異世界の花嫁

哉戸

召喚(脚本)

異世界の花嫁

哉戸

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〇神殿の広間
巫女姫「・・・」
「巫女姫様。 そろそろお時間です」
巫女姫「はい。 わかりました──」
巫女姫「・・・」

〇謁見の間
巫女姫「これより、 異世界からの召喚を始めます」
巫女姫「100年に一度の大切な儀式ですッ!」
巫女姫「皆、気を引き締めて行ってくださいッ!」
巫女姫「神よ・・・ どうか愚かな我々を、 許さないでください──」
四葉「ん・・・」
四葉「どこ、ここ・・・」

〇謁見の間
四葉「どこ、なの・・・ ここ・・・」
巫女姫「始めまして。 異世界の救世主様」
四葉「誰ッ!?」
巫女姫「落ち着いてください。 これからご説明させていただきます」
巫女姫「こちらへどうぞ・・・」
四葉「・・・」

〇貴族の応接間
四葉「凄い・・・」
メイド「どうぞ」
四葉「あ、ありがとうございます・・・」
四葉(ヒェェー 凄いいい匂い・・・)
巫女姫「始めまして。 まず、私のことは姫巫女とお呼びください」
四葉「は、はいっ! わ、私は・・・」
四葉「四葉、と申します」
巫女姫「では四葉様と・・・」
巫女姫「まずいきなり勝手に貴女様を召喚したことを深く、深く謝罪させていただきます」
四葉「あ、頭を上げてくださいッ!?」
巫女姫「・・・」
巫女姫「ですが、 私たちが四葉様に出来る謝罪はこの程度しかないのです」
四葉「あの、まずどういう事なのか説明してもらっても、 いい、ですか・・・?」
巫女姫「はい。 もちろんです」
巫女姫「まずここは、 ──四葉様が元居た世界ではありません」
四葉「え?」
四葉「そ、そんな・・・」
四葉「そんな、夢みたいな、こと・・・」
巫女姫「はい。 四葉様が信じられないようなことが、 たった今四葉様に起こったのです」
巫女姫「順を追って説明させていただきます。 質問があればいつでもどうぞ──」
四葉「はい・・・」

〇星座
巫女姫「まず、これは 世界が誕生したときほど話は遡ります」
巫女姫「当時、 世界と人間は二種類に分かれていました」
巫女姫「膨大な魔力が詰まった世界と、 少量の魔力が発生しつ続けている世界」
巫女姫「魔力を使える人間と、 魔力を使えない人間」
姫巫女「そして、 それぞれ別々の世界で暮らすようになり、 世界同士の交友などなく、 別々の世界として過ごしていく・・・」

〇貴族の応接間
巫女姫「──はずでした」
四葉「な、なにか、 問題が?」
巫女姫「はい。 問題はたった数百年程度で起こりました」
巫女姫「四葉様はどちらの人間が、 どちらの世界で暮らしたと思いますか?」
四葉「えっと・・・」
四葉(うーん。 魔力を使えるなら、魔力が多い方がいい、よね? 魔法とはよくわからないけど・・・)
四葉「魔力を使える人が、 膨大な魔力のある方の世界ですか?」
巫女姫「ええ。 その通りです」
巫女姫「私たちは魔力を使える人間の末柄ですが、 私たちの先祖は惜しみなく魔力を使える膨大な魔力のある世界を望みました」
巫女姫「その魔力が、 たった数百年ほどで尽きてしまうだなんて思いもせずに──」
四葉「え?」
巫女姫「こちらの世界には、 魔力を発生させる力が無かったのです」
四葉「あ・・・」
四葉(確かに、 それについて何も言われてない──)
巫女姫「魔力があることを前提として生きていた私たちの先祖は、 魔力がなくなることに困りました」
巫女姫「そしてもう片方の世界のことを思い出しました」
四葉「魔力を使えない人しかいない世界では、 魔力が残っていたから?」
巫女姫「はい。 恐らく初めはそのつもりだったのだと思います」
巫女姫「ですが、 そこで重大なことが判明したんです」
四葉「重大なこと?」
巫女姫「はい。 もう片方の世界には──」
巫女姫「少量ずつですが、 『無限』に魔力を生み出す力があったのです」
四葉「えッ!?」
巫女姫「私たちの先祖は魔力が枯渇したこの世界より、 制限があるとはいえ『無限』に魔力が手に入る世界の方が良いと思いましたが」
四葉「今更、もう遅い・・・」
巫女姫「はい。 こちらの世界で暮らし、 増えた全ての人間を向こうの世界に送るなど不可能でした」
巫女姫「ですが、 問題が起こっていたのはこちらの世界だけではありませんでした」
巫女姫「四葉様たちが住む世界でも、 問題が起きようとしていたんです」
四葉「あ、やっぱり魔力が使えない人間って、 私たちの事だったんですね・・・」
巫女姫「はい。 これはこの世界と我々、 四葉様の世界と四葉様たちの話です」
四葉「その問題とは・・・」
巫女姫「少量とはいえ、 長い間使われなかった魔力が貯まりに貯まり、飽和状態だったのです」
巫女姫「強すぎる魔力は強い悪影響を及ぼします」
四葉「でも、私たちでは魔力を消費する方法がない・・・」
巫女姫「はい。 そして魔力の枯渇した世界と、 魔力が飽和した世界となってしまいました」
四葉「なんか、泥沼みたいなことになってますね・・・」
巫女姫「ええ、全くです」
巫女姫「でも魔力を扱えない人たちは、 いずれ魔力の存在を忘れていました」
巫女姫「ですから、 問題を解決するために私たちの先祖は一つの決断をしました」
巫女姫「魔力を扱えなくても、 魔力と親和性が高い人間は存在します」
巫女姫「そういう人間に、 その世界で生まれた魔力を全て納め、 『救世主』としてこちらの世界に召喚したのです」
巫女姫「今の四葉様のように──」
四葉「もしかして・・・」
巫女姫「はい。 その行動は、数千年ほど経った今でも続いています」
四葉「それが、私・・・?」

次のエピソード:救世主とは…

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