ストーリーズオブナイト

樹月勝

エピソード1 「始まり」(脚本)

ストーリーズオブナイト

樹月勝

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〇広い公園
霧山 陽(幼少期)「やめてよぉ!返してよ僕の本!」
いじめっ子「へっ!返して欲しけりゃ自力で取るんだな?」
霧山 陽(幼少期)「やめて・・・!返して・・・!」
「コラ!うちの弟に・・・」
霧山 莉央「何してんのよ!」
いじめっ子「いってぇ!」
いじめっ子「出たな暴力女!」
霧山 莉央「うるさいわよ!早く返しなさい!」
いじめっ子「へっ!誰が返すかバーカ!」
いじめっ子「くっくそっ!覚えてろよ!」
霧山 莉央「・・・まったく!」
霧山 莉央「陽?大丈夫?」
霧山 陽(幼少期)「・・・ありがと・・・ねぇちゃん」
霧山 莉央「もう!男の子でしょ?ほら・・・泣かない!」
霧山 陽(幼少期)「・・・ごめんなさい」
霧山 莉央「・・・陽・・・お姉ちゃんと約束して?」
霧山 陽(幼少期)「約束?」
霧山 莉央「これから何があっても・・・泣かないこと」
霧山 陽(幼少期)「・・・何があっても?」
霧山 莉央「お姉ちゃんが必ず守ってあげるから」
霧山 陽(幼少期)「わかった・・・約束する」
霧山 莉央「うん!約束!」
  これが僕とねぇちゃんとの最後の約束だった

〇海辺
霧山 陽「・・・」
霧山 陽「ねぇちゃん・・・」
霧山 陽「僕・・・学校辞めちゃったよ・・・」
霧山 陽「学校でいじめられてさ・・・」
霧山 陽「・・・自分が情けないよ・・・」
霧山 陽「ねぇちゃん・・・やっぱり、僕は・・・」
御坂 十三郎「あのーすいません」
御坂 十三郎「道を尋ねたいんですが?」
霧山 陽「・・・?はい、いいですよ?」
御坂 十三郎「ありがとうございます!病院に行きたいんですが・・・」
霧山 陽「病院ですか?案内しますよ」
御坂 十三郎「わざわざご親切にどうも・・・」
御坂 十三郎「・・・」

〇海岸線の道路
御坂 十三郎「いやぁ助かりました!何分この辺は初めてだもので・・・」
霧山 陽「・・・そうですか・・・」
御坂 十三郎「・・・」
御坂 十三郎「・・・随分とお元気がないですね?」
霧山 陽「す、すいません!そんな感じでしたか?」
御坂 十三郎「・・・お悩み・・・ですか・・・」
霧山 陽「いえ・・・まぁ悩みと言っては何ですが・・・その・・・」
霧山 陽「実は・・・中学を中退してきたんです・・・」
御坂 十三郎「ほぅ」
霧山 陽「僕は・・・そのいじめ・・・られてて」
霧山 陽「それに・・・耐えられなくて・・・それで・・・」
御坂 十三郎「ほぅ」
霧山 陽「困っちゃいますよね?すいません、自分の話をして」
御坂 十三郎「いえ・・・」
子供「あっ!僕の風船が!」
霧山 陽「・・・漫画の主人公とかはあの風船を絶対に取りに行くんです」
霧山 陽「でも僕は見ての通りの人間で」
霧山 陽「見てるしかできない人間なんです・・・」
御坂 十三郎「・・・」
御坂 十三郎「諦めるには早いんじゃないのかね?」
霧山 陽「え?」
御坂 十三郎「まだ君の物語は始まっちゃいない」
御坂 十三郎「君はこれから君の物語をどうしたいのかね?」
霧山 陽「どういう・・・」
謎の男「ミツケマシタヨ先生」
御坂 十三郎「もう・・・きたか・・・」
霧山 陽「え・・・っと・・・どなたですか?」
御坂 十三郎「ここまでの案内、ありがとう」
霧山 陽「え?」
御坂 十三郎「君もこれから頑張りたまえ」
霧山 陽「えっと・・・では、失礼します」
御坂 十三郎「さて・・・」
謎の男「・・・」
御坂 十三郎「来るなら来なさい」
御坂 十三郎「ただし、手加減はしない」

〇海岸線の道路
霧山 陽「・・・」
霧山 陽「・・・僕の・・・物語」
霧山 陽「・・・」

〇広い公園
御坂 十三郎「どうしたのかね?」
御坂 十三郎「まさかもう終わりではあるまい?」
謎の男「ハァ・・・ハァ・・・」
謎の男「ナ・・・ナゼ攻撃ガアタラナイ?」
御坂 十三郎「そんな拳で私に勝とうなど百年早い」
御坂 十三郎「いや千年、いや百万年はくだらないな」
謎の男「ホ・・・ホザケェ!」
御坂 十三郎(単調な突っ込み・・・ここらで終わらせてやるかな?)
霧山 陽「お爺さん!危ない!」
御坂 十三郎「しょ・・・少年?」
霧山 陽「ぐっ!」
御坂 十三郎「少年?どうして?」
霧山 陽「・・・さっき・・・答えてなかったから・・・」
御坂 十三郎「・・・答え?」
霧山 陽「僕の物語はとっくに終わったんだって思ってたんです」
霧山 陽「風船を取りに行けない僕は主人公にはなれないって勝手に思ってたんです」
霧山 陽「でもお爺さんから問いかけられて、気付いたんです」
霧山 陽「僕はまだ、全然行動してないなって」
霧山 陽「だから僕は「動く」ことに決めたんです」
霧山 陽「胸を張って、僕は僕の物語を生きたんだって言えるように」
御坂 十三郎(影が・・・)
霧山 陽「僕は・・・「俺」は!一歩を踏み出す!」
謎の男「サッキカラペラペラト・・・」
謎の男「ヨホドシニタイラシイ!」
霧山 陽「ハァ・・・」
謎の男「ナ・・・ナンダ?コノクロイタマハ!」
謎の男「グハァ!」
謎の男「マ、マサカ・・・」
謎の男「チョウ・・・ノウリョ・・・ク」
霧山 陽「ハァ・・・ハァ・・・ハァ」
霧山 陽「僕は・・・一体・・・何・・・を」
御坂 十三郎「・・・」

〇広い公園
霧山 陽「ここは・・・」
「陽!」
霧山 陽「・・・ねぇちゃん?・・・ねぇちゃんなの?」
霧山 陽「ねぇちゃん・・・僕・・・」
霧山 陽「ねぇちゃんとの約束守ってるけど・・・」
霧山 陽「僕は・・・まだ・・・」
影「・・・」
影「ねぇ・・・陽・・・」
影「まだ・・・私が必要なら・・・」
影「使っていいよ?」
霧山 陽「つ・・・使うって・・・どういうこと?」
影「・・・」
霧山 陽「・・・ねぇちゃん?」
霧山 陽「ねぇちゃん!」

〇保健室
霧山 陽「ねぇちゃん!」
霧山 陽「ハァ・・・ハァ・・・ここは?」
「やっと起きた」
霧山 陽「あ・・・あなたは?」
志真哉 道代「あたし?あたしは志真哉道代」
志真哉 道代「簡単に道代先生でいいわよ?」
霧山 陽「えっと・・・道代先生・・・ここは?」
志真哉 道代「ここは寺子屋御坂・・・」
志真哉 道代「簡単に言えば・・・小さな学校ね」
霧山 陽「・・・学校・・・」
志真哉 道代「あなたの事情は聞いたわ」
志真哉 道代「中学やめたんだって?」
霧山 陽「・・・」
志真哉 道代「そ」
志真哉 道代「まぁそんな悩みなんかどうでもいいわ」
志真哉 道代「・・・なるほどね?」
霧山 陽「えと・・・何ですか?」
志真哉 道代「これ着て!」
霧山 陽「え?」
志真哉 道代「いいから・・・これ着なさい?」
霧山 陽「あっはい・・・わかり・・・ました」
霧山 陽「・・・これでいいですか?」
志真哉 道代「うん似合ってる!さすが私!」
霧山 陽「えっと・・・?」
志真哉 道代「あーあとそれこれから制服ね?」
霧山 陽「え?制服?」
志真哉 道代「そ」
霧山 陽「え?でも僕もう中学行かないですし」
志真哉 道代「うん、だってあなたは寺子屋御坂に入学するんだもん」
霧山 陽「えぇ!」

コメント

  • 寺子屋御坂が、主人公陽が自分自身の物語を始める希望の場所になるのでしょうか。影となって出てきたお姉さんの存在も気になるところです。タイトルの「ナイト」はもしかして「夜」と「騎士」のダブルミーニングですか?

  • いじめる人の神経は本当に理解できないです。
    こうして人の心をズタズタにしてしまうと言うことに気付かないのかなあと疑問に思います。
    辛くてどうしようも無かったら我慢してその場に居続ける必要は無いし逃げるのは間違いじゃないと思います😌
    彼がこれから、幸せな道に進めますように。

  • 心に突き刺さる言葉でした。
    確かに自分の物語は自分が主人公で、自分の意志で進めないことには物語は進行しないですよね。ぐっときました。

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