感動のお話 〜海の幽霊〜 #1

姫野 ももな

生まれ変りたいと思えば、生まれ変われる(脚本)

感動のお話 〜海の幽霊〜 #1

姫野 ももな

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〇学校の校門
  今日は、海丘高校の修学旅行の日──
  この学校では、高校3年生が修学旅行に行きます。
  なので、今年で高校生活最後の行事がとても楽しみにしている生徒が沢山います
鈴木 千鶴「皆さん、静かにしてください!」
加藤 広樹「委員長も修学旅行を楽しまなきゃダメだよ」
鈴木 千鶴「ですが、私は委員長としての役目があるので・・・」
加藤 広樹「千鶴は、いい子だな」
鈴木 千鶴「ありがとうございます。 ・・・そろそろ列に並んでくださいね」
加藤 広樹「分かった!」

〇観光バスの中
  千鶴たちは、始まりの集いをしてからバスに乗った。
鈴木 千鶴「皆さん、今からレクの時間です! レク係の人は、前に来てください」
  千鶴がそう言って、すぐにレク係がバスの前の方に来た。
「今から怪談大会をします!!」
鈴木 千鶴「あの・・・怪談話って、どれぐらい怖いですか?」
加藤 広樹「全然怖くないよ! 面白半分で作ってるから!」
藤崎 直哉「そうそう! 広樹の言う通り、怪談話は全然怖くないから安心してね!」
鈴木 千鶴「それなら、良かったです」

〇温泉旅館
  千鶴たちは、怪談話で盛り上がっていたときに目的地に着いた。
鈴木 千鶴「とても大きい旅館・・・」
加藤 広樹「もしかして、千鶴はこういう大きい旅館来たの初めて?」
鈴木 千鶴「そうなんです! なので、今日をとても楽しみにしてました!」
加藤 広樹「じゃあ、この修学旅行を思いっきり楽しもうな!」
鈴木 千鶴「はい!」
藤崎 直哉「あれ? 委員長と広樹が一緒に話してるの珍しいね」
鈴木 千鶴「そうですか?」
藤崎 直哉「だって、委員長は真面目な性格だけど、広樹は、チャラチャラしてるじゃん?w」
加藤 広樹「おい、直哉!!」
藤崎 直哉「おお、やべ! 広樹を怒らせちゃった」
藤崎 直哉「また後でね、委員長!」
鈴木 千鶴「はい!」
加藤 広樹「全く・・・ 千鶴、俺ってそんなにチャラチャラしてる?」
鈴木 千鶴「私は、広樹くんがチャラチャラしてるとは思いませんよ」
加藤 広樹「ありがとう、千鶴」

〇旅館の和室
  先生たちの説明を聞いてから、千鶴はすぐに部屋に向かった。
鈴木 千鶴「意外と部屋は、狭いですね」
鈴木 千鶴「窓から?」
  千鶴は、部屋の窓を開けた。
  すると──
幽霊「ねえ、助けて・・・」
鈴木 千鶴「誰? ・・・見えない」
幽霊「早く行くよ!」
鈴木 千鶴「ちょっと、待ってください!」

〇海辺
  千鶴は、誰かと一緒に海まで走った。
鈴木 千鶴「あの、どうして海に来たのですか?」
幽霊「私の恋人がこの海に落ちてしまって、その人を助けに来たの・・・」
鈴木 千鶴「そんなことがあったのですね・・・」
幽霊「招待明かさないといけないわね」
鈴木 千鶴「ありがとうございます」
鈴木 千鶴「しょ、小学生!?」
広瀬 夏梨「おねーちゃん、びっくりしすぎ!」
鈴木 千鶴「だって、幼い子が早く亡くなってしまうなんて・・・悲しいじゃないですか」
広瀬 夏梨「私って、もう〇んでるの?」
鈴木 千鶴「はい、恐らく残念ながら・・・もう」
広瀬 夏梨「そ、そんな・・・」
鈴木 千鶴「悲しまないでください! きっと、いつか生まれ変われる日が来ますよ」
広瀬 夏梨「・・・そうかな?」
鈴木 千鶴「きっと、そうです!」
広瀬 夏梨「ありがとう、おねーちゃん!」
鈴木 千鶴「いえ、お役に立てれたなら良かったです」

〇旅館の受付
広瀬 夏梨「この旅館、広いね!」
鈴木 千鶴「そうですね」
加藤 広樹「あ、千鶴いた!」
加藤 広樹「全く、委員長が何してるの?」
鈴木 千鶴「すいません・・・。 今すぐ、部屋に戻ります」
加藤 広樹「部屋まで送ってく・・・」
鈴木 千鶴「ありがとうございます!」
広瀬 夏梨(この男の子・・・おねーちゃんのこと好きなのかな?)

〇旅館の和室
鈴木 千鶴「ふぅ、1日目なのに疲れちゃったな・・・」
広瀬 夏梨「私、いない方がいい?」
鈴木 千鶴「大丈夫ですよ」
鈴木 千鶴「少し疲れてしまっただけなので・・・」
広瀬 夏梨「それなら、良かった」
鈴木 千鶴「そろそろ寝ましょうか」
広瀬 夏梨「そうだね」

〇美しい草原
  次の日──
  千鶴たちは、朝6時に起床して草原に来ていた。
鈴木 千鶴「皆さん、今から自由行動です! あんまり遠くに行かないようにだけお願いします」
加藤 広樹「千鶴、俺たちと一緒に行動しない?」
鈴木 千鶴「広樹さんがよろしければ、お願いします!」
加藤 広樹「それじゃあ、行こっか」
鈴木 千鶴「そうですね」

〇森の中
  千鶴と広樹と直哉は、一緒に探索していた。
  ──そのとき、小さな黒い幕みたいなものが3人の前に現れた。
幽霊「・・・夏梨は、どこにいるの?」
鈴木 千鶴(なんか、この方・・・夏梨さんのこと探してる)
鈴木 千鶴「あなたは、夏梨さんの彼氏さんですか?」
幽霊「・・・そうだよ! でも、2年前に海の波に襲われて・・・」
鈴木 千鶴「夏梨さんに会いたいと思っているのですね」
幽霊「・・・うん」
加藤 広樹「なんか、千鶴たちが普通に会話してる・・・」
藤崎 直哉「広樹・・・ずっと、委員長のこと見てるけどどうした?」
加藤 広樹「別にずっと見てないしっ!!」
藤崎 直哉「広樹は、嘘が下手だな。 顔が真っ赤だ」
加藤 広樹「うるさい!」
加藤 広樹「千鶴に話しかけてくる」
藤崎 直哉(全く、しょうがねぇな)
  広樹と直哉は、千鶴の場所に向かった
鈴木 千鶴「あの、そろそろ影取っていただけますか?」
幽霊「そうだね」
???「千鶴、そろそろ行くぞ」
鈴木 千鶴「広樹さん!? ・・・少しだけ、待っててください」
加藤 広樹「千鶴が”少し待ってて”って言うの変だな。 どうした・・・?」
鈴木 千鶴「この幽霊さんと話してたの」
加藤 広樹「千鶴って、幽霊平気なんだな」
鈴木 千鶴「私は、幽霊苦手です! ・・・ただ、幽霊でも困っている子がいたら、ほっとけなくて──」
加藤 広樹「千鶴は、優しいな」
鈴木 千鶴「ありがとうございます」
加藤 広樹「それじゃあ、千鶴行こっか! 幽霊さんも!」
「そうですね!(千鶴) はい、(颯真)」

〇睡蓮の花園
鈴木 千鶴「とても綺麗な湖ですね!」
加藤 広樹「そうだな・・・」
鈴木 千鶴「あの、広樹くんがよろしければ一緒に写真撮りませんか?」
加藤 広樹「え!? ・・・いいよ」
鈴木 千鶴「ありがとうございます!!」
鈴木 千鶴「いい写真が撮れました!」
加藤 広樹「それなら、良かった」
加藤 広樹(はぁ、千鶴のこともっと知りたいな)
鈴木 千鶴「広樹くん、どうしました?」
加藤 広樹「いや、なんでもない!」
鈴木 千鶴「何か困ったことがあったら、私に相談してくださいね!」
加藤 広樹「ありがとう」
藤崎 直哉「2人とも歩くの速すぎ」
鈴木 千鶴「ごめんなさい、直哉くん」
藤崎 直哉「大丈夫だよ、委員長」
加藤 広樹「あ、3人で写真撮らない?」
藤崎 直哉「お、それはいい提案だな」
鈴木 千鶴「撮りましょう!」
鈴木 千鶴「また、いい写真が撮れました!」
藤崎 直哉「”また”?」
鈴木 千鶴「さっきも広樹くんと2人で写真撮ったんです」
藤崎 直哉「へぇ〜、だから広樹はさっきから顔が真っ赤なんだ」
鈴木 千鶴「え・・・?」
加藤 広樹「直哉、うるさい・・・」
鈴木 千鶴「広樹くん、やっぱり熱があるじゃないですか?」
加藤 広樹「全然無いからっ!!」
鈴木 千鶴「ちょっと、広樹くん!?」
藤崎 直哉「待ってっ、委員長まで行くの!?」
森山 颯真「なんか、大変なことになってるな・・・」
広瀬 夏梨「颯真っ!?」
森山 颯真「夏梨っ!? ・・・久しぶり」
  ギュッ!
森山 颯真「夏梨・・・?」
広瀬 夏梨「私、ずっと颯真のこと探してたの!」
森山 颯真「・・・俺も、夏梨のことずっと探してた」
森山 颯真「え、ちょっと夏梨?! 何泣いて・・・」
広瀬 夏梨「だって、私はもうこの世にいないから」
森山 颯真「夏梨・・・」
森山 颯真「でも、今は夏梨一人ぼっちじゃないよ」
広瀬 夏梨「え・・・?」
森山 颯真「今は、俺がいるから安心していいよ」
広瀬 夏梨「そうだね・・・。 私、颯真と一緒に天に登るね!」
森山 颯真「おう!」

〇海辺
加藤 広樹(はぁ、疲れた)
加藤 広樹(千鶴は、きっと・・・クラスメイトだから仲良くしてくれてるだけだよな)
鈴木 千鶴「広樹くん、速いです・・・」
加藤 広樹「千鶴!?」
鈴木 千鶴「でも、どうしたのですか? 急に走ったりして・・・」
加藤 広樹「・・・それは」
藤崎 直哉「広樹は、きっと委員長のことが好きだから、急に走ったんだと思うよ」
鈴木 千鶴「直哉さん!!」
鈴木 千鶴「本当ですか?・・・広樹くん」
加藤 広樹「ああ」
鈴木 千鶴「素直に答えられると、少し恥ずかしいです・・・」
加藤 広樹(千鶴・・・かわいい)
藤崎 直哉「広樹、今委員長のこと”かわいい”って思っただろ?」
加藤 広樹「少し思った」
鈴木 千鶴「なんか、広樹くんに”かわいい”って言われるの少し嬉しいです──」
加藤 広樹「・・・ありがとう」
藤崎 直哉「俺、委員長狙っちゃおうかな〜」
加藤 広樹「ち、千鶴は誰にも渡さない!」
藤崎 直哉「お、やっと素直に言ったね・・・広樹」
加藤 広樹「あ・・・」
鈴木 千鶴「え!? ・・・ごめんなさい、まだ広樹くんの気持ちには答えられません!」
加藤 広樹「え・・・」
藤崎 直哉「広樹、まだお前の気持ちに答えられないって言ってたから・・・」
加藤 広樹「うるさい!!」
藤崎 直哉「・・・ごめん」
加藤 広樹「少しお手洗い行ってくる」
藤崎 直哉「広樹・・・ほんとに委員長のこと大好きなんだな」
藤崎 直哉(少しからかいすぎたかな・・・)
広瀬 夏梨「お兄ちゃん、なんで落ち込んでるの?」
藤崎 直哉「別に落ち込んでないよ」
広瀬 夏梨「ほんと?」
藤崎 直哉「ほんとだよ」
広瀬 夏梨「おねーちゃんのこと、好きとか?」
藤崎 直哉「え・・・!?」
藤崎 直哉「委員長のことは、少しいいなって思うけど・・・広樹が委員長のこと大好きって気持ちが伝わっちゃってさ・・・」
広瀬 夏梨「おねーちゃんに告白しなくていいの?」
藤崎 直哉「告白しなくても返事・・・なんとなく分かってるから」
広瀬 夏梨「お兄ちゃん、素直じゃない」
藤崎 直哉「素直じゃなくてもいいよ・・・ 委員長と広樹が幸せなら」
森山 颯真「夏梨、直哉さん行きますよ」
「分かった!!」

〇山の展望台(鍵無し)
  それから、三年生たちは山に登った。
鈴木 千鶴「やっと、頂上ですね!」
加藤 広樹「そうだな・・・」
藤崎 直哉「委員長、今日の夜・・・話したいことがあるから宿のエントランスに来てね」
鈴木 千鶴「分かりました」
加藤 広樹(直哉・・・夜に話さないといけない内容なのか?)
加藤 広樹(なんか、嫌だな)
鈴木 千鶴「広樹くん、何か食べませんか?」
加藤 広樹「いいね! ・・・千鶴は、何にするの?」
鈴木 千鶴「私は、この都市の名物品を食べたいなと思ってるの」
加藤 広樹「俺もそれにしようかな・・・」
鈴木 千鶴「え・・・ 広樹くんが好きなものを食べればいいんですよ!」

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コメント

  • 千鶴も広樹も、幽霊を見ても怖がらないで妹や弟のように自然に相手をしてあげるところがいいし、お似合いのカップルでした。ハッピーエンド(恋愛成就)からさらに後日談のハッピーエンド(生まれ変わり)が重なって、素敵なラストでした。

  • 広樹君と委員長の初々しい恋心を、事故により彼氏を失ってしまった少女が盛り上げてくれているところがすごく良かったです。本当は自分が悲しいはずなのに、とても優しい幽霊さんですね。

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