No.0000 プロローグ(脚本)
〇美術館
三楢 栞白「はぁ・・・・・・」
十二月。
2学期が終り何日かが過ぎた午後2時過ぎ。
私は高校生らしい高校生の毎日からは程遠いノートパソコンに向かう自宅学習をやめて、曾祖母の別宅に入り浸っている。
少し前にここの持ち主であった曾祖母は何の前触れもなくクモ膜下出血で倒れ、別れも告げることも出来ないまま死んでしまった。
そして、今この場所は私が現実から逃れるための隠れ家であり、あれこれする場所になっている。
別に学校の遠隔授業からドロップアウトしたわけではない。
なのだが、大学進学まで間のない高校二年なのになんだかよくわからないままここに押し込められているのには少しワケがある。
三楢 栞白「『うぅ~~どうしよう』」
ここの静けさはお堂のように神々しい。
この婆ちゃんの物置小屋は、物置小屋というには大きすぎ、室内壁一杯に広がっているラックはコストコのように巨大。
整然とし、まるで値札でも付けているかのように陳列してあるガラクタたちには基準がない。
木箱の中には未開封のヌカ・コーラ。
温泉街で買ったとおぼしき琵琶の木刀からマニアなら喉から手が出るほど欲しがるであろう18世紀後半のビスクドール。
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