読切(脚本)
〇男の子の一人部屋
グッス・・・ひっく・・・ひっく
夏樹「父さん・・・どうして死んじゃうの。」
夏樹「どうして・・・」
夏樹「まだいっぱい話したいことあったのに・・・」
夏樹「くまぞう、助けてよ。」
くまぞう「・・・」
夏樹はくまぞうを抱きしめ、そのまま寝てしまった。
〇男の子の一人部屋
父さん「んっ、んー。ここは・・・?」
父さん「あ、あれ!?な、夏樹が隣に!?」
父さん「なんで父さんは夏樹の部屋にいるんだ? というか、なんか体の感じが・・・」
父さん「か、体が・・・くまぞうに!?」
夏樹「んっ、んんっ~」
夏樹「寝ちゃったのか・・・」
夏樹「え!?くまぞうが動いてる!!!!!」
父さん「夏樹・・・父さんだよ。」
夏樹「く、くまぞうが喋った!?」
父さん「夏樹・・・父さんなんだ・・・。」
夏樹「え・・・と、父さん?」
ドン、ドン、ドン、ドン・・・
階段を上ってくる音がした。
(か、母さんだ・・・!?)
ガチャ!!
強そうな魔人「あ!!遅れました~!!お疲れ様です~」
「え・・・!?」
強そうな魔人「あ・・・!!」
強そうな魔人「ま、間違えました・・・。失礼しまーす。」
夏樹「え、今の何・・・?めちゃくちゃ強そうな人来たんだけど。なんか、RPGのラスボスみたいな人来たんだけど。」
父さん「う、うん。なんだったんだ。」
ドン、ドン、ドン、ドン・・・
階段を上ってくる音がした。
(か、母さんが来る!?)
ガチャ!!
強そうな怪物「ごめん~みんなお待たせぇ~遅れて、すいま千円・・・」
「・・・」
強そうな怪物「ん、んんっ!!失礼した。」
強そうな怪物「先ほど、RPGのラスボスみたいなやつは来なかったか?」
夏樹「あ!!さっき来ました。もう帰りましたよ。」
強そうな怪物「そ、そうか・・・では失礼する。」
夏樹「あ、朝からなんなんだよ・・・」
父さん「ん、んー・・・父さんにもわからないなぁ。」
夏樹「なんか、父さんがくまぞうになっているのがどうでもよくなちゃった。」
父さん「たしかに・・・」
ドン、ドン、ドン、ドン・・・
(もう何が来ても驚かない気がする・・・)
ガチャ!!
母さん「夏樹!!朝からうるさい!父さんがいなくなって悲しいのはわかるけど、母さんも悲しいのは一緒なの・・・」
「なんだ~母さんか・・・」
母さん「なんだ~って何よ・・・」
母さん「!?!?!?!?」
母さん「く、くまぞうが立ってる!?」
夏樹「あ、あー。くまぞうじゃなくて、父さんなんだ。」
くまぞう「おはよー母さん。僕だよ。」
母さん「ちょ、ちょっと待って・・・昨日のショックで頭がおかしくなったのかもしれない。」
母さん「とりあえず、ここじゃあれだからリビングで話しましょ。」
〇明るいリビング
母さん「それで・・・いったいどういうことなの?」
夏樹「聞いてよ!くまぞうが父さんなんだ!!死んだはずの父さんがくまぞうになったんだ!!」
父さん「母さん、いや絵美・・・信じてくれ。目が覚めたらくまぞうになっていたんだ。」
母さん「あんまり説明になっていなき気がするけど・・・じゃあ、この質問に答えられたら信じる。」
母さん「私の誕生日は?」
父さん「七月十日!」
母さん「じゃあ、初デートの場所は?」
父さん「水族館!!あの日の帰り道・・・僕は絵美にキスをした。」
母さん「ええ、そうね。じゃ、じゃあプロポーズの言葉は?」
父さん「忘れるわけないだろ・・・夕日が浮かぶ海辺で僕は言った。俺のものになれよ・・・って。」
母さん「そう・・・とても嬉しかったわ。」
夏樹「う、うわぁ・・・なんかあんまり聞きたくなかったかも。二人とも僕がいること忘れてない?」
「あ!?」
母さん「え、えーと。じゃあ最後の質問というか、最後に教えて欲しいことがあるの。」
母さん「春奈って誰?その人からの素晴らしい文章が書かれた手紙を拾ったんだけど・・・」
父さん「え、えーと・・・」
夏樹(あ、これはもうダメなやつだ・・・)
夏樹は修羅場となる空気を察し、消えていった──
母さん「さあ、説明してもらおうかしら・・・」
父さん「ゆ、許して・・・」
・・・
〇明るいリビング
数時間後──
夏樹「もう、仲直りしたー?」
母さん「もういいわ・・・許す。」
父さん「え!?」
母さん「うん・・・」
母さん「せっかく、生き返ってくれたんだから・・・」
母さん「もう、二度目はないからね。」
母さん「次は、私の愛刃が喉を掻き切るわよ。」
父さん「う、うん!!もうしないから!誓うから!」
母さん「うん・・・信じる。」
夏樹「おー!よかったよかった~ じゃあ、父さんが生き返ったことだし・・・」
ガチャ
「!?」
強そうな魔人「こっちです!」
強そうな怪物「こいつです!」
死神「失礼します。皆さん、こんにちは。死神と申します。」
「え!?」
死神「報告、ありがとうございます。お二方はもう帰って頂いて結構です。」
強そうな魔人「は、はい!?では、失礼しました。」
死神「実は昨日、我々のミスで死ぬべき人ではない人を死なせてしまいました。」
死神「それがクマの人形の中にいるお父様です。」
死神「心から謝罪申し上げます。」
父さん「え、えーと。わかりました。」
父さん「いや、わからないですけど・・・わかりました。」
死神「ご理解感謝致します。」
母さん「あ、あの・・・これからどうなるんですか?」
死神「このまま過ごして頂きます。」
死神「お詫びとして永遠の命付きで・・・」
死神「では、また参りますので。良き日々をお過ごしください。」
父さん「ちょっと・・・待って・・・あ、あー。行っちゃった。」
夏樹「死神・・・超かっこいい~」
「え!?」
夏樹「また来るって言ってたよね~楽しみだな。」
父さん「そ、そうだね・・・」
母さん「な、なんか・・・今日は色々ありすぎて疲れちゃった。」
母さん「色々と話したいことはあるだろうけど、明日にしましょう。」
夏樹「うん!わかった!!」
父さん「うん、そうしよう・・・」
ここから、不思議な家族の物語は始まったのだった──
〇魔界
強そうな魔人「あー、怖かった・・・」
強そうな怪物「まさか死神に会うなんて・・・」
強そうな魔人「というか、あの家族色々情報量すごかったよな!」
強そうな怪物「たしかに・・・今度また覗きに行ってみますか!」
強そうな魔人「お!!いいね~そうしよう!」
ぬいぐるみとして永遠に生きるか、人として普通に死ぬか。究極の選択だったけど、そもそも選択の余地なかったですね。お父さん、夏の間は大変そう。なんだかんだお母さんの顔が一番怖かったです。
展開が急すぎて中々飲み込めなさそうですね笑
自分の父が、と考えたらなんだか面白い気がする反面怖いかもしれません。今後の展開も気になります!