰囲気あって好きです。「悪夢を見ない代わりに一番見たい夢を捨てる」か「受け入れて巡り合わせに望みを託す」か、というのは、誰もが一度は経験する人生の岐路の選択に似ていますね。それにしても和美の赤いバッグは何なんだろう。

  • 続きがすごく気になります!
    悪夢を見なくて良い代わりに、見たい夢が見れなくなるのが嫌なので私は怖いけど頑張って悪夢を受け入れたい派です😂
    よく好きな芸能人とデートする夢を見て幸せになっているので、その幸せのためにも悪夢を受け入れたいです😂

成分キーワード

ページTOPへ