エピソード2(脚本)
〇公園のベンチ
ななみ「ゆうや、もう私たち お別れなの?」
ゆうや「あぁ、好きな人ができたんだ。 もう俺の前にあらわれないでくれ」
ななみ「ひどい。ひどいよ。 私、ユウヤのいうこと、なんでも聞いてたのに」
ゆうや「そっちが勝手に、そう思ってただけだろ。 じゃあな!」
ななみ「ユウヤ・・・」
〇広い公園
ななみ「う、うぅわーん。 ひっく、ひっく」
〇奇妙な屋台
謎の店主「あら、お嬢ちゃんどうしたの? 可愛い顔が台無しよ~」
ななみ「かわいい?嘘ばっかり。 いま私フラれたばかりなのよ」
謎の店主「よかったら、話してくれない?」
ななみ「・・・」
〇教室
南條菜々美(ナンジョウナナミ)と、加賀美勇也(カガミユウヤ)はクラスメイト。
ユウヤは加賀美財閥の一人息子で王子様。
いつも取り巻きがいて、私みたいな庶民とは、話もできない。
たまたま残っていた時、チャンスはこれしかないと思った私、告白。
ななみ「加賀美くん、付き合ってください」
ゆうや「いいよ、ユウヤでいいよ」
ななみ「えっいいの? 私でいいの? (そんなあっさり?)」
ゆうや「いいよ」
というわけで、付き合うことになった。
〇渋谷駅前
ななみ「ごめんなさい、お待たせしました。 電車が遅れちゃって」
ゆうや「遅いよ。 早く行くよ」
ななみ「はい・・・ (今日は初デート。ワクワクする)」
〇ナイトクラブ
ななみ「えっ、ここって。 学校で禁止されてるとこ・・・」
ゆうや「ここ俺の店だから」
ミドリ「ユウヤー 遅いよー待ってたんだからー」
ゆうや「あぁ行くよ」
ななみ(えぇー デート・・・だよね?)
〇ホストクラブの待機スペース
ななみ「はぁ・・・」
人気者の彼は忙しそうで、
私は仕方なく、隅でひとりで、
お茶してた。
ドサッ
ゆうや「あー疲れた」
ミドリ「めっちゃ楽しかったねー 今度さーみんなで サイパン行くって言ってんだけどー ユウヤも行こぅよー?」
ゆうや「いいね、じゃあ 船上パーティーでも、やろうか」
ミドリ「えーやったー みんなーサイパンいくよぉ~」
オーディエンス「わー」
ななみ「さすが・・・凄いです」
ゆうや「そう? 君も来る?」
ななみ「えっ・・・いいんですか?」
ゆうや「いいよ」
ななみ(わー、夢みたい)
〇クルーザーのデッキ
ミドリ「すごい楽しみにしてたのー」
ゆうや「よかったな」
ななみ(ちょっと体調良くないけど、がんばる)
ミドリ「ねぇ、アナタはユウヤのなんなの? いつもユウヤに付きまとってるけど、迷惑じゃない?」
ななみ「えっ」
ミドリ「わたしぃーユウヤの婚約者。 狙おうなんて馬鹿なこと考えないでね。 身分相応なコ、紹介してあげるから」
ななみ(婚約者?)
〇奇妙な屋台
謎の店主「それで、どうなったの?」
ななみ「ひっく。 婚約者がいるのに、私と付き合うって言ったの?って聞いたら、そうなんだって」
ななみ「取り巻きのコ達全員と付き合ってたって」
謎の店主「あら~悪いオトコね~」
ななみ「だけど・・・ あきらめきれない。 身分違いって、わかってるけど」
謎の店主「わかったわ。そんなアナタに・・・ ジャーン!!!」
ななみ「えっ」
「洗剤革命~」
ななみ「なにこれ・・・柔らかくて、ふよふよしてる」
謎の店主「これは、今流行りの洗剤よ~ ゼリーボールって知らない?」
ななみ「洗剤・・・?」
謎の店主「そう、嫌なことは、これと一緒に流しましょ~」
ななみ「はぁ・・・」
謎の店主「その人の思い出とか服とか、 綺麗にしたいものを洗っちゃうのよ~ そしたら革命がおこるわ~ 名付けて「洗剤革命~」」
謎の店主「今回は特別サービスで試供品あげるから。 遅いし、もうお家に帰んなさい」
ななみ「あ、ありがとうございました」
謎の店主「また欲しくなったら言ってね~ ココで売ってるから~」
謎の店主「・・・さてと。試作品の効果はどうかしら」
〇清潔な浴室
ななみ「えーっと、じゃあ」
ななみ「彼のハンカチと・・・ これを入れて スイッチオン」
洗濯機は回る。
ゴウゴウゴーン
キラリラリーン
〇クルーザーのデッキ
ミドリ「ん・・・んん・・・」
ミドリ「相変わらず激しいんだから・・・」
ゆうや「お前もだろ・・・」
突然、強い風と雨がやってきた。
ミドリ「きゃー」
〇クルーザーのデッキ
「うわーーーー」
〇水中
ゴボゴボゴボゴボゴボ・・・
〇教室
キーンコーンカーンコーン
ななみ(ユウヤ、来なかった。 どうしたんだろう・・・)
まち「ねぇ、ななみ聞いた? 加賀美くんのこと」
ななみ「どうかしたの?」
まち「いま通知が来て、 加賀美くんのクルーザー事故って」
ななみ「えっ?」
まち「私も・・・加賀美くんが好きだったんだよぅ・・・ うぇえええん・・・」
「確かめてこなくちゃ・・・」
パタパタパタパタ
〇奇妙な屋台
ななみ「あのー」
謎の店主「あら、お嬢ちゃん、いらっしゃい」
ななみ「例の洗剤・・・使ったんですけど」
謎の店主「どうでした?」
ななみ「ユウヤ、いなくなっちゃった。 乗ってた婚約者と一緒に」
謎の店主「あらそう~ じゃあ効果はあったのかしら!?」
ななみ「効果!? ユウヤを返して・・・ そんなの頼んでない・・・」
謎の店主「まあ、これでも飲んで落ち着きなさい。 帰ってくると信じるのよ。 そうしたら・・・ね?」
ななみ「・・・ゴクリ」
キラリラリーン
〇教室
まち「おはよー」
???「おはよー」
まち「えっ誰?」
???「私は、ナナミ」
まち「ええっ」
ゆうや「おはよう!」
まち「加賀美くん!!! 元気だったの!?」
ゆうや「この優しい人が助けてくれたんだ~ 僕のフィアンセさ~」
???「すぐにスキューバダイビングで救助に向かったの。 筋肉が重くて沈みやすいから、探しやすかったわ」
まち「えええ・・・」
まち「他の人達は・・・?」
ゆうや「事故に遭う前のことは、 よく覚えていないんだ。 僕にはこの人だけさ~」
まち「・・・」
まち(勝てそうにない・・・ 諦めよう・・・)
〇水中
ゴポポ
ミドリ(わたし・・・生きてる・・・ でも、 どうなっちゃったの?)
ミドリ(あ、お魚さ〜ん)
〇奇妙な屋台
謎の店主「信じるものは救われる~ 心まで洗い流されちゃったかな? サテ、店じまい店じまい。 チャオ~」
〇風
おわり
この作品は本当に面白かった!不思議な品物を売る謎の店主と、彼女の人生を変える洗剤に引き込まれたよ。物語は舞台を移しながら進み、キャラクターたちの関係性もじわじわと深まっていく。特に、主人公のななみちゃんは、前向きで強くて素晴らしい。このヒューマンなストーリーは、誰でも共感できると思う。洗剤革命を読むと、何か新しいことに挑戦したくなるような気がする。これからも、この作者の作品が待ち遠しくなってしまいそうだ!
サメの女王さまが気になったのできました〜すっごい面白かったです〜ありがとうございました〜♪
ちょうど洗濯機を回しながら読んでいたので、手元のジェルボールの効能を何度も見返してしまいましたww 勧善懲悪が過ぎる展開かと思っていたら、まさかのオチ!イイ塩梅すね