蟻の巣城の花嫁

ざざむし

エピソード1(脚本)

蟻の巣城の花嫁

ざざむし

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蟻の巣城の花嫁
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〇闇の要塞
枢機卿「王よ お慶び申し上げます」
王「マク将軍が敵軍を 殲滅したそうじゃな」
枢機卿「将軍には 優秀な参謀が ついておりますからな」
王「べスか・・・ 女人ながら あっぱれな働き」
枢機卿「二人は 今宵 この蟻の巣城に むかっておるはず」
王「凱旋の 宴をせねばのう」
枢機卿「婚礼の式に なるかも しれませんぞ」
王「あ、 そういう事か では 尚のこと 盛大に催さねば・・・」

〇森の中の沼
マク「どうやら 道に迷ったらしい・・・」
べス「困りました 今夜中に 城へ 帰らなくては」
マク「段々 暗くなってきたぜ」
べス「王に戦果をご報告し 私たちの結婚を お許しいただかねば なりません」
マク「この森は 蜘蛛手の森といってな・・・ 道が蜘蛛の巣のように 分かれているんだ」
べス「そんな・・・ 二度と出られない かもしれないじゃないですか」
  その時
  森の奥から
  怪しげな
  笑い声・・・
べス「きゃー!!」
マク「で、出た!!」
べス「ちょっと! 怖がりすぎ・・・」
マク「魑魅魍魎には弱いんだ」
妖魔「きれいは穢い 穢いはきれい さあ 飛んで行こう 霧の中・・・」
べス「誰!! 出てきなさい!!」
妖魔「私は この森の番人・・・」
べス「おのれ! 魔性!!」
妖魔「お嬢さん この森の 出口を 知りたくは ないかい?」
べス「教えてくれるの?」
妖魔「さて そこの 男」
マク「え!? 俺?」
妖魔「東の道を行けば あなたは 蟻の巣城の 主となることが 出来る・・・」
マク「ほんとかい!?」
妖魔「南の道を選べば そこの お嬢さん──」
べス「え? 私?」
妖魔「あなたの子供が この国の主となる」
べス「じゃ 南に決めましょう!」
マク「勝手に決めるなよ!」
べス「あら 同じことじゃないの どうせ 私たち 結婚するんですから」
  そして
  二人は
  南へと続く道を選んだ──

〇暖炉のある小屋
マク「今 帰ったぞ」
メイド「おかえりなさいませ ご主人様」
マク「この度の戦果 王も枢機卿も たいへん お慶びであった・・」
メイド「それは よう ございました」
マク「明日は 宮殿で 結婚式だ・・・」
メイド「おめでとうございます ご主人様」
マク「お前には 世話になったが 今宵かぎりだ」
メイド「はい・・・」
マク「泣いているのかい?」
メイド「いえ・・・」
マク「そんなに 俺と離れるのが 悲しいのか・・・」
メイド「ご主人様の 行く末が 案じられて なりません」
マク「どういう意味だ?」
メイド「奥方さまになられるお方・・・」
マク「べスのことかい?」
メイド「お気をつけ あそばせ」
マク「どういう 意味だ?」
メイド「ご主人様を 裏切るかも しれません」
マク「何故 そう言える?」
メイド「昨晩 蜘蛛手の森で ご主人様は 魔性の者と お会いなされました」
マク「うむ・・・」
メイド「魔性はこう言ったはず 「東の道を選べば あなた様は蟻の巣城の 主となられる」」
マク「確かに・・・」
メイド「そして べス様には 「南の道を選べば お子はこの国の 主となる・・・」 と」
マク「まあ 私とべスの 子であれば 結果は 同じことだ」
メイド「おかしいとは 思われませんか?」
マク「・・・!?」
メイド「同じことなら 何故わざわざ べス様のお子と 言う必要が あるのでしょう?」
マク「何を言いたい?」
メイド「つまり べス様のお子とは ご主人様の お子ではない・・・」
マク「不義の子と いうのか?」
メイド「お気をつけなされ というのは そういうことで ございます」
マク「そもそも そなた・・・ 何で 昨夜の出来事を ぞんじておる?」
メイド「実は わたしも その魔性の者の 一族なのです ご心配なく ご主人様に仕え お家の安寧を守るのが 役目ですから」
マク「では 俺は どうすれば いいのだ!?」
メイド「先手を打つことです 明日の結婚式には 王も参列されます 機会を設けて 亡き者に・・・」
マク「暗殺せよというのか?」
メイド「ご心配なきよう 占いまするに 女の股から生まれ出た者に あなた様を殺めることは 出来ませぬ」

〇王宮の広間
べス「あなた 王のお姿が 見えないのですが・・・」
マク「王は俺が・・・」
べス「どうしたのです? その血塗られた手は?」
マク「この手で 王を殺めた・・・ その控えの間で」
べス「何ですって? 気でもふれたのですか」
マク「いたって正気だ・・・ この国の主は俺だ べスよ お前、誰と密通しているかしらんが 諦めるがよい」
べス「何てこと言うの!! もうすぐ 枢機卿の軍が 押し寄せてくるわ」
マク「俺は負けない 女の股から生まれた者に 俺は殺されることは ない! ははは つまり、俺は不死身なのだよ」
べス「さっきから どうしたの? 手を何度も洗って・・・」
マク「いくら洗っても また この手が 血まみれになる・・・」
枢機卿「そのその血は 洗えども 洗えども 消えぬ」
べス「あ 枢機卿」
枢機卿「マクよ お前は殺されることは ないだろうが その代り 一生、その血まみれの手を見て 罪の意識に苛まれるのじゃ」
マク「た、たすけてくれ!!」
枢機卿「べスよ! 早くここを逃げよう 大砂嵐がくる」
べス「きっと 神も お怒りなのですわ」
枢機卿「新天地で 我らの 新しい 国造りを・・・」

〇荒野
  大砂嵐は、一夜にして蟻の巣城を
  飲みこんでしまったーーー
  
  かつての城跡をしめす朽ち果てた標識が
  残るばかりーーー

コメント

  • 国王を手にかけた血は洗い流しても消えず、ベスのことを疑いながら生きていくって、なかなかハードモードな気もします。
    たしかに言い方が気になりますよね。
    「二人の子」じゃなかったですし。

  • 確かに子に殺されることはなかったけど、大砂嵐で国ごと消えてしまったのですかね…。
    生きていたとしてもその罪を永遠と背負って生きていく…たしかに罪ってそういうものですよね。

  • 森で選択した結果がその通りになりましたね。
    ベスは本当に裏切っていたのか、それすらも真偽がわからないままに物語が終わってしまいました。これは誤った選択ということで良いのでしょうか。

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