ネオ平安京放浪記

バニバニ王子

MIKADO(脚本)

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〇ラーメン屋のカウンター
  デジタルラーメン屋の朝は早い
  デジタル葱が千切りされる音が聞こえる

〇マンション群
カグヤ「・・・行くか」
  おれは客間に書き置きを残した
カグヤ「別れ際の雰囲気は嫌いだ 二人に見つからないように裏口から出よう」

〇雨の歓楽街
カグヤ「なんだ? 通りが騒がしいな」
???「お殿様のおなーりー」
  KAGUYA型アンドロイドを多数侍らせたMIKADOが乗った御輿がSUZAKUOUZIを乱舞している
カグヤ「うわああ やはり俺が撃ったのはダミーのMIKADO型アンドロイドだったか」
カグヤ「KAGUYA型アンドロイドはみなにっこりして踊り狂っている・・・ばかみたい・・・ まあアンドロイドに幸も不幸もないか」
カグヤ「うん・・・? おれには幸も不幸もある」
カグヤ「俺は本当にKAGUYA型アンドロイドなのか・・・?」
カグヤ「・・・一応調べてみるか」
カグヤ「近頃のアンドロイドはみな中身まで人間そっくりだから、専用のスコープを通さねばアンドロイドかどうかわからない」

〇魔法陣のある研究室
メカニックおじさん「らっしゃい」
カグヤ「アンドロイドスコープを貸してくれないか」
メカニックおじさん「ほお あんた全くの人間だろう スコープを通さなくてもわかるよ」
メカニックおじさん「最近よく悩める若者がスコープを借りに来るけど なんだい? 流行りかい?」
カグヤ「・・・おれはAOTAKEタワーに仕舞われていたんだ」
メカニックおじさん「本当にそうかい?」
カグヤ「ああ、記憶にはっきりと・・・」
メカニックおじさん「それを取り出せるかい?」
カグヤ「え・・・?」
メカニックおじさん「アンドロイドなら記録映像をモニターに出せるはずなんだがね」
カグヤ「・・・・・・」
カグヤ「でも一応、スコープで調べてほしい」
メカニックおじさん「まあいいけど・・・」
メカニックおじさん「ほら、手を出して」
  俺は老人の持つペン型スコープの下に手を広げた
メカニックおじさん「あー 普通に人間だよ 細胞に人間のしるしがある」
カグヤ「・・・そうか」
メカニックおじさん「残念そうだね」
カグヤ「人間にもアンドロイドにもなりたくはない」
メカニックおじさん「それは無理な願望だね」
カグヤ「・・・スコープを貸してくれてありがとう じゃあな」

〇雨の歓楽街
カグヤ「なんてことだ 弥七 おれはどうすれば」
シロ「カグヤ 戻りなさい もうずいぶん外で遊べただろう」
カグヤ「なぜ弥七からMIKADOの声が・・・」
シロ「戻りなさい 外の空気は君の体に障る」
カグヤ「何を言っているんだ・・・」
カグヤ「?!」
  弥七の尻尾がおれの腰を絡め取っておれを鞍に縛り座らせた

〇雨の歓楽街
  目にも止まらぬスピードで走る弥七に乗せられておれは帝の城に吸い込まれていく・・・

〇屋敷の大広間
カグヤ「MIKADO・・・お前は本物か?」
ミカド「そうだよ、人間であり、君の父親さ」
カグヤ「・・・?!」
ミカド「君は僕から生まれたデザイナーベビーさ」
カグヤ「嘘だ・・・」
ミカド「嘘じゃないよ 人工子宮で男でも子供が産める時代さ」
ミカド「やっぱりアンドロイドでは我慢できなくてね」
ミカド「あんまり欲張りしたから君は少し弱い体に生まれてしまったけれど 大丈夫 この城はこの世で一番安全だからね」
カグヤ「・・・」
カグヤ「ねむい・・・体がだる重い・・・」
カグヤ「気が遠くなる・・・」

〇屋敷の寝室
ミカド「ほら、思い出して ここが君の部屋だ よく休むといい」
  おれは抵抗する力もなく
  アンドロイドたちに寝付けられてしまった
ミカド「愛しているよ かぐや」
ミカド「大丈夫 元気になったらまた外に遊びに出られる 今度はどんな設定がいいかい? なんでも叶えてあげよう」
ミカド「寝ている間によく考えておいで」

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