【短編】めでたい頭

ぐぅ先

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〇学校の廊下
  タッタッタッタッ・・・
ナオ「カルミ、ボクと付き合ってくれー!」
カルミ「ざけんな色ボケ野郎!」
ナオ「ぐふっ・・・」
ナオ「カルミ・・・ 君の愛が欲しいんだ・・・!」
カルミ「うるせぇ!!」

〇黒

〇学校の廊下
ナオ「か、カル・・・、ミ・・・」
カルミ「ったく、ナオのヤツ・・・」
カルミ「「めでたい頭」しやがって・・・」
  すたすた・・・
  ・・・・・・
シュニカ「・・・・・・むむ?」
シュニカ「うーん・・・」
シュニカ「カルミちゃんの「めでたい頭」って、 どういう意味なんだろ・・・?」
シュニカ「・・・」
シュニカ(「頭」になにかしたい、 ってことかな・・・)
シュニカ(おなかがすいたらご飯を「食べたい」、 眠くなったら「寝たい」・・・、)
シュニカ(食べ「る」、寝「る」・・・)
シュニカ「・・・「めでる」?」
シュニカ「・・・」
シュニカ「「めでる」はどういう意味なんだろ・・・」
シュニカ「・・・分かんないや。 誰かに聞こうっと」
  すたすた・・・

〇黒

〇学校の廊下
シュニカ「ってそうだ、ナオちゃんがいるじゃん!」
シュニカ「ねーねー、ナオちゃんナオちゃん!」
ナオ「いててて・・・」
ナオ「・・・・・・おお、シュニカじゃないか。 ボクになにか用かい?」
シュニカ「実はかくかくしかじか」
シュニカ「って言う必要もないんだけど 「めでる」ってどういう意味か知ってる?」
ナオ「「めでる」? ・・・ほほう!」
ナオ「それはボクの得意分野だよ!」
シュニカ「ホントー?」
ナオ「ホントだとも! いいかい、「めでる」とはね・・・」
ナオ「ズバリ「愛」のこと! 愛を持って接する、ということさ!!」
シュニカ「おおーっ!!」
  ・・・
  ・・・
シュニカ「・・・つまり、どゆこと?」
ナオ「そうだな。例えば・・・」
ナオ「相手を撫でてやったり、 抱きしめてやったり・・・」
シュニカ「なるほどー! じゃあ、「頭をめでる」だとどう?」
ナオ「それこそ、撫でるということ! つまり、「頭をナデナデする」だな!!」
シュニカ「やっぱりそっか! 教えてくれてありがとー!」
ナオ「フッ! いやいや、それほどでも・・・」
ナオ「また困ったことがあれば、 いつでも聞きに来てくれたまえ!」
ナオ「なんなら、キミの頭も 「めでて」やりたいところだからな!」
シュニカ「そうなの? ふーん・・・」
ナオ「しかし、なんだが・・・ 何故ボクにそれを聞きにきたんだい?」
シュニカ「それなんだけど、 カルミちゃんがさ」
ナオ「ほう、カルミがどうしたって?」
シュニカ「「ナオちゃんの頭ナデナデしたい」 って言ってたよ!」
  ・・・
ナオ「!!?」
ナオ「な、な、それは本当なのか!?」
シュニカ「うん。 「頭」を「めでたい」って言ってた」
ナオ「な、なんだってー!! こうしちゃいられない、」
ナオ「すぐ会いにいくぞカルミ!!」
  タッタッタッタ・・・・・・
シュニカ「行っちゃった・・・」
シュニカ「せっかくだから着いて行ってみようっと」

〇黒
  ・・・数分後

〇まっすぐの廊下
「カルミぃぃぃぃ!!!」
カルミ「げっ・・・」
ナオ「カルミ、聞いたぞ! ホントはボクのこと好きなんだろう??」
カルミ「・・・は? 頭大丈夫か?」
ナオ「そうそう。大丈夫じゃない。 だから撫でてくれ!」
カルミ「・・・おい、ついにイカレたのか? いや、元々か・・・」
ナオ「さあ、撫でたいんだろう? ボクの頭を!」
ナオ「ほれほれ! ほれほれー!」
カルミ「いや、ホントにイカレたんなら、 もう殴りたくないんだが・・・」
ナオ「さあさあ、遠慮しないでおくれ!」
カルミ「おい、近づくな。 ぐりぐりしようとするな」
ナオ「さあ、いいじゃないか。 ボクとカルミの仲だろう?」
カルミ「・・・それ以上は本当にやめろ」
ナオ「さあ、さあさあさあ!!!」
  ぶちっ
カルミ「・・・・・・やめろっ つってんだろーがぁぁぁぁ!!!」

〇黒

〇まっすぐの廊下
ナオ「ぐぁぁぁぁぁっ!!!」
  ナオは勢いよく殴られ、
  吹っ飛ばされた!

〇まっすぐの廊下
  バタッ!
シュニカ「な、ナオちゃんが、また殴られてる・・・」
シュニカ「あれれ・・・・・・? 「めでたい」ってホントは 「殴りたい」ってことだったの・・・?」
ナオ「しゅ、シュニカ・・・」
ナオ「き、君の・・・、 愛、・・・愛、を・・・」
シュニカ「・・・・・・」
シュニカ「・・・」
シュニカ「・・・はっ!?」

〇学校の廊下
ナオ「なんなら、キミの頭も 「めでて」やりたいところだからな!」

〇まっすぐの廊下
シュニカ「・・・」
シュニカ「「めでる」が「殴る」ってことは・・・」
シュニカ「私のことを「殴りたい」・・・」
シュニカ「・・・」
シュニカ「・・・い、いやあああああああああああ!!」
  タッタッタッタ・・・

〇教室
  ・・・3日後
  2-B教室、昼休み
ナオ「・・・聞いてくれよ、エツコ」
ナオ「最近カルミには殴られるし、 シュニカには逃げられるんだ」
エツコ「カルミちゃんはいつものことだけど、 シュニカちゃん?」
エツコ「アナタ、なにしたの?」
ナオ「・・・覚えがない」
エツコ「・・・典型的な加害者意識ね」
ナオ「・・・本当だ! 信じてくれ!」
エツコ「あのシュニカちゃんでしょ? 本当に覚えが無いの?」
ナオ「ああ。ボクが近づくだけで、 何故か頭を守るように逃げていくんだ」
エツコ「頭を守る? まさか殴ろうとした訳じゃ・・・」
ナオ「そんなハズないだろう!? むしろ愛(め)でてやりたいくらいだ!」
ナオ「というか、 実際に「愛でたい」って伝えた!」
エツコ「ふうん?」
エツコ「・・・」
エツコ「・・・もしかして、もしかしてだけど」
ナオ「なにか分かったのか!?」
エツコ「ナデナデされるのが恥ずかしくて 嫌がってるだけじゃない?」
ナオ「・・・へ? そうなのか?」
エツコ「いわゆる「ツンデレ」じゃないかしら? ホントは好きだけど素直になれない、 みたいな」
ナオ「そ、そうか・・・?」
エツコ「だって、それ以外に逃げる理由がある?」
ナオ「いや、そうかもしれないな・・・」
エツコ「ふふふ。シュニカちゃん、 やっぱりカワイイわぁ・・・!」
  ・・・
エツコ「・・・あ! いいこと思いついた」
ナオ「お?」
エツコ「いっそのこと、無理にでも ナデナデしてあげるのはどうかしら?」
ナオ「というと?」
エツコ「普通、女の子同士なら ナデナデくらい嫌がらないじゃない」
ナオ「そうかい? ボクはわりと逃げられるんだけど・・・」
エツコ「・・・あくまで一般的にね」
エツコ「まあ、なんで嫌がらないかって ナデナデには魅力があるからよ!」
エツコ「だからちょっと強引にでも、 ナオちゃんがその魅力を伝えてあげるの!」
ナオ「おお、つまり、 反抗する気も起きないくらい 愛を伝えてやればいいと!」
エツコ「まあ、オーバーだけどそんな感じね」
エツコ「「押してダメならもっと押してみろ」 ってところかしら」
ナオ「いやー、さすがエツコ! 実にいいアイディアじゃないか!」
エツコ「そう? じゃあ、せっかくだから すぐやりましょうか!」
エツコ「段取りとしては・・・」

〇黒
  もっともらしいことを言っていた
  エツコだったが・・・
エツコ「ナオちゃんには ああ言ったけどー・・・」
エツコ「私は反抗期っぽいシュニカちゃんを ちょっぴりイジめたいだけなのよねー!」
エツコ「だって、ムリヤリ撫でて嫌がる姿も カワイイじゃない?」
  ・・・ややドS思考なだけであった。

〇教室の教壇
  2-A教室・・・
  ・・・
「シュニカちゃーん!」
シュニカ「はっ!!」
シュニカ「・・・」
シュニカ「・・・ああ、エツコちゃん」
エツコ「実はちょっとアナタにお願いがあってねー」
シュニカ「なあに?」
シュニカ「・・・へ?」
  エツコはシュニカの両手を
  優しく強く握りしめた!
エツコ「ナオちゃーん、今よー!」
シュニカ「へ・・・・・・?」
シュニカ「えええええええっ!!!」
  ダダダダダ・・・・・・
ナオ「シュニカぁぁぁぁ! 愛でさせろぉぉぉぉ!!」
シュニカ「い、いやあああああ!!」
エツコ「ほーら、逃げないの♪」

〇黒
  そしてその隙に・・・
「あっ・・・」
「ふふふ・・・」
  ・・・

〇教室の教壇
  なでなで・・・
  なでなで・・・
  ・・・
ナオ「あーっ! エツコ、抜け駆けか! 卑怯だぞ!!」
エツコ「うふふ、ごめんねぇ。二人ともー♪」
シュニカ「・・・・・・っ」
  ・・・こてんっ
エツコ「え?」
ナオ「え?」
  ・・・
シュニカ「えつこちゃんのなでなで、すき・・・」
エツコ「え・・・?」
ナオ「え・・・?」
  ええええええええ!?
エツコ「ちょ・・・、え!? なんで!?」
エツコ「どゆこと!? ねえ! どゆこと~~~!!?」
ナオ「シュニカ! 何故だ!!」
エツコ「待って、嫌がってくれるんじゃ なかったの~~~!!?」
ナオ「何故ボクはダメで その女はいいんだぁぁぁ!!!」
  ・・・
シュニカ「・・・あれー? もっとなでなで、してよぉ・・・」
エツコ「・・・」
ナオ「・・・」
  なでなで・・・
シュニカ「・・・!」
  ・・・
エツコ(これは・・・、そうね、ナオちゃん)
ナオ(そうだな、エツコ・・・)
エツコ(シュニカちゃんが望むなら・・・)
ナオ(・・・ああ)

〇大きな木のある校舎
  なでなで・・・
  なでなで・・・
  ・・・

〇学校の廊下
  キーンコーンカーンコーン・・・
  ・・・
ナオ「・・・その、なんだ」
エツコ「ええ・・・」
ナオ「シュニカはやっぱり、かわいいな・・・」
エツコ「そう、ね・・・」
ナオ「そういえば、シュニカは何故 ボクから逃げていたんだろう・・・」
エツコ「んー・・・」
エツコ「そんなの、どうでもよくないかしら?」
ナオ「ああ、そうだな!」
  あはははは・・・
  ・・・
  結局、昼休みが終わるギリギリまで
  シュニカを愛でていた2人だった・・・
  ・・・おしまい

コメント

  • 結局、一番「おめでたい頭」のシュニカちゃんにみんなが振り回されちゃったということですね。でもなぜか憎めないキャラクターで、なんだかんだで二人から愛でられるシュニカちゃん。シュールなのか平和なのかよくわからない不思議な女子高生ライフを堪能しました。

  • とりあえずシュニカが可愛いな、と思いました。登場人物たちの行動原理がシンプルで好感が持てます。次回作があるならばカルミの可愛い場面も見てみたいですね。

  • 愛でるという方法には色々とありますよね。
    でもその中でも撫でるというのは人間同士もそうですが、動物に対しても有効な手段ですよね!私も撫でられたいです…。

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