天才

かどp

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〇教室
  ・・・キーンコーンカーンコーン
先生「よし、今日の授業はここまで しっかり復習しておけよー」
「はーい」
月島ヒロ「・・・」
月島ヒロ「・・・帰るか」
月島ヒロ「・・・? 鞄に何か・・・」
月島ヒロ「・・・なんだこれ」
A「あー!! それ私のキーホルダーじゃん!! ちょっと、なんであんたが持ってんのよ!!」
月島ヒロ「え、いや、俺もこんなの入れた覚えは・・・」
A「それ、彼氏がくれたすっごい高いやつなんだけど? 何盗もうとしてんのよ!!」
月島ヒロ「いや、盗もうだなんてそんなこと・・・」
「何してんだよ月島ー」
「おいおい、窃盗は流石にないだろ・・・」
月島ヒロ「(・・・またこれか、めんどくせぇ)」
月島ヒロ「・・・はぁ」
A「なによその反応、ため息つきたいのはこっちの方・・・」
月島ヒロ「・・・悪かった」
A「・・・え?」
月島ヒロ「俺が悪かったって言ってんだろ  ほら、返すよ」
月島ヒロ「・・・じゃあな、帰るわ」
A「え、ちょ、待ちなさいよっ!?」

〇学校脇の道
月島ヒロ「・・・はぁ、毎日懲りないな」
  これが俺の日常。
  あんな感じの嫌がらせが始まってもう既に何カ月かが経った。
  最初のうちは辛かったものの、時間が経つにつれ、今では面倒としか思わなくなった。
  どうしてこうなってしまったのか。
  その原因は俺自身にある。

〇教室
  4月から入学したこの高校。
  県内でもかなり人気の学校で、競争倍率は高かったが、俺は難なく合格。
  そして俺はそこでいわゆる”無双状態”となっていたのだ。
  学力は人一倍あり、定期試験では常に上位帯をキープし・・・

〇体育館の中
  運動も得意で、どんな競技であろうと難なくこなし・・・

〇美術室
  更には芸術センスも抜群で、コンクールでも賞を取るほどの実力。

〇中庭
  そんな感じで何でも出来る俺は周りから”天才”ともてはやされていた。
  昔から要領がいいとよく言われてきたが、ここまで上手くいくとは思っていなかった。まさに最高の学園生活・・・
  ・・・だと思っていたが、それはすぐに終わりを迎えた。
  常にどんなことでも上手くいく俺に対し、クラスメイト達は次第につまらなさを感じていったのだ。
A「月島君といるとなんか自分がみじめに思えちゃって・・・」
B「・・・なんか月島と一緒にいてもつまんねぇ」
  こう言われては周囲から人は離れていき・・・
  気づけば俺は孤立してしまっていた。
  出来る人を羨んだり、妬んだりすることは誰にだってある。
  だからこれは仕方のないこと、そう思っていたのだが・・・
  問題はその後だった。

〇教室
  ある日学校に行くと、教科書類が全てなくなっていた。
  慌てて探す俺。その姿を見ていたクラスメイト達はというと・・・
  ・・・ニヤニヤと笑っていた。
  普段の様子からは見られないであろう姿の俺を見て面白がっていたのだ。
  きっと嫉妬がエスカレートしたことによる嫌がらせだろう。
  先生にも相談はしたがそれが逆に火種となり、嫌がらせは毎日のように続くようになった。
  こうして俺は更に孤立することとなり・・・

〇学校脇の道
  今に至るのだった。
月島ヒロ「・・・まぁ、いずれ飽きてやらなくなるかもしれないし、気にしててもしょうがないか」
月島ヒロ「・・・そういや、明日って中間試験だったな」
月島ヒロ「高得点取ったらまた何か言われるんだろうな・・・」
月島ヒロ「まぁ、だからって点数落とすわけにはいかねぇけどな」
「とりあえずさっさと帰って復習でも・・・」
おじさん「少年!!危ないっっ!!」
月島ヒロ「・・・え?」
月島ヒロ「って、トラック・・・」
  ドシャンッ!!!!
「・・・がぁ!?」
  ・・・バタッ
おじさん「少年っ!!おいっ!!大丈夫か!?」
おじさん「息が・・・!?おいっ!!返事してくれ!! 少年っ!!」
おじさん「すいません!!誰かっ!!救急車を!!」

〇病室(椅子無し)
「・・・」
月島ヒロ「・・・・・・っ!?」
月島ヒロ「あれ・・・俺、生きて・・・」
医者「・・・!? おお!!目が覚めましたか!!」
月島ヒロ「・・・!? ・・・えっと・・・あの・・・」
医者「ああ、申し訳ない。驚かせてしまったかな。 君、数時間前にトラックに轢かれて意識を失ってたんだよ」
月島ヒロ「え・・・あ、はい・・・」
医者「それでたまたま近くを通った人が通報してくれて今君はここにいるわけで・・・」
医者「・・・って、そうだ!!君のご両親にお伝えせねば!! 少し待っててくれ!!」
月島ヒロ「・・・忙しい人だな」
月島ヒロ「・・・とりあえず」
月島ヒロ「(生きてる・・・らしいな)」
月島ヒロ「(身体も・・・特に痛くないし・・・)」
月島ヒロ「(本当に轢かれたのかってくらい・・・なんとも・・・)」
月島ヒロ「・・・はぁ」
月島ヒロ「(なんか・・・呆気ないな)」
月島ヒロ「(このまままたすぐにいつもの生活に元通りか・・・)」
月島ヒロ「(もっとこう異世界転生みたいな展開とかあっても良かったんだけどな・・・なんて)」
月島ヒロ「(後は・・・記憶喪失になったりとか・・・)」
月島ヒロ「(・・・記憶喪失)」
月島ヒロ「・・・そうだ、それなら」
父「大丈夫か!?コウ!?」
月島ヒロ「(父さん・・・母さん・・・)」
母「ちゃんと私たちが見える!?声聞こえる!?」
月島ヒロ「(ああ、見えてるし聞こえてる。 でもごめん二人共・・・俺は・・・)」
月島ヒロ「・・・えっと・・・どちら様で?」
月島ヒロ「(記憶喪失を演じることに決めたんだ!)」
父「!?」
母「そ、そんな・・・」
  バタッ
父「母さん!?おいっ!しっかりしろ!?」
医者「そんな!? 検査で脳に異常は見られなかったはず・・・」
月島ヒロ「(医師さん・・・間違ってませんよ・・・)」
月島ヒロ「(・・・まあでも、流石にパニックになるよな)」
月島ヒロ「(けど・・・俺はここから再スタートするんだ)」
月島ヒロ「(無知を演じて信頼を取り戻す。そして・・・)」
月島ヒロ「(”天才”じゃない月島ヒロになるんだ!!)」

コメント

  • 天才っていいな。何をやってもうまくいくから。人から嫌われても天才を貫いて貰いたいです。でも、逆に天才を隠すならどんな演者となるのか続きが読みたいです。

  • 人の才を認められない人はその程度なんです!
    まぁこの主人公は記憶を無くしたってことにひて新たなスタートをなったようですが…負けてほしくない気持ちになりました…。

  • 確かにいちから人生やり直したいときってあるよなぁ。そう思うと、こういうアクシデントさえ人生のターニングポイントとしてプラスにかえていけばいいんだなぁと前向きな気持ちになれた。天才なこの主人公が次はどんな人生を選択していくのか、気になります。

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