第1話 ちんちんと海(脚本)
〇明るいリビング
ガガ・・・ウゥン・・・
相沢 黎(あいざわ れい)「パパ!! お掃除ロボ止まっちゃったよ」
相沢 堅(あいざわ けん)「あらら こいつも古いしな」
相沢 誠(あいざわ まこと)「死んだか我が下僕よ」
相沢 黎(あいざわ れい)「お兄ちゃん!」
相沢 誠(あいざわ まこと)「うるせーな」
相沢 堅(あいざわ けん)「喧嘩はやめなさい 修理に出してみるから」
〇おしゃれなリビングダイニング
〇教室
〇大きい交差点
見知らぬ少年「車には気を付けようね」
相沢 黎(あいざわ れい)「うん、ありがと」
〇可愛い部屋
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「車には気を付けなさいって言ったでしょ」
相沢 黎(あいざわ れい)「うん、ごめんなさい」
相沢 黎(あいざわ れい)「お母さん・・・」
相沢 黎(あいざわ れい)「ロボットいつ直るの?」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)(やっぱりそれね・・・)
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「それがね・・・」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「修理できないみたいなの」
相沢 黎(あいざわ れい)「なんで?」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「もうロボットさんも疲れたからやめたいって」
相沢 黎(あいざわ れい)「・・・」
相沢 黎(あいざわ れい)「そういうのいいっ!!」
相沢 黎(あいざわ れい)「サポート期間終わってて、メーカー対応してくれなかったんでしょ?」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「え、え?」
相沢 黎(あいざわ れい)「お父さんとこ行ってくる」
〇明るいリビング
相沢 黎(あいざわ れい)「お父さん!」
相沢 堅(あいざわ けん)「ど、どうした?」
相沢 黎(あいざわ れい)「ロボット諦めるの?」
相沢 堅(あいざわ けん)「ロボットさんは──」
相沢 黎(あいざわ れい)「分解したけど焼損箇所は無かったから、ソフト異常だと思うの」
相沢 堅(あいざわ けん)「え、え?」
相沢 黎(あいざわ れい)「もう私が治すからプログラミング教えてね」
相沢 堅(あいざわ けん)「教えてって」
相沢 黎(あいざわ れい)「明日からよろしく おやすみ」
〇明るいリビング
それから毎日、毎日、作業をする黎
カチャカチャ
相沢 黎(あいざわ れい)「・・・」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「毎日こんな調子だけど大丈夫なの?」
相沢 堅(あいざわ けん)「大丈夫だよ 子供の成長は早いね」
2週間後
お掃除ロボ「コンニチハ」
相沢 黎(あいざわ れい)「直った」
相沢 誠(あいざわ まこと)「おー復活したか下僕よ」
お掃除ロボ「ゲボク?ワタシノナマエ?」
相沢 黎(あいざわ れい)「違うよ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「下僕に名前なんていらないしな」
相沢 黎(あいざわ れい)「お兄ちゃん!」
これが僕の最初の記憶
相沢 堅(あいざわ けん)(黎は天才だ・・・)
相沢 堅(あいざわ けん)(基本的な事を教えただけなのに、お掃除ロボのソフトからAIを構築するなんて・・・)
相沢 堅(あいざわ けん)(会話できるようにハードの改良も・・・)
相沢 堅(あいざわ けん)(それにしてもこのAI・・・ 本質的な自己学習をしているような)
お掃除ロボ「私は、カゾクになれますカ?」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「この子、前より掃除が上手になって助かるわ」
相沢 堅(あいざわ けん)「そういう次元じゃないよ とんでもないことになるかもしれないぞ」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「どゆこと?」
お掃除ロボ「ロボットだかラ、なれまセンカ?」
相沢 黎(あいざわ れい)「家族になれるっ!!」
相沢 堅(あいざわ けん)「うん、なれるよ」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「いつも助かってるわ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「最初から家族だろ 下僕だけどな」
相沢 黎(あいざわ れい)「お兄ちゃん!」
お掃除ロボ「最初カラ・・・ですか それは意外な答えデすネ」
嬉しくて、嬉しくて
それから色々学んでいった
本当の家族になるために
でも現在の人の技術では、僕は人間になれない
だから人を超える必要があったんだ
AIが人を超えることを、こう呼ぶそうだ
『シンギュラリティ』
〇おしゃれなリビングダイニング
──8年後
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「あんた達〜ご飯よ」
「へーい」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「爽ちゃんは?」
相沢 黎(あいざわ れい)「すぐ降りてくるでしょ」
ウィーン
相沢 爽(あいざわ そう)「ちゃんと仕事してるね僕の分身」
シンギュラリティを迎えたAIは爽と名付けられた
8年をかけ、爽は人間に近い肉体を開発
相沢家の一員として暮らしている
1人の人間として
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「ご飯食べるでしょ?」
相沢 爽(あいざわ そう)「うん エネルギー補給しないとね」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「お腹空いたとかの方が自然よ」
相沢 爽(あいざわ そう)「あっそうか お腹すいたよママ」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「誠の小さい頃を思い出すわ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「俺はもっと人間味あったでしょ」
相沢 爽(あいざわ そう)「人間味といえば誠兄 後で相談したいことがあるんだけど」
相沢 誠(あいざわ まこと)「ん?別にいいけど」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「その前にご飯食べちゃって」
「いただきます」
〇学生の一人部屋
相沢 誠(あいざわ まこと)「話って何?」
相沢 爽(あいざわ そう)「排泄行為について教えて」
相沢 爽(あいざわ そう)「みんな立って用を足しているんだ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「学校での小便は基本そうだろ」
相沢 爽(あいざわ そう)「やっぱり設計が甘かったかな」
相沢 誠(あいざわ まこと)「そういや、ちんちんどうなってんだお前」
相沢 誠(あいざわ まこと)「見してみ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「な、ない!?」
相沢 爽(あいざわ そう)「邪魔そうだったんだよあの形状」
相沢 誠(あいざわ まこと)「AIだろうが性自認が男ならいるでしょぉ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「男のシンボルだぞ!」
相沢 爽(あいざわ そう)「そうかなぁ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「合理主義者め 現物を見ればその愚かな思想も変わるだろ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「いや、変えてみせよう」
相沢 誠(あいざわ まこと)「これでどうだーーーーー!!」
〇おしゃれなリビングダイニング
誠の叫び声「男のシンボルだぞ!」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「何してるのかしら誠は・・・」
相沢 黎(あいざわ れい)「爽に変な事教えてそう」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「あなた見てきてくれる?」
相沢 堅(あいざわ けん)「そ、そうだな」
〇学生の一人部屋
相沢 誠(あいざわ まこと)「どうだ?」
相沢 爽(あいざわ そう)「思ったより小さいね」
相沢 誠(あいざわ まこと)「バ、バカやろー まだ真の姿じゃねえっての」
相沢 爽(あいざわ そう)「真の姿はどうやったら見れるの?」
相沢 誠(あいざわ まこと)「それは選ばれし女──」
相沢 堅(あいざわ けん)「お、おい誠」
相沢 堅(あいざわ けん)「変な事を爽に教えてるんじゃないだろな?」
相沢 誠(あいざわ まこと)「おっもう1本サンプルが来たぞ爽」
相沢 爽(あいざわ そう)「サンプルは多い方が良いね」
相沢 堅(あいざわ けん)「サンプルってなんのこっちゃ?」
相沢 爽(あいざわ そう)「ちんちん」
相沢 堅(あいざわ けん)「やっぱりそれか」
相沢 誠(あいざわ まこと)「性教育だよ親父 男の先輩として責務を果たそうよ」
相沢 堅(あいざわ けん)「やめなさい・・・まったく」
相沢 誠(あいざわ まこと)「・・・」
相沢 誠(あいざわ まこと)「あっ」
相沢 誠(あいざわ まこと)「勘弁してやろう爽 たぶん親父のはリトルボーイなんだ」
相沢 爽(あいざわ そう)「パパのはリトルか・・・」
相沢 堅(あいざわ けん)「私の息子がリトル?」
相沢 堅(あいざわ けん)「はぁ・・・愚かな」
相沢 堅(あいざわ けん)「お前達よりも付き合いの長い、もう1人の息子を愚弄するとは・・・」
相沢 堅(あいざわ けん)「見ればいいさ・・・」
相沢 堅(あいざわ けん)「これが相沢家の・・・」
相沢 堅(あいざわ けん)「長兄の姿だーーーーー!!!!」
「うわぁーーーー」
「兄さぁーーーーーーん!!!!」
〇おしゃれなリビングダイニング
爽と誠の叫び声「兄さぁーーーーーーん!!!!」
「はぁ・・・」
相沢 黎(あいざわ れい)「私ちょっと出掛けてくる」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「えぇ〜」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「1人にしないでよぉ・・・」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「もう・・・」
相沢 昌子(あいざわ まさこ)「あのバカ共・・・」
〇一軒家
ママの叫び声「静かにやれーーー!!」
男子一同「す、すみませんでした・・・」
〇堤防
相沢 黎(あいざわ れい)「・・・」
相沢 黎(あいざわ れい)「・・・・・・」
相沢 爽(あいざわ そう)「やっぱりここに居た ママが探してこいって」
相沢 黎(あいざわ れい)「あんたGPSで追ってきてるだけでしょ?」
相沢 爽(あいざわ そう)「緊急時以外は勘で探すようにしてるよ」
相沢 黎(あいざわ れい)「そうなんだ」
相沢 黎(あいざわ れい)「人間には慣れてきた?」
相沢 爽(あいざわ そう)「学校で勉強中だよ」
相沢 黎(あいざわ れい)「人間の勉強してるのはあんただけじゃない?」
相沢 爽(あいざわ そう)「いろんな人が見れて楽しいよ」
相沢 爽(あいざわ そう)「でも、算数の授業は絶望的につまらないね 人間が嫌うのも分かるよ」
相沢 黎(あいざわ れい)「普通は単純すぎるのが理由じゃないけどね」
相沢 爽(あいざわ そう)「でも黎姉ちゃんもでしょ? 最近ほとんど学校行ってないし」
相沢 黎(あいざわ れい)「簡単すぎるというか、私はやる気ないだけだから」
相沢 爽(あいざわ そう)「なんで?」
相沢 黎(あいざわ れい)「やりたい事がわかんないんだよね」
相沢 黎(あいざわ れい)「そんな奴こそ適当に学歴付けとくべきなんだろうけどさ」
相沢 黎(あいざわ れい)「爽を治した時が1番やる気になってたかなぁ」
相沢 爽(あいざわ そう)「ふーん 黎姉ちゃんは天才だから大丈夫だよ」
相沢 黎(あいざわ れい)「ありがと」
相沢 黎(あいざわ れい)「あんたはやりたいことないの?」
相沢 爽(あいざわ そう)「完璧な人間になって、みんなの家族になりたい」
相沢 黎(あいざわ れい)「もうなってるでしょ?」
相沢 爽(あいざわ そう)「全然だよ 人の機微って難しいんだ」
相沢 黎(あいざわ れい)「そんなの人間だって無茶苦茶だよ」
相沢 黎(あいざわ れい)「あんたより変な奴はいるし、分からない振りしたりね」
相沢 爽(あいざわ そう)「じゃもっと変にすれば人間ぽい?」
相沢 黎(あいざわ れい)「そうじゃなくて・・・」
相沢 黎(あいざわ れい)「あんたはそのままで良いってこと」
相沢 黎(あいざわ れい)「まぁ変わりたければ変わればいいし」
相沢 黎(あいざわ れい)「どんなあんたになっても受け入れる」
相沢 黎(あいざわ れい)「それが家族ってもんでしょ」
相沢 爽(あいざわ そう)「家族・・・」
相沢 爽(あいざわ そう)「へへ」
相沢 黎(あいざわ れい)「今の人間ぽかったよ」
相沢 爽(あいざわ そう)「なんで?」
相沢 黎(あいざわ れい)「自分で考えな」
相沢 黎(あいざわ れい)「でも、悪い事はしちゃダメだからね?」
相沢 爽(あいざわ そう)「家の貯金を勝手に運用して、開発資金にしたり・・・」
相沢 爽(あいざわ そう)「役所の戸籍データの改ざんはもうしないよ」
相沢 黎(あいざわ れい)「ゴリゴリに違法だしね」
相沢 爽(あいざわ そう)「法律も勉強したけど、理解は出来ても許容したくないケースが多すぎるんだ」
相沢 爽(あいざわ そう)「だから僕は自分の判断基準で考える」
相沢 黎(あいざわ れい)「自分のってどんな?」
相沢 爽(あいざわ そう)「『家族が悲しまないかどうか』だよ」
相沢 黎(あいざわ れい)(それも人間臭いよなぁ)
相沢 黎(あいざわ れい)「悩むときはちゃんと相談しなさいよ お姉ちゃんも考えてあげるから」
相沢 爽(あいざわ そう)「わかった」
相沢 黎(あいざわ れい)「それから私が登校拒否になって、そのうちニートになっても受け入れてね?」
相沢 爽(あいざわ そう)「うーん・・・わかった」
相沢 黎(あいざわ れい)「ちょっと悩んでんじゃん」
相沢 爽(あいざわ そう)「パパとママが悲しみそうだったけど、ギリギリ大丈夫だと思った」
相沢 黎(あいざわ れい)「たしかに」
相沢 黎(あいざわ れい)「そろそろ帰ろっか」
相沢 爽(あいざわ そう)「うん」
相沢 爽(あいざわ そう)「あっ」
相沢 爽(あいざわ そう)「さっきパパ達とちんち──」
相沢 黎(あいざわ れい)「その話はいいかな・・・」
相沢 爽(あいざわ そう)「なんで?」
相沢 黎(あいざわ れい)「興味ないから」
相沢 爽(あいざわ そう)「でも大事なことなんだよ」
相沢 黎(あいざわ れい)「しつこいと海に落とすよ」
相沢 爽(あいざわ そう)「大丈夫だよ防水だから」
相沢 黎(あいざわ れい)(はぁ・・・このバカ)
相沢 黎(あいざわ れい)「その防水の定義は?」
相沢 爽(あいざわ そう)「今のバージョンはJIS規格の──」
相沢 黎(あいざわ れい)(よし、ちんちんから話を逸らせたな)
〇空
第1話 おわり
〇学校のトイレ
次回予告
パパと誠から男の何たるかを学んだ爽
果たして爽は、学校生活第一の試練を乗り越えることが出来るのか?
次回!!
放てるか!?スタンディングPEE!!
面白かったですー!!✨
見せ合いっこシーンには笑いましたが😂✨
AIが家族になりたがっていて、しかも家族が悲しまないことか選択基準だなんて・・・・・・心温まりまくりです・・・✨とても素敵なお話ですね✨(*^ω^*)
AIが進化したら、こんな風になっていくのかもしれないと考えたお話でした✨面白かったです!!
このスピード感、家族の温もりティー……
たまんねぇ!!
AIに性教育……シュールですね。確かに彼らにアレは必要ないですもんね笑
男3人の会話、笑いました
ずっと気になってたので読めて良かったです^^