こんばんは、ぶった切りのお時間です

りるか

エピソード1(脚本)

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〇休憩スペース
  私、坂田みお
  どこにでもいる会社員
  みんなのお姉さん的存在
  そして隠れオタク
  だから、出来ないのだ
坂田 みお「本当の自分を曝け出すことが」

〇女性の部屋
坂田 みお「はぁあ疲れたぁ」
  仕事から帰り一通り済ませると
  もう夜も遅い
  そんな私の楽しみの1つ
坂田 みお「あと、30秒」
  それは
坂田 みお「さて」
坂田 みお「今日も始めますか!」
  SNSで全く知らない人と交流すること

〇電脳空間
  ここでは私は、『レイ』と言う名前で活動している。
  交流系アプリ【ツナガール】
  基本的にはよくあるSNSと同じだ。
  しかし、他のSNSと違うのは
  他のSNSよりも匿名性が高いこと。
  そして
レイ(今日はどんな人とマッチング出来るかな)
  1日に1人とだけ
  『マッチング』という機能が使えるということだ。
  これは、同じ時間にボタンを押した人同士でメッセージのやりとりが出来る機能だ。
レイ(オンラインゲームの相手探しと似た感じで、時間帯によっては見つかりづらいけど)
レイ(0時に回数が回復するから、この時間が1番人が多いんだよね)
レイ「おっと」
  0時を回ったことを確認し、早速ボタンを押す。
  ”接続中”
レイ(あわよくば漫画とかの話が出来たら嬉しいけど)
レイ(完全にランダムだからどんな人と当たるか分からないんだよなぁ)
  老若男女問わず使われるアプリの為
  それがメリットでもありデメリットだ。
  ”マッチング成功”
レイ「きたっ!!」

〇電脳空間
モリ太郎「こんばんは」
レイ「こんばんは!」
  相手から届いた挨拶に
  私もすかさず返事をする。
レイ(モリ太郎さんって言うのね)
  次の返信が来るまでの間、相手のプロフィールを確認する。
  モリ太郎
  社会人。独身。
  ──
  ──
レイ(終わり!?)
レイ(好きなものとか趣味は書かないタイプなのかな?)
レイ(まぁ、でもプロフも人それぞれだし)
レイ(あくまで相手を知る1つの手段でしかないから、話すまでわからないよね)
モリ太郎「ねーねーちょっと」
レイ「!?」
レイ「なんですか?」
レイ(急に距離感近い言い回しでついビックリしちゃった)
モリ太郎「お前暇人?」
レイ(??)
レイ「えっ?」
モリ太郎「こんな時間にこのアプリにいるとか可哀想なやつ」
レイ(???????????)
モリ太郎「てか彼氏いなさそwww」
レイ(ちょっと流石に)
モリ太郎「友だちいる? あっ、いたらこんな所いないかww」
レイ(・・・)
レイ(はぁ???)

〇女性の部屋
坂田 みお「それそっちも同じでは!!??」
  思わず部屋で叫ぶ。
  こういう人に会うのは、悲しいことにこれが初めてではない。
  匿名性が高いのをいいことに、自由を履き違える人もいる。
坂田 みお「今回もそのパターンかなぁ」
  折角1日に1人としかマッチング出来ないのに、ガクッと肩を落とす。
  勿論運営に通報はするが、
  このままコケにされて逃げるのは、私の気持ちも収まらない。
  むしろ冷静になったからこそ、先程の怒りが沸々と湧き上がってくる。
坂田 みお「てか、そもそも」
坂田 みお「初対面で相手が年上かも分かんねーんだから敬語使えや」
坂田 みお「お前社会人だろ? 礼儀は会社に置いてきたんか??」
坂田 みお「今までの言葉が全部ブーメランってことすらもわからないのか???」
  一つ、大きく息を整える。
坂田 みお「ただ黙ってると思うなよ」

〇電脳空間
  再度画面と向き合う。
  試合開始
レイ「確かにこんな遅くまで起きてSNSをしているのは」
レイ「周りから見れば暇人なのかも知れません」
モリ太郎「いやいや知れないってか暇人でしょ」
  イラっ
レイ「では、モリ太郎さんは今何をされていらっしゃるのでしょうか?」
レイ「私と同じなのでは?」
モリ太郎「俺は今仕事しながらだからww」
モリ太郎「息抜きに開いたら、間違ってボタン押して」
モリ太郎「たまたまあんたと繋がっただけ」
レイ「そうでしたか」
レイ「でも、間違えたのなら無視されれば良かったのでは?」
レイ「お仕事忙しそうですし」
モリ太郎「確かに忙しいけど」
モリ太郎「お前が可哀想だから付き合ってやってるだけ笑」
レイ「お心遣い痛み入ります」
レイ「ですが」
レイ「見知らぬ人間をバカにすることでしかストレス発散法がない」
レイ「あなたの方が可哀想だと思います」
モリ太郎「──は?」
モリ太郎「暇人が見下すな!」
モリ太郎「俺のはお前みたいな無能が務まる仕事じゃねーんだよ!」
レイ「確かに私は無能かも知れませんが」
レイ「人を蔑む発言しか出来ない有能なら」
レイ「無能で結構です」
モリ太郎「!」
モリ太郎「そんな可愛げのない女じゃ一生結婚できねーぞっ!!」
レイ「それはあなたも同じでは?」
モリ太郎「!!」
モリ太郎「うるせークソ女!!」
モリ太郎「こんな所でしか粋がれない癖に!!!」
レイ「あっ」
  ブロックされた。

〇女性の部屋
坂田 みお「ちょっとカッとなって言いすぎちゃったかな?」
  ブロックされた画面から、相手のことを運営に通報する。
坂田 みお「それにしても最後までブーメランだったなぁ」
坂田 みお「あぁいうの無視した方が良いって分かってるけど、」
坂田 みお「つい昔の癖で」
坂田 みお「どうしても引き下がれないんだよねー」
  私は部屋に飾ってある昔の写真を眺めた。

〇小さいコンビニ
  私は昔、ちょっとしたヤンチャっ子だった。
  目が合えば相手が勝手に道を避け、
  地元じゃ負け知らずの番長。
  しかし

〇休憩スペース
  社会人になったのを機にガラリと印象を変えた。
  周りには過去のことも、本当の自分も見せない。

〇女性の部屋
  煽り煽られなんて、ネットの世界じゃよくあること。
  虚しいことも、何も始まらないことも知っている。
  だけど、過去の自分がまだ心の中に生きていて
  こう囁くのだ。

〇黒背景
坂田 みお「売られた喧嘩は買うんじゃねー」
坂田 みお「買い占めろ」

〇女性の部屋
  私はただ、自分のことを知らない誰かとお話をしたいだけなのに
坂田 みお「どうしてこうなっちゃうんだろう」
  また今日も1人
坂田 みお「ぶった切ってしまった」
  日付は変わり、今日は日曜日の前日
  つまり土曜日でお休み
  明日お話しする人とは
坂田 みお(お休みの日に起きたこととかお話しできたら良いなぁ)
坂田 みお(明日こそは)
坂田 みお「素敵な方と出会えますように」

〇女性の部屋

コメント

  • こういう不快な人っているわー、と納得しながら読んでしまいました。反撃にスカっとしました。会話テンポが良くて臨場感たっぷりですね!

  • 最近はネットでこういったことが多いみたいですね。
    みおちゃんがやり返してくれたのでスッキリしました笑
    テンポのいいやりとりがすごく良かったです!

  • 楽しいストーリーでした。「え?忘れる?!(笑)」と思い、クスッと笑ってしまいました。会話のテンポもリズムがよくてよかったです。

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