15代目の不運な日常

Jodio

エピソード1(脚本)

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〇おしゃれな居間
運川一「父さん、話って?」
  これは、とある一族にまつわる話。
  主人公「運川一」で、15代目となる、
  「運川家」の物語。
運川継「今日はお前に重要な話があるんだ」
運川栄「・・・」
運川一「爺ちゃんまでいるじゃないか・・・」
  父と祖父、その両者がいつもとは違って真面目な雰囲気に包まれている。
運川継「お前でこの運川家も15代続くことになる。お前もそろそろ二十歳になる歳だ。この際に話しておくことがあってな」
運川一「う、うん・・・」
運川栄「まずはわが運川家のルーツから語らせてもろおう・・・」
運川栄「運川家の初代は650年前の室町時代。誰もが彼のことを強運の持ち主だと認めるくらい、彼は運の強い男だったらしいのです」
運川継「世の中の流れを読んでいるわけでもねえのに、彼の行動すべてがうまくいったんだとよ」
運川継「商売をしてもうまくいって、当時のお偉いさんにも気に入られていたらしい」
運川一「へえ、羨ましいですね・・・」
運川栄「しかし、運の良さというものは遺伝するものではありません」
運川一「まあ、それは確かに・・・」
運川栄「初代である彼以降の2~9代目までは、みな運には恵まれなかったようです」
運川継「それどころか、みな不運に見舞われてばかりで、苦労したらしいぜ」
運川一「それは災難ですね・・・」
運川継「でも、思わねえか?現代の運川家はとても裕福な家系だと」
運川一「うん・・・まあ・・・」
運川栄「2~9代目はみな不運に苛まれていた。しかし、私の曽祖父にあたる10代目は、初代を思わされるほどの強運を発揮したそうです」
運川栄「9代目まではうまくいかなかった商売もうまくいって、不運にも遭わなかった」
運川一「それは良かった・・・」
運川栄「そんなとき、10代目は、初代の書き残した伝言の文書を発見した」
運川継「その内容は・・・」
運川継「初代のあとの世代2~9代目については、自身のために運を使うのではなく、10~14代目のために、運を蓄えるのだ、と」
運川継「それが運川家の発展のための、1番の最善策である、とな」
運川一「そんなこと・・・仕組めるものなのか!?」
運川栄「なにかしらの手段はあったのでしょう・・・。現に我々は、この豊かな暮らしを享受している・・・」
運川継「本題はそこじゃねえ・・・」
運川一「?」
運川継「言ったはずだ・・・2~9代目の蓄積した運の恩恵を受けられるのは、10~14代目までだってな・・・」
運川一「それってつまり・・・」
運川継「酷なことを言うが一。お前は人生の中で、運川家の運を享受できねえ・・・」
運川継「それどころか・・・14代目であるお前から22代目までは・・・」
運川継「運川家に自身の運を「献上」しなくちゃいけないんだ・・・」
運川一「そ、そんな・・・」
運川栄「あなたの未来は不運なものになる。それは確実なこと」
運川一「うう・・・」
運川栄「しかし、それは、初代が書き残したことに過ぎないのです」
運川一「・・・!!」
運川継「そうだぜ!!あくまで俺とお前の爺さんは、お前の幸せを1番に願っている!!」
運川栄「あなたにはこれから、多くの厄災が降りかかることでしょう。しかし・・・」
運川継「それを父さんたちが、享受できる運を使って乗り越えられるようサポートしてやる!!」
運川一「父さん・・・!!」
  これは運川家と、15代目である運川一の物語。
  15代目の不運な日常はこうして幕を開けた・・・!!

〇男の子の一人部屋
  父と祖父から運川家の伝承を聞いてから、1か月が経とうとしていた頃。
  運川一が自室の整理整頓をしていたある日。
運川一「うーーん!懐かしい!」
  プラモデルやぬいぐるみ。ラジコンカーなど、運川一が幼き頃から集めていた品の数々。
  それらはただの玩具ではなく、裕福な運川家が大金をはたいて手に入れた品の数々。
運川一「僕は不運だからって、父さんが預かるって言ってたけど、流石に家の中まで盗みに来る奴はいないと思うけどなあ・・・!!」
  そんなことを呟いていると、急に部屋の扉が開く。
運川一「ちょっと・・・ノックぐらいしてくれよー」
泥棒「あ!?人いるじゃねえか・・・!?」
  見知らぬ男が部屋に入ってきた。
運川一「え・・・!?だ、誰・・・!?」
泥棒「まずい・・・遭遇しちまった・・・!!」
運川一「・・・」
泥棒「・・・」
  一瞬、無言の空気が流れる。
運川一「えっと、どちら様ですか・・・?」
泥棒「い、いや、あんたこそ・・・」
運川一「僕は、この家の、この部屋に住んでる者です・・・」
泥棒「・・・」
運川一「・・・」
泥棒「殺るしかねえか・・・」
運川一「ええええ・・・!!」
運川一「すみません・・・目的はなんでしょう!?僕、何か悪いことしました!?何か欲しいものでもあるんですか!?」
泥棒「・・・プレミア価格がついてるマンダムのプラモデルだ・・・!!」
運川一「えええ、そんな!?あれ、190万円もするんですよ!?この家にあるって誰に聞いたんですか!?」
泥棒「てめえの大学のお友達からだよ・・・」
運川一「えええ・・・なんて不運・・・!!」
泥棒「俺にばったり遭遇しちまった時点でもう不運だろーが!!」
運川一「確かに・・・!!」
泥棒「分かったらさっさとよこせ!!」
運川一「うっ・・・!!」
  運川一の腹に、泥棒であろう男の拳が綺麗に当たる。
  しかも、運の悪いことに、みぞおちにクリーンヒットした。
泥棒「へへ、あったあった。これ、もらってくぜ・・・」
  限定フィギュアが簡単に見つかってしまった。運が悪い!!
運川継「おおおっと!」
  そのとき、天井が抜けて、今日留守であるはずの父親が落ちてきた。
泥棒「ぐあああ!?」
  そして、偶然、泥棒の真上に落下した。
運川一「父さん!?」
運川一「今日会社の部下たちとゴルフなんじゃ・・・?」
運川継「ああ、あれか。運悪くなくなってしまったんだ」
運川継「まあ、この様子を見ると、”運よく”なくなった、と言うべきなんだろうが、な」
泥棒「なんでお前ら二人とも留守じゃねえんだ・・・!!」
運川一「僕に関しては”運が悪かった”からです」
運川継「私に関しては”運が良かった”から、かね!!」
  そうして、その場で泥棒は現行犯で捕まった。
  今回の事件、無事で済んだのは、運川一の運を使ったからなのか、それとも、彼の父親の運を使ったからなのか。
  運悪く、真相は誰も知らないようだ。

コメント

  • この逆パターンも考えられますね。例えばお父さんやおじいちゃんが運よく宝くじが当たっても息子の一が運悪く紛失しちゃうとか。親子で行動してたら全ての出来事がプラスマイナスゼロになるかもですね。

  • なかなかこんな感じで泥棒に遭遇することって稀ですよね。お父さんが家に帰ってくれていてホントによかったですよね。結局運が悪いのは泥棒のほうだったっていうことですね。

  • あなたは不運な人生になりますなんて言われたら、私なら絶望してしまいます😂
    そして、家にいるときに泥棒が入ってきて遭遇するとは、本当に不安すぎます😂💦
    運川一さん、強く生きてください!

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