17面 空間があれば(脚本)
〇ライブハウスの入口
『10センチ』って意味の衣料の用語かな、それをバンド名につけている、
そのバンドのヴォーカルが死んだのかな、死んじゃった。
でも、ちょっと挨拶というか、会いに行けるんだって。
江藤鉱(あっ俺服着ないとな、見えないってことはないだろうけど)
江藤鉱(あれ?)
江藤鉱(ヴォーカルの子、泣いて歌ってる 俺の目の前で)
江藤鉱(・・・折中さんに会いに行こう)
江藤鉱(あ、星羽さんだ)
何か充実した、好きな人を思って笑顔滲んでる、いいことあったのかな。
〇漁船の上
学級で船に乗る
漁師「気づけば拾うけど、気づかなきゃご愁傷様」
漁師「まぁ運だな」
とか不穏なこと言ってる漁師さん。
江藤鉱(乗らないといけんのかー)
江藤鉱(落ちて、絹ランドなら沈むなー)
江藤鉱(逆なのかな?反発で上がんのかな?シルク、絹、うーん・・・)
江藤鉱(まー落ちて気づかれなきゃそこから自力で泳いで岸へなんて無理だよな)
〇木の上
大木だ
そんなの確認しなくたって
クリが大好きだ
〇備品倉庫
珠未さんに教えてもらってる間、気持ちが止まない。
折中珠未「商品なんで、こいつがいたら外に追い出して」
折中珠未「で、ブチッとやって、それをこうやって指でつぶせばオッケーですっ」
検品する際に、ごく小さいミミズのような虫がついていることがあって、
それをはらって、最後は自分の親指で直につぶして、それもすごいけど、
そうしてみせつつ四つん這いになって、
近い、髪の毛が触れる
カメラ持ちの新人の女の子
ボサッとした髪の毛で、眼鏡かけて
その子の写真が何枚も
江藤鉱(いや、クリだよ、それは)
〇ショッピングモールのフードコート
今ならチカジュウの
ホワイトチョコをプレゼント!!
(チカジュウがホワイトになってるポスター)
江藤鉱(ホワイトデーでもないのに?)
江藤鉱(みんなにランチセットで配るんじゃ、希少価値ないよな。折中さんにあげるっても)
江藤鉱(・・・しかしキッズ向けにしては趣味悪いCMだな)
江藤鉱(リングアウトした子供を)
江藤鉱(担架で運んでハロウィンホワイトみたいな趣向)
江藤鉱(忍者アニ丸くんがプロレスでリベンジを親御さんに誓って、)
アニ丸「葬送してやる!!」
江藤鉱(相手の顔にイス押しつけてグッみたいなことしてたけど)
江藤鉱(プロレスはそういうのアリなのかもしれんけどな)
と、兄妹っ子入ってきて、
少女「そこから出たのー?」
江藤鉱「うん、覚えてないんだよーっ」
少年「棚の上通ったのー?」
少女「どこにあったのー?」
窓から裸足で出て伝っていったの、そのときに子供たちにワイワイ喜ばれたのか。
寝ぼけててそういうことしたんだろうか。
女の子屈託なく懐いてくれて、聞いてくるのに顔横くっつけ合ったりして可愛い子だ。
〇ハート
センター「けんかなんてやめて、窓開けて♡」
センターちゃんが聖夜に
笑顔で誰かを迎えるように
小さいハートが
雪のように舞い降り落ちる
折中珠未「付き合っちゃおっか?」
折中さん、
フルーツを手渡してきて、てな。
〇電車の座席
秋原さんと電車に乗って、届け物か何かするのかな。
今日はお互いいろいろあって、
秋原さん早番なのに店長と一緒に何か殺陣の激しい芝居やってらして、
出演、からだついていかなそうになりつつも持ち直して健闘してた。
俺は一切さんに、
一切利夫「あそこのアパートのわきのコンテナ、やっとくようにいっといたよね?」
っていわれ、
江藤鉱「あ、すみません、やります」
3つ積んである、工具ボックスくらいの大きさのグレー
引っ越しするのにいらなくて置いていったのか、行ってみると張り紙してあって、
処分して下さい
とある。そこの住人の女性も捨ててほしそうな話しぶりなのでいいんだろう。
秋原町子「変なもの入ってないでしょー」
江藤鉱「張り紙してちゃんとしてるんだろうから」
江藤鉱「それで変なの入ってたらそれこそおかしいですよ」
秋原さんと話し、
江藤鉱「秋原さんの方が大変でしょー」
江藤鉱「早番でもう17時なのに、ついてきてくれて」
秋原町子「でもわたしのポジション、超暇で」
秋原町子「2組しか来ないからどーしよーと思ってたー」
江藤鉱(くじコーナーとかかな?)
・・・何か好意もってくれてるのかな、気持ちが流れてくるよう。
目をジーッと見たら照れそうだし、隣座って触れたらまずいな、
と、立って話しして(足元の荷物でうまく距離とって)、
秋原町子「見て見てーっ」
子供がするようにシートに膝乗りして、窓の外を指したりする、そういう様子かわいいんだけどな。
〇赤レンガ倉庫
折中さんが運んでくれるので、それじゃあとポンポン渡す。
カートン、なるべく大きいの、と、でも運河をどんぶらこ浮いて流れてきてんのか、これ
江藤鉱「いけますー?」
折中珠未「それはうーん・・・」
江藤鉱(そこそこの大きさの2段くらいだな)
大花さんも率先して動いてくれて、かさばるシートを端に寄せて、
大花歴亜「くくりつけて縛ればいいんじゃねぇの?」
とか、言ってくれたり、
江藤鉱(あ、大花さん、そうしたくなるよな、俺もしようとするな)
ホチキスでバチンと、輪っか留めて、
──最後、紫のバンドでうまく留まった。
江藤鉱「いーんじゃない?ねーみんな」
パチパチパチーッ
〇洞窟の深部
朱色のあしらわれた花嫁姿の彼女と仲間と連れだって岩場の奥、進んでいくと(吹雪いていて洞窟になってる)
目の前に浮かびあがる、女性のバストアップ姿、
ポニーテールで耳の前も垂らした20代くらいの方、
そこにかかる母なる音楽。
フィールド画面、ペンギン(だったかな)の姿で移動して進み(2D俯瞰)
岩場の行き止まりで《下》ボタン押すとその場面に突入する(そんななるとはつゆとも思わで)
(そう、そう、それでいいのよ、何か行きよういちいち認めてくれる誰かいるような感じ)
〇沖合
いや、あなたは大爆発の龍の雲
そうだな、最後までいかなきゃな
〇電脳空間
落ち着いて、落ち着けば
空間がたくさんあれば
・・・・・・
クリさん?
──折中さんが『初恋の人からの手紙』をやったら
折中珠未「勝率よりも採算合わないといいねっ」
折中珠未「もっと勉強して下さい」
とか、舞台のことか何なのか、
ありがとう 龍さん♡
とか書いてある細長いトートバック
〇学校の下駄箱
──靴脱ぎ場。
足元に散らばったカード、冊子類の中、
おねんねチカジュウとおねんねドッチャマのカードが寄り添っている。
〇住宅地の坂道
男の子の方が学年上の小学生カップル。
男の子が引っ張ってってあげるんだって、頼もしいね。
でも一人でバッと駆けてって、女の子ついていこうとしたら、
ランドセル重かったか、後ろデングリーッ
頭大丈夫?その子のお母さんあわてて起こしてたけど、
女の子髪の毛ちょっと薄く見える。
男の子、かっこいいこと言うだけじゃなくて
ちゃんと引っ張ってあげないと駄目だぞ。
女の子は雨ガッパかランドセルか、黄色いいでたち。