1 徳レベル1の応援歌(脚本)
〇西洋の住宅街
佐藤「急いでるのに、迷ったな。 あの、ちょっと道を伺えますかね」
ベネフェル「ハレルヤ~☆ 天階へようこそ☆ ウェルカムドリンクです☆ 雲のソファが見晴らしもよくお勧めです☆」
佐藤「やあどうも」
佐藤「じゃなくて!私は「ハレルヤ」という 場所を探してるだけでして」
ベネフェル「ここが「晴れる屋」ですわ☆ 迷わず辿り着けるようになっております☆」
佐藤「え。えっ? 最終審査と聞いたんですが。 普通のお宅・・・ですよね」
ベネフェル「法廷とか大神殿を想像してました? うちは家族経営で、リラックスして 審査に臨んでいただく方針なんです☆」
ゑル蔵「おお、来たか佐藤。待っとったぞ。 む、前世の名で呼ばんほうがいいかのう。 しかし他の呼び方というと」
佐藤「何でもいいですよ」
ゑル蔵「審査番号20220131107001番、 運ちゃん、マ○オさん、ぶつぶつ」
ベネフェル「佐藤さん☆ 何でもいいは禁句です☆」
佐藤「はあ。 それより急いでほしぃんゴ!?」
ふぃじえる「やべ、コントロール狂った。 もう審査始まってる?」
ゑル蔵「たわけっ。天使の輪で サッカーはやめろとあれほど!」
ふぃじえる「じゃあ何ならいいの?」
ゑル蔵「フリスビー、真剣光輪取り、ぶつぶつ」
ココエル「それより、佐藤に 言うべきことがあるだろう」
ふぃじえる「う。わかったよココママ。 ごめんなさい」
ココエル「よし。では、我ら晴れる屋家の五使が 審査―ジャッジ―を務めさせていただく」
〇豪華なリビングダイニング
佐藤(痛たた。やっと始まる。ん? 五使?)
ココエル「りすえる。まず徳レベルチェックを」
佐藤(あ、ココママさんの後ろに隠れてたのか)
来世ジャッジ・ステップ1
徳レベルチェック
りすえる「・・・1」
「1!?」
ふぃじえる「ウソだあ、 そんな極悪人の身体じゃないよ。 フツーの腰痛持ちのタクシー運転手さん」
佐藤(そのとおりだけど刺さるなぁ)
ココエル「ちょっと地階で確認してくる」
佐藤「あのー、徳レベルとは?」
りすえる「地階で積んだ善行・・・ たまに前世ボーナスある・・・ 1から100まで、わたし見える・・・」
私だ。確かに佐藤が地階に滞在した
10000天地時間中、
レベル1ぶんの善行記録しかない
ふぃじえる「えー! ゑル蔵じいちゃんが 優柔不断発揮するまでもないじゃん」
ベネフェル「天階滞在五分なんてもったいない☆ せっかくなので天階ツアーしましょう☆」
佐藤「そんなことできるんですか」
できない。
ベネフェル、浮気か
ベネフェル「違うもん!」
佐藤「ひぃ。 ココエルさんが一瞬悪魔に見えた」
佐藤。もう一度言ったら
おまえの来世をハードモードにするぞ
ふぃじえる「ココママってば、 そしたら僕たちも堕天しちゃうよ」
も、だと?
ゑル蔵「ふうふ喧嘩も親子喧嘩もやめい。 徳レベル1はワシもはじめてじゃが、」
ゑル蔵「進める、中央局に連絡、ぶつぶつ」
ベネフェル「進めましょ☆」
〇豪華なリビングダイニング
りすえる「前世を、どう・・・」
りすえる「ベネママ、代わって」
ベネフェル「りすちゃん頑張ったわね☆ 佐藤さん、自分の前世をどう思いますか☆ やり残したこととかありますか☆」
来世ジャッジ・ステップ2
前世チェック
佐藤「やり残したことかあ。実は私― フォークシンガーになりたかったんです!」
ふぃじえる「フォーク?食べながら歌うの?」
ゑル蔵「昔流行ったジャンルだぞい」
再び私だ。なぜ徳レベル1かわかった。
善行積みをサボって
歌をつくっていたからだ
ベネフェル「意欲的☆」
りすえる「現実逃避・・・」
ふぃじえる「で、なんで急にエレベーター乗ったの?」
佐藤「ふふん」
佐藤「いい曲ができたから、早く発表したくて!」
ふぃじえる(だから法被?)
佐藤「前世ではもう一歩のところで芽が出ず、 お見合い結婚することになり、 妻の尻に敷かれ続けた。二の舞はいやだ」
ゑル蔵「本当にもう一歩だったのかのう?」
ゑル蔵「見てみる、見ない、話を聞く、ぶつぶつ」
ふぃじえる「見よー! ボクの出番。 スイッチオン!」
佐藤(天使の輪、リモコンだったのか?)
「『またオーディション予選落ち? さすがに諦めなさいよ』」
佐藤「ママ!? いや、ママより若いな」
「『びええ~。やーあー』」
「『パパ、ギターなんか触ってないで 赤ちゃんあやして!』」
佐藤(前)「『はぁ。よしよーし』」
「『びええええん!!!』」
佐藤「息子と私だ。 テレビに映っているのは、私の人生・・・」
ふぃじえる「五分だけ見られるんだよ」
「『スミマセン、ラジオ消してもらえます? 古い歌うるさいんで』」
佐藤(前)「『はい・・・』」
ココエル「この映像によれば、佐藤の前世は 歌の才能のなかった しがないタクシー運転手、だ」
ベネフェル「おかえり、ココエル☆」
ふぃじえる「地階のおみやげはー?」
ココエル「悪戯っ子のお仕置きセット堕天使ver.」
ふぃじえる「うわわわ」
ゑル蔵「地階湿布買い足してくれたんか。 これは効くぞい。 おまえさんも腰痛持ちなら、ほれ」
佐藤「・・・」
〇豪華なリビングダイニング
ココエル「ゴホン。では次だ。 来世でやりたいこと、 逆にこれだけはやりたくないことはあるか」
来世ジャッジ・ステップ3
来世チェック
ゑル蔵「考慮しなくもなくもなくもないぞい」
佐藤(どっちなんだ)
佐藤「それはもう、 売れっ子シンガーソングライター一択です」
ふぃじえる「徳レベル1じゃ、 人気出そうな見た目はムリだよ」
ベネフェル「Vtuberはどうかしら☆」
りすえる「Vtuber界のやみ、深い・・・」
佐藤「じゃ、新曲発表が遅れるのは残念ですが 徳を積み直します。 下積みってことで」
ゑル蔵「いや。ココエルも 他人を地階へ連れていくことはできん。 償いも善行もやり直せんのじゃ」
佐藤「ええっ、そんなあ」
ココエル「ゑル蔵さんの力で 武道館の天上へお連れしては? 束の間だが売れっ子気分を味わえる」
ベネフェル「ココエル、優しい☆」
佐藤「地上へ行けるんですか?」
ゑル蔵「一回きり、生きてるもんと話したりは できんがの」
佐藤「充分です。実はこの曲、 ある人の前で歌いたくて―」
〇昔ながらの一軒家
りすえる「他の人には秘密にしてね・・・」
佐藤「もちろん。特別対応、ありがとう。 それでは聴いてください」
佐藤「『マイファミリーへの応援歌』 ジャカジャカジャン ~♪ ~~~♪」
ココエル「表札に「佐藤」とあるな。 青年が庭にいる」
(ちなみに、
天地時間と地上時間の流れ方は異なる。)
ベネフェル「ふぃじちゃんみたいに元気な男の子も お庭に出てきたわよ☆」
ふぃじえる「えー、ボクあんなにサッカー下手?」
佐藤「おまえはママ似♪ おれの遺伝子弱い♪ 孫もママ似♪ 遺伝子の弱さ似た♪ 意志の弱さは似るな♪」
ふぃじえる「熱唱してる。聴こえないのに」
ココエル「聴こえはしないが、届いている」
佐藤「おれの存在感薄い♪ だからすぐ立ち直れるな?♪ おお、おまえたちの前に道は続く♪」
佐藤「ジャ、ジャ~~ン ―ご清聴ありがとうございました」
ゑル蔵「なかなか趣深いのう」
佐藤「最後の歌詞が しっくりこなかったんですが、 ゑル蔵さんたちを見ていたら」
佐藤「まさに「天から降りてきた」んです。 我ながら最高のパフォーマンスでした」
りすえる「自己評価高・・・」
佐藤「これでシンガーソングライターの夢は 区切りをつけます。 来世は心機一転、頑張ります」
ベネフェル「結果オーライ☆」
ふぃじえる「凡凡凡人にしかなれないよ?」
佐藤「凡凡凡人でも幸せになれるさ。 こんなふうに、ね」
「パパ、きれいな羽ー!」
〇雲の上
ココエル「合議の結果を確認する」
来世ジャッジ・ステップ4
最終合議
ココエル「佐藤の来世は、 身体スペック:並以下 心スペック:並以下」
ココエル「誕生時点での生活:苦しい 職業:不安定 な凡人とする」
ふぃじえる「元からこれくらいしか選べなかったもんな」
佐藤「文句はないですよ」
りすえる「生まれてきたこと後悔しない・・・?」
ベネフェル「佐藤さんなら、 頑張ることを楽しめるわよ☆」
ゑル蔵「ココエルや。 隠しスペックで 家族との縁:上 にしたじゃろ」
ココエル「応援歌を聴かせてもらった礼ですよ。 天使は義理堅いものです」
ベネフェル「では、お時間です☆ よければ次もうちに 審査しに来てくださいね☆」
ベネフェル(お話した記憶はなくなっちゃいますが☆)
ベネフェル「誕生ゲート、オープン☆」
佐藤「おわっ、わっ、皆さん ありがとうございましたぁ~ぁ~」
ココエル「ふっ、ビブラートが効いている」
「生ってらっしゃい☆」
「生ってらっしゃい、ハレルヤ!」
五天使の中にゑル蔵も含まれるのか〜。「天使になってみたい」とか迂闊なことはいえませんね。でも老若男女の視点からジャッジしてもらえるから公平であるとも言えますね。「生ってらっしゃい」っていい言葉。死神からは「逝ってらっしゃい」って言われそう。
何をやっても並以下のおじさん、こっそり家族との繋がり、縁は上にしてくれた優しさに最後ジーンとしました。
芽がでなくてもチャレンジすることが大切だったりするので家族との絆を大切にしながら新たに夢に進んでいってほしいな
天使の輪、サッカーボールにもなるしテレビのリモコンにもなって万能ですね!😂
フリスビーなら良いって言っていたけど、なんでやねんって突っ込んじゃいました😂
あの世に行ったら来世ジャッジって本当にありそうですね🤔
徳レベルを上げとかなきゃいけないなあと思いました!