不思議なスウィートジャム

ぽむ

エピソード3(脚本)

不思議なスウィートジャム

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〇公園のベンチ
  ドサッ。
  重い荷物を置いて、
  ベンチに腰かけた。
マチ「ふう」
マチ(なんか、疲れちゃった・・・ 塾にピアノにバレエ。習字にダンス。 ずっと習い事)
マチ(ママもパパも、きょうは家で待ってるし、遊んでたら怒られちゃう。 帰っても、勉強しろって言われるし)
マチ(特にきょうはテストの点が悪かったから、家に帰るの嫌だなぁ)
マチ(本当はママもパパも、周りに恥ずかしくないようにってばかりで、私の気持ちを考えてくれない。 私のことが好きじゃないのかも)
マチ「少し休んでから帰ろー」
マチ「あら?」
マチ「なにかしら・・・」

〇奇妙な屋台
マチ(こんな屋台、あったかしら?)
謎の店主「あら、いらっしゃい。 初めてのお客様ね?」
マチ「こ、こんにちは。 何を売っているのですか?」
謎の店主「アナタに必要なものを売っているのよ。見ていく?」
マチ「必要なもの?」
謎の店主「そうねぇ。 アナタ見るからにお疲れのようで。 これなんかどうかしら?」
マチ(ヒーリンググッズかな?)
謎の店主「じゃーん」
謎の店主「これは、スウィートジャム〜」
マチ「スウィートジャム?」
謎の店主「そう、疲れたときには、甘いもの。 ただし、一日一回、スプーン一杯だけよ。ちゃんと守ってね」
マチ「へぇ・・・ でもお金持ってないの・・・ ごめんなさい」
謎の店主「いいワよ、今回は特別サービス。 試供品であげちゃう。 気にいったら買いに来ればいいわ」
謎の店主「はい、それじゃね」
マチ「あっ。 もらっちゃった」

〇おしゃれなリビングダイニング
マチ「ただいまー」
ママ「遅かったじゃない。 何してたの」
マチ「パパ、ママ、ごめんなさい」
ママ「仕事が忙しくて、まだご飯の用意してないから、なにか頼もうかと、パパと相談してたの」
パパ「この中から好きなものを選びなさい」
マチ「・・・」
マチ「わたし・・・ママの手料理がいい・・・」
ママ「今からは無理よ。 ワガママ言わないで。 美味しいもの食べられるわよ」
マチ「じゃ、いらない」
  パタン
ママ「マチ!こら、まちなさい」
パパ「まったく・・・ 反抗期だろうか。 オマエの躾がなってないのじゃないか?」
ママ「なによ! 私だって一生懸命やってるのに! 私にばっかり押し付けて! あなたこそちゃんと、面倒みてないじゃない!」
パパ「不愉快だ。 誰のお陰で、この家に要られると思っているんだ? もういい、ワタシは出かける」
  バタン。
「なによー!!! キーーーー!!!」

〇女性の部屋
マチ(あぁ、また始まった。 いつもケンカばかり)
マチ(・・・わたし、悪くないもん。 だって、ママの料理が食べたかったんだもん。私のためだけの。 何でもよかったのに)
  ぐー
マチ「お腹すいた・・・。 そうだ、あのジャム。 試しに紅茶に入れて飲んでみよう。 ポットあるからお茶ならわかせるし」
  コポコポコポ
マチ「よし、用意したぞ。 お味はどうかな・・・」
  キラリラリーン

〇おしゃれなリビングダイニング
マチ「おはよう・・・あれ?」
  トントントントン
マチ「ママ・・・お料理してるの?」
ママ「たまには、いいでしょ。 私だって料理くらい、するんだから。 簡単なものしか作れないわよ」
マチ「ママ・・・忙しいのに、ありがとう」
ママ「ワタシこそ、いつも忙しくて、ごめんね」
パパ「いい匂いがすると思ったら」
ママ「あら、おはよう。 こんな時間に、起きてくるなんて珍しいわね」
パパ「いい匂いにつられてな。 昨日は、ごめんよ。 お詫びに、週末に皆で一緒に、 買い物に行こう」
ママ「嬉しいわ。 ワタシも新しい服が欲しいし、 マチの靴も、そろそろ替えないとね」
マチ「わー、やったー。 ママ、私が欲しい物、ちゃんと覚えていてくれたの?嬉しい、ありがとう」
パパ「食べたら、片付けは僕がやるよ。 たまには役に立たなきゃな。 さ、食べよう」
ママ「いいえ、ワタシこそ。 さぁ、食べましょ」
マチ(どうしたんだろう、 急に、なんか優しい・・・ 嬉しいけど)

〇教室
  キーンコーンカーンコーン
マチ(なんか、きょうは 皆が優しくて変な感じ。 先生も、友達にも、褒められまくったし)
マチ(あの不思議なジャムのおかげ? まさか・・・ね)
マチ「さぁ塾に行かなきゃ。 がんばろ」
ヒロ「やぁ」
マチ「あっ みんなのアイドル南城くん。 どうしたの?」
ヒロ「アイドルだなんて 照れるなぁ〜 君に伝えたいことがあったので」
マチ「なあに?」
ヒロ「君も同じ塾生だろう? これから一緒に行かないかな〜 なんてさ。ハハ」
マチ「いいけど・・・ いつも周りにいた南城ファンメンバーは、どうしたの?」
ヒロ「君が好きなんだって言ったら、 みんな帰っていったよ。 ハハハハハ〜」
マチ「え、ええー なにそれー」
ヒロ「さ、行こうじゃないか〜」

〇住宅街
  ザァーザァー
マチ「雨が強くなってきたね」
ヒロ「悪いね、 傘を忘れてしまったものだから。 君と一緒の傘に入れて、僕は嬉しいけどね」
マチ「ふ、ふーん」
ヒロ「こんな夜道をレディ一人で帰すなんて、できないだろう? これからは毎日、僕が送り迎えするからね」
マチ「え、ええー そんな、いいよう〜」
ヒロ「遠慮しなくていいよ」
ママ「あら、マチ。お友達?」
マチ「あっママ」
ヒロ「はじめまして、僕は、 南城ヒロと申します。 マチさんのクラスメイトで、塾からの帰りなのですが、夜道は危ないので」
ママ「そう、ありがとう。 雨も強いし、よかったら上がっていって。 お茶でもいかがでしょう」
ヒロ「では、遠慮なく」
マチ(ええー)

〇おしゃれなリビングダイニング
ヒロ「ハハハハハハハハハ」
パパ「なんだ楽しそうじゃないか」
ママ「南城グループの一人息子さんなのだそうですよ。 マチと同級生で塾も一緒だったんですって」
パパ「これはこれは・・・。 娘がお世話になっております」
ヒロ「いえ、こちらこそ。 マチさんは塾もピアノも、とても優秀で、 僕の憧れでした。 これからもよろしくお願いします」
マチ(そんな風に思っていてくれたなんて。 知らなかった。 認めてくれる人もいたんだ。 嬉しい・・・)

〇女性の部屋
  外は嵐のようだし、
  泊まっていきなさいって。
  
  連絡したらOKって。
  相手のご両親もウチの親も
  仲良くなっちゃって。
マチ「・・・」
  なんか・・・恥ずかしい。
ヒロ「・・・」
  チュッ
マチ「・・・お茶入れるね」
ヒロ「うん」
  コポコポコポコポ
ヒロ「これは・・・なに?」
マチ「これは不思議なジャムなの。 一日一回スプーン一杯だけ。 そうすると、みんなが優しくなるの」
ヒロ「ふーん」

〇奇妙な屋台
マチ「・・・とまぁ そんな感じで、彼と付き合うことになったわけよ」
謎の店主「あら〜 よかったわねぇ」
マチ「それでね、 ジャムがもう無くなりそうなの・・・ 追加で買いたいんだけど」
ヒロ「おまたせ」
謎の店主「あら〜 噂のカレ? かっこいいじゃない〜 おにあい〜」
ヒロ「・・・もしかして、その瓶は。 例の・・・ジャム?」
マチ「そうだよ」
ヒロ「・・・そう。 さぁ、行こうか」
マチ「うん。 また来るね〜」
  「あーん、待って〜」
  
  パタパタパタ
謎の店主「おやおや」
謎の店主「あら、材料が無くなりそう。 また調達してこなきゃ」
謎の店主(ジャムが切れたら、 どうなっちゃうのかしら。 ねぇ)

〇教室
マチ「あっ、ななみ。おはよう〜」
  ザワザワザワザワ
マチ「騒がしいけど、どうしたの?」
ななみ「それがね・・・ 南城くんに会わせてくれって人が 学校にたくさん押し寄せてて・・・」
ななみ「いま峰山先生とか、先生達が入ってこないように、押さえてる〜 まるでゾンビの群れよ〜」
ヒロ「どうしよう・・・」
マチ「ヒロ、どうしてそんなことに?」
ヒロ「例の・・・ジャムをたくさん食べてしまったんだ・・・ そしたら」
ヒロ「ファンが急増して、僕の家にも、学校にも、たくさん押し寄せるようになってしまったんだ・・・ どうしよう・・・」
マチ(こっそり食べてたんだ・・・)
ななみ「・・・時間が経てば戻るんじゃない? 私もそうだったし」

〇奇妙な屋台
謎の店主「ジャムの効果はスプーン一杯で、24時間。 たくさん食べると・・・ いずれは効果がなくなるけどね」
謎の店主「とりすぎ危険、 足りなくても危険、 ・・・て事かしら 用法用量は守りましょうね」
謎の店主「ジャムを使わないで、 優しくなれるなら その方が、いいわよねぇ〜」
謎の店主「サテ、店じまい店じまい」

コメント

  • 読んでいて自然と笑顔になれる日常系ファンタジー、ステキですね!私自身の生活にも、スプーン一杯分の甘味が欲しくなってしまいました

  • 両親が冷たい感じで、喧嘩してるのを聞いてしまったり、マチは寂しかったんだろうなあと思ったら胸が痛くなりました🥲
    でもジャムのおかげでマチが幸せそうに過ごしていてホッとしました☺️
    マチのためにも、あの屋台はずっとあり続けて欲しいし、私も一度あのジャムを試してみたいです😁

  • ジャムを食べた本人ではなく、周りが変わるのですね。でももしかすると周りを肯定的にみれるようになるのかなとも思いました。なんでもトゲトゲせず感謝を持って過ごして行きたいものですね。マチとヒロはジャムのおかげ?で付き合ったけどジャムが切れたらどうなるのか気になりました。

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