転職系アイドルのつくりかた

陽花

エピソード1(脚本)

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陽花

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〇古いアパートの部屋
金比羅 闘「死闘 格闘 大乱闘」
金比羅 闘「名は体を表すって言うだろう? 俺がその悪い例」
金比羅 闘「さて、宿敵・・・じゃなかった 俺の妹を紹介しよう」
金比羅 氷「闘!なにやってんのさ~! ボクのクッキーもう無いんだけど?」
金比羅 闘「知るか」
金比羅 闘「氷と書いて、ひょう 一回凍ってくれば良いのに」
金比羅 水「兄さーんっ!見て!千利休の生写真!」
金比羅 水「これは貢がなきゃ・・・!」
金比羅 闘「水と書いて、すい 貯金をいつも水に流す」
金比羅 闘「『千利休』は推しアイドルの名だ」
  ・・・
金比羅 闘「あぁーっ!!一人暮らしがしたい!!!」
金比羅 闘「しかし我が家には、 こいつらを見捨てられない宿命があった」

〇ライブハウスのステージ
  アイドル
  うちの先祖は代々、アイドル。
  こいつらもその才能を受け継いでいる
  ・・・はずだ
金比羅 闘「ちなみに今年で10年目」
金比羅 闘「ちょい前、古参ファン5人消えた」

〇古いアパートの部屋
金比羅 闘「俺らの代で伝統ぶったぎるとか・・・ マジ洒落になんねぇ」
金比羅 氷「そーならないように ボクらが頑張ろうって事っしょ~?」
金比羅 水「そうよ兄さん! 私達がいなかったら誰が千利休に貢ぐの」
金比羅 闘「お前アイドルの自覚あります!?」
金比羅 氷「は~あ、カリカリしすぎだって。 「金比羅さまに見限られて」だよ」
金比羅 氷「努力なんかしなくても今に神風が吹くさ!」
金比羅 闘「なるほど見限られない方がおかしい訳だ」
金比羅 闘「はい、話聞け~。 戦略会議のお時間だ」
金比羅 水「戦略?新しい企画の事ですか?」
金比羅 闘「そうだ 『コンセプトアイドル』やろうと思ってる」
金比羅 闘「自分のつくったキャラクターを演じて トークしたり、歌ったりするアイドルだな」
金比羅 闘「俺が推したいのは『中二病』系」
金比羅 氷「おぉ~! なりたい自分でアイドルをやれるわけだ!」
金比羅 闘「そのとおり」
金比羅 闘「どうだ、ワードセンスをぶちまけたい欲望がたぎってきただろう?」
金比羅 水「わ、我らが大地の黒く染まりし時・・・ ほとばしる使徒は、プラズマのごとし! ブラック・ペッパー!!」
金比羅 闘「こしょうをぶちまけろとは言っていない」
金比羅 氷「守り神さん素敵! お願い、楽して売れさせてっ!(作り声)」
金比羅 闘「本音をぶちまけろとも言っていない」
金比羅 闘「んじゃ、キャラつくっていくぞ」
「はーい!」

〇古いアパートの部屋
金比羅 闘「キャラ作りってどんなイメージ持ってる?」
金比羅 氷「はわわ~っ! 間違えてランドセル持ってきちゃったぁ!」
金比羅 闘「ボロボロの12年生」
金比羅 闘「・・・ま、近いな 今回はダークな性格を作るんだが」
金比羅 水「『封印された闇の魔女』とかの感じ?」
金比羅 闘「おお、どんな大喜利が来るかと構えたら 普通に良い」
金比羅 氷「今のボクは氷のプリンスが転生した姿 見た目変われど魔力は健在、 見たものは心までも凍てつく! よし、決まりぃ!」
金比羅 闘「お前、さては経験・・・」
金比羅 氷「あるわけないっしょ!?」
金比羅 闘「お、おう」
金比羅 水「ところで お披露目イベントはもう決まってるの?」
金比羅 闘「ああ!この道10年 人脈は、腐って異臭を放つほどあるからな」
金比羅 水「コネクションを生ゴミ扱いする プロデューサーって・・・」
金比羅 闘「売れないマネージャーやってる友達に あたってみるよ」

〇華やかな広場
  翌日
金比羅 闘「まさか1時間で話が付くとはな」
ヲタくん「本日おひろめ! 新アイドルの引き立て・・・・・・」
ヲタくん「じゃなかった」
ヲタくん「先輩として頑張ってや!」
金比羅 闘「あっ、はい、ちーっす」
金比羅 闘「いかんいかん」
金比羅 闘「今日で一泡吹かせてやる!」
金比羅 氷「おまたせ~っ!」
金比羅 水「いよいよだね・・・!」
金比羅 闘「俺はそろそろ」
「あ、お前ら、自信持ってけよー!」
金比羅 氷「あーやって背中で言うのなんかずるいよね」
金比羅 水「あはは・・・兄さんって感じ」
金比羅 氷「よーし!なりきろー!」
金比羅 水「ええ!」

〇中庭のステージ
金比羅 闘(えーと、俺です)
金比羅 闘(目立たない所から見てます)
金比羅 闘(・・・俺にも あんな時期やこんな時期があった)
金比羅 闘(今日は古傷がえぐられる事だろう)
金比羅 闘(って、だめだ! 純粋な心で あいつらを応援しなくてはっ!)
金比羅 水「深淵と書いてアクアと読む・・・」
金比羅 水「女神よ!あたしに力を!」
金比羅 水「一番の退魔師と言えば、このあたし!」
金比羅 氷「愚者よ。ボクのまなざしに貫かれるが良い」
金比羅 氷「ボクの『冷鳥の剣』に勝てる者 この国には居ないみたいだね?」
金比羅 闘(はい国内最強ダブルブッキング! てかお前ら打ち合わせ通りにやれよ!!)
司会者「本日のテーマ『デビュー』」
司会者「今日デビューを迎える新人アイドル 絡めて二人がデビューされた時の エピソードをどうぞ」
金比羅 氷「へぇボクのデビュー話が聞きたいのかい?」
金比羅 氷「おもしれー女(暗黒微笑)」
金比羅 闘「まずい、違う意味でハートに来るぞこれ!!!」
金比羅 氷「ボクの復活は、309年前」
金比羅 氷「平安時代の事だった」
金比羅 闘「居ないよ(1714)ウグイス平安京!!」
金比羅 水「火縄銃で撃たれた所がかゆくって 封印も解けちゃって」
金比羅 闘「和歌と、笛と、発砲音! こんな平安時代は嫌だ!」
金比羅 水「で、暴走しちゃって・・・」
金比羅 氷「そうそう!その時暴走を止めてくれた ファンの皆がいるから」
金比羅 水「私と!」
金比羅 氷「ボクは!」
「ここにいるっ・・・!!」
金比羅 闘「いや無理があるっ・・・!!」
  ・・・ウケている。解せぬ。
司会者「素敵なエピソードでした」
金比羅 闘(どこがやねん)
司会者「平安時代」
司会者「当時の文化、何か語っていただけますか?」
金比羅 氷「うーん、やっぱ肉だね。 仕留めたばかりのマンモス」
金比羅 闘(ゾンビじゃねーのそれ)
金比羅 氷「やたら街に入ってくるからねぇ」
金比羅 水「まとめて退治したら 徳川家康に気に入られちゃって、もう大変」
金比羅 闘「教科書を!要約したら!こうなった!」
金比羅 水「文化といえばあれね! 和の国の誇る、伝統文化!」
金比羅 氷「あー!あれ!えっと」
金比羅 水「矢を射るやつ!ゆったりした服で、 空気はピリピリしてて」
金比羅 闘(『弓道』・・・! 歴史とロマンの伝統文化!)
金比羅 闘(いいぞ!先祖代々アイドル一家! 格の違いをみせてやれ!)
金比羅 氷「そうそうっ!eスポーツ!」
金比羅 闘「俺もうどんな顔して お墓参りしたら良いのかわかんねーよ!!!」
  ・・・ウケている。解せぬっ!!
金比羅 闘(・・・)
金比羅 闘(あーやって雰囲気と笑顔に人がついてくる)
金比羅 闘(あいつらは昔からそう)
金比羅 闘(青い瞳に、カラフルな髪 それが才能の象徴だった)
金比羅 闘(天賦の才が目に見える俺の家。そして業界)
金比羅 闘(時々俺の心まで、黒くなる アイドルを支える影なしに、あいつらは 光らないと分かっていても)
金比羅 闘(知らなかったなぁ・・・)
金比羅 闘(あいつらが、家族が光ると 俺まで光を放ったような気分になるなんて)
金比羅 氷「ちゃんと見てるかーい!?」
金比羅 水「そうだよ!私達やったよー!!」
金比羅 水「兄さーーーん!!」
金比羅 闘「俺達のアイドル人生、終ーーーー了ッ!!!」
  ファンがざわつき始める
  ショックを受けるやつがいる。
  
  裏切りを追及するやつがいる。
  
  泣き崩れるやつがいる。
  
  服を脱ぎ始めるやつがいる。
金比羅 水「や、やば・・・!どうしよう!?」
金比羅 氷「ボク、また何かしちゃいましたかね!?」
  キャラ口調が消えたぞと叫ぶやつがいる
  
  服を脱ぎ始めたやつが退場させられていく
金比羅 闘「わーお地獄絵図・・・っ! じゃなくて!くっ、どうすれば・・・!」
金比羅 水「み、皆さん!落ち着いて!」
金比羅 氷「おちつい・・・」
???「お静まりください」
金比羅 闘(なっ・・・ 一瞬で深海のような静けさに!?)
壇之浦 マリン「新人アイドルの、だんのうら マリン よろしく」
  この後おひろめされるとかいう新人だ
  特別な事は言っていないし、やっていない
  なのに目が離せない
司会者「あっ!お二人とも! ありがとう、ございました!」
  アイドルだというのに無表情
  瞳が青い・・・?
  まさか、あいつも俺達と同じ・・・
  会場は彼女に夢中であった。

〇華やかな広場
「二人ともっ」
金比羅 闘「お疲れっ!」
金比羅 氷「・・・」
金比羅 闘「落ち込むなってトーク良かったぞー!」
金比羅 水「違う、違うの兄さん」
金比羅 闘「違う? 別に変わった事なんて・・・」
金比羅 闘「え!?どうしたんだそれ!」
金比羅 水「わかんないの!」
金比羅 闘「あ、有り得ない、こんな事! 何故だ!?」
金比羅 闘「瞳の色が変わっている!?」
金比羅 水「どうしよう 『家の青い目はアイドルの神様の証』って」
金比羅 闘「ってことは神様を・・・とられた?」
金比羅 闘「・・・」
金比羅 闘「まとめると お前ら2人に憑いていた『神』とやらが」
金比羅 闘「お前らを離れ あの新人アイドルに行ってしまったと」
金比羅 闘「で、神の力で努力なしに歌えていた歌 ダンスも全部失ったと」
金比羅 氷「失ってから初めて気づいた。 全部、ボク自身の力じゃなかったって」
金比羅 氷「努力しないと・・・ボクは」
金比羅 水「その上で猫系アイドルとか、 和風系アイドルとか あらゆるのを試して神を取り戻します!」
金比羅 水「作り込まれた個性と努力」
金比羅 水「たとえ才能を無くしても這い上がれる! 私たちなら!」
金比羅 闘「その手段としてコンセプトアイドルか」
  コンセプトアイドルで頂点を目指す
  家族の伝統を受け継ぐため!
  神をも捕らえられるようなトップを!

コメント

  • 「先祖代々アイドル」という設定ww
    テンポのいい会話、でもその内容がどんどんとカオス化していくところに笑ってしまいました。

  • 現実の世界でも、頂点を極めるアイドルは技術や努力といった人智を超えた神からのgiftedのような人たちのような気がする。でも、giftを失った水と氷には姉妹漫才のできる家内制手工業アイドルとして羽ばたいてほしいです。

  • 地の文まで全部喋ってるかのような兄さんの口調がナイスだと思いました。登場アイドル達の苗字・名前ともに水属性なのも気になります!

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