私はこの世界で生きていく。

ラッキー・スノー

読切(脚本)

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ラッキー・スノー

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〇ホストクラブ
エイラ「・・・ふぅ」
バーク「疲れてますね。 聞きますよ?」
エイラ「バークさん。 私にまで敬語使わなくて良いですよ? もう、色々と知っているんですし」
バーク「こらこら、ライカ 俺はクリムと呼んでくれないと」
エイラ「クリムさんも 私のことはエイラって呼んでください ハリルさんに怒られますよ?」
バーク「あは・・・ 気をつけないといけませんね エイラさん」
エイラ「全くもう・・・」
エイラ「不思議ですね なんだか」
エイラ「私がこんな仕事してるなんて ちょっと前だったら信じられません」
バーク「人は変われます 外見だけじゃない 中身だって」
バーク「凛音さんとの事だって きっと・・・」
エイラ「あはは・・・ そうですね きっと・・・」
  私は、本当はこの世界の人間じゃない。
  こうして”彼”と笑い合えるまでにも
  色々なことがあったんだ。
  ”彼”
  バークさんとの出会いも
  なかなかに衝撃的だった。
  きっと、
  一生忘れられない思い出だと思う。
  だって
  あの時から
  私の物語は始まったんだから・・・

〇地下の部屋
  私は彼と出会う前、牢屋に入れられていた。
  私を見た兵士が、突然掴みかかってきて
  無理やり閉じ込められたんだ。
徳衛 来花「ふぐ、ぐす・・・ ここ、どこよ 私、どうしたらいいの?」
  そこは
  私の知っている世界ではなかった
  建物も、人も、言葉も
  何もかもが異なる異世界
徳衛 来花「どうして、私だけ」
  何故この世界に来てしまったのか
  そんなこと分からない
徳衛 来花「家に、帰りたいよぉ」
  分かるのは
  もう帰る場所などないという事だけ
徳衛 来花「ふえぇぇええ・・・」
  私はひたすらに泣いていた。
  そして絶望した心で
  私だけがここにいる理由を悲観する
徳衛 来花「きっと、私はいらない子なんだ」
徳衛 来花「友達もいないし、お母さんやお姉ちゃんとも仲良く出来ない ダメな私がいけなかったんだ」
  引きこもってばかりの自分を呪って
  現実を悔やんで
  後悔を続けた。
  本当に一人になって
  何もかも失って
  ようやく自覚した。
  私ってやつは
  本当の本当に
徳衛 来花「情けない人間だったんだ」
徳衛 来花「お母さん」
徳衛 来花「お姉ちゃん・・・」
徳衛 来花「今まで、ごめんなさい」

〇地下の部屋
  そうしているうちに
  ただただ時間だけが過ぎて
  いつのまにか消灯時間になっていた
徳衛 来花「・・・・・・」
徳衛 来花「これから、どうしよう」
???「ちょっと良いかい?」
徳衛 来花「うわ!? え?なに??」
  目の前のベットの下から声がした
徳衛 来花「え? ちょ、え!?」
徳衛 来花(まさか、幽霊!!??)
???「違うよ ベットの下を覗いてごらん」
徳衛 来花「え?」
  恐る恐る覗くと、そこにあったのは
  ギラリと輝く一対の金色の瞳だった
徳衛 来花「きゃああああああああ!?」
徳衛 来花「おば、おば おばー!?」
???「面白い反応してくれるね」
  クスクスと間の抜けた笑い声が聞こえた
  次の瞬間
  ベットが突然壁の方に吹っ飛ぶ。

〇穴の開いた部屋
徳衛 来花「ええ!?」
  ベットの下には大きな穴が空いていた
  そして穴の中に、一人の青年が立っている
徳衛 来花「だれ、ですか?」
徳衛 来花「あ、」
徳衛 来花(そうだ・・・ 私、この世界じゃ言葉通じないんだった)
徳衛 来花(あれ? でもさっき、)
バーク「脅かしてごめんね 一応これでも怪しい者じゃないんだ」
徳衛 来花「どう、して・・・」
バーク「ん?」
徳衛 来花「分かる! 言葉、分かります!」
バーク「良かった ちゃんと上手くいってるね」
徳衛 来花「え?」
バーク「まだ分からないことだらけだと思うけど 今理解して欲しい事は一つだけ」
徳衛 来花「り、理解・・・」
バーク「そう たった一つでいい」
徳衛 来花「何を、理解、すれば?」
バーク「俺は 君を助けるためにここに来た それだけ理解してくれていれば良い」
徳衛 来花「助ける? 私を?」
バーク「そう 君を 助けに来たんだ」
徳衛 来花「どうして、私を?」
バーク「君の事は知らない 君も俺に助けられる理由はないだろう」
バーク「けどね」
バーク「俺には君を 助けたい理由があるから」
バーク「だから 騙されたと思って助けられてくれると 俺も助かる」
  これが、
  私とバークさんの
  最初の出会いだった

〇洞窟の深部
バーク「俺はバーク 好きに呼んで良いよ」
バーク「君の名前は?」
徳衛 来花「私 徳衛 来花、です」
バーク「トクエイ ライカ 良い名前だね」
徳衛 来花「そうですか?」
バーク「うん ようこそって感じの名前だ」
徳衛 来花(そうなのかな 私は、こんな名前、嫌いだったけど)
バーク「ライカ・・・ この世に どうでも良い名前なんてないよ」
徳衛 来花「え?」
バーク「君の名前はとっても君らしい 素敵な名前だよ」
徳衛 来花「素敵な、名前」
バーク「ああ、素敵だ すごく」
徳衛 来花「私らしくてって」
バーク「君が素敵なんだ」
徳衛 来花「わ・・・私なんか ぜんぜん、素敵じゃないです」
バーク「俺はそんなことないと思う ライカも もちろんこの名前もね」
徳衛 来花「・・・・・・」
バーク「大切にするんだよ ライカ 君も、その名前も」
バーク「君は君だ 周りがなんと言おうとも 君だけが、君なんだ」
  妙に語気を強めたバークさんの言葉に
  少し首を傾げつつ私は頷いた
徳衛 来花「はい。 私なりに、名前、大切にします」
バーク「ああ」
  すると突然、バークさんは自身の手のひらを
  私の頭に乗せた。
徳衛 来花(え!?)
  手のひらは心地よい暖かさだった
徳衛 来花「え?え!?」
  悲しいが今までの人生では
  男性から触れられた事など皆無な私
  小っ恥ずかしさと嬉しさで
  若干パニックに陥りながらも
  私はじっと固まっていた。
バーク「ライカ 君に、お守りの言葉を渡すよ」
  バークの言葉は私の全集中が頭にいっているのでほとんど聞こえてはいない。
  バークの優しい手が髪の毛をなぞる感覚が
  自分でもびっくりするぐらい気持ちが良い
バーク「もし、これから辛いことがあったとしても この言葉を思い出してほしい」
  私はうっとりと手の温もりを感じていた。
  それ以外の情報など
  もう入ってこないように思えた。
バーク「勅命を下す」
  ところが
バーク「『ライカ。この世界で、生きろ』」
  その瞬間、私の体に電撃が走った。
  それは何度も頭の中で反響する。
徳衛 来花「この世界を 生きる」
徳衛 来花(私は この世界で 生きていく・・・)
徳衛 来花「う、ぐ・・・」

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コメント

  • 冒頭のシーンでライカはエイラと名乗ってバークと笑っていたから、今は無事にこの世界で生きているということかな。それにしても姉のリンネはこの世界で何をしたのか、リンネは元の世界に戻ったのか、などなど、気になることばかりです。

  • 2人が牢屋の一室で出会ったシーンがとても印象的でした。恐怖と後悔に打ちひしがれた彼女に内外面的に手を差し伸べるパークはまるで王子さまのようです。

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