遙かなる時を超えて

美愛

遙かなる時を超えて(脚本)

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〇病院の廊下
  全ての世界は繋がっている。世界の意思に逆らえば、世界は君を見放す。
  望みがあれば、世界の意思に従う事だ。
  未来(みらい)は長い眠りから、ゆっくりと目を覚ました。
凛「未来、やっと目覚めたのね」
凛「良かった。本当に良かった」
未来「凛、私ずっと幸せな夢を見て見ていた気がする」
未来「でも、思い出せない」
凛「未来は2年間寝たきりだったの」
凛「未来が寝ている間に、私たちは高校3年生になったんだよ」
未来「2年間も・・・・・・」
凛「そういえば、未来が寝ている間、時々『ケイン』てつぶやいてた」
未来「ケイン?」
???(未来、遙かなる時を超えてずっと愛してる)
未来「遙かなる時を超えてずっと愛してる?」
凛「未来、どういうこと?」
未来「頭の中に聞こえたの。私にもわからない」
凛「ゆっくり思い出したらいいよ」
凛「未来は2年間も寝ていたんだから、記憶が混乱しているのかも」
未来「そうだよね」
未来(遙かなる時を超えてずっと愛してる。思い出せそうなのに思い出せない)
未来(ケイン、あなたは誰なの?)
???(未来、今は思い出せなくてもいい)
(僕はずっと側にいるから)

〇ヨーロッパの街並み
  前日。
未来「ケイン、恐竜はもうすぐここまで来るわ」
未来「この砦が破られたら、この世界は・・・・・・」
ケイン「この世界は今日で終わる」
未来「えっ、どういうこと?」
ケイン「世界の運命は決まっているんだ」
未来「そんな! じゃ、私たち・・・・・・」
ケイン「俺は最後まで戦う。だけど未来は元の世界に帰るんだ」
未来「嫌よ! 私も最後まで戦うわ」
未来「あなたと一緒なら、私は死んでも後悔しない」
ケイン「だめだ!」
未来「ケインがいない世界に帰りたくない」
ケイン「もうすぐ恐竜の大群がやって来る」
ケイン「未来は俺の希望なんだ。死なせたくない」
ケイン「君は自分の世界へ戻って、自分の人生を歩むんだ」
未来「そんなの嫌」
未来「私は最後までケインと一緒にいる」
ケイン「エンジェル、ここに来てくれ」
エンジェル「はい。ケイン様」
ケイン「未来を元の世界に帰して欲しい」
エンジェル「わかりました」
未来「嫌よ。ケインと一緒にいる」
  未来はケインにすがって泣き出した。
エンジェル「未来様、これは運命なのです」
未来「エンジェル、運命を変える方法はないの?」
エンジェル「永遠の誓いをすれば・・・・・・」
未来「永遠の誓い?」
ケイン「エンジェル、それはダメだ」
ケイン「未来を縛りたくない」
未来「エンジェル、永遠の誓いって何なの?」
エンジェル「お2人が私の前で永遠の愛を誓えば、遙かなる時を超えて2人は結ばれます」
未来「遙かなる時を超えて? この世界じゃないの?」
エンジェル「この世界は恐竜の世界となります」
エンジェル「未来様がケイン様と結ばれたいなら、遙かなる時を超えた世界を待たなければいけません」
未来「ケインの側にいたい、たとえこの世界でなくても」
未来「永遠の愛を誓うわ」
ケイン「未来、永遠の愛を誓えば、絶対に他の人と結ばれる事は出来なくなるんだ」
ケイン「未来の世界には僕はいない」
ケイン「だから、永遠の誓いなんてしてはだめだ」
未来「私にはケインしかいない」
未来「遙かなる時を超えて再会出来るのを待つわ」
エンジェル「わかりました。では、誓って下さい」
ケイン「ダメだ。僕は今日で死ぬ」
ケイン「未来は元の世界に戻って、愛する人と結婚して、寿命を迎えるまで生きるんだ」
未来「ケイン、私はあなたを愛してる」
未来「永遠の誓いが出来ないなら、ここであなたと一緒に死ぬわ」
エンジェル「未来様、それは世界の意思に逆らう事になります」
エンジェル「逆らえば、世界から見放され望みは永遠に叶いません」
ケイン「僕は未来に僕ではない誰かと幸せになって欲しい」
未来「嫌よ。私にはケインしかいない」
エンジェル「永遠の誓いは2人が同時にしなければ意味がありません」
未来「ケイン、お願い。誓って」
ケイン「・・・・・・僕も未来を愛してる」
ケイン「だから、未来を苦しめたくない」
未来「ケインに永遠に会えなくなる事より苦しい事なんてない」
未来「ケイン、愛しています」
ケイン「未来・・・・・・わかった。誓うよ」
ケイン「僕は永遠に未来を愛する」
未来「私も永遠にケインを愛します」
エンジェル「2人の永遠の誓いは遙かなる時を超えて果たされるでしょう」
エンジェル「未来様、時間がありません」
エンジェル「未来様の世界に帰りましょう」
未来「ケイン、ケインも・・・・・・」
ケイン「未来、必ず未来で会おう」
ケイン「エンジェル、未来を頼む」
エンジェル「わかりました。未来様、行きましょう」
未来「ケイン、ケイン・・・・・・」
エンジェル「未来様、早く! 恐竜がそこまで来ています」
  エンジェルが未来を抱き上げ、羽を広げて世界の狭間に飛んでいった。
ケイン「未来、愛しているよ」
  エンジェルは未来を元の世界に送り届けた。

〇病院の廊下
未来(ケイン、私、全てを思い出したわ)
未来(いつかきっとあなたに会えるのね)
未来(ケイン、愛しているわ)
(未来、僕も君を永遠に愛してる)
(君には僕が見えないけど、僕はずっと側にいるよ)
未来(頭の中に誰かの声が聞こえる)
未来(ケイン、あなたなの?)
未来(私は頑張って生きるから、ケイン待っていてね)
(ずっとずっと待っているよ)
(未来、君はこの世界を寿命まで生きるんだ)
(僕はいつでも君の側にいるから)
凛「先生に未来が目覚めた事を伝えたよ」
凛「すぐに先生が来てくれるから、って、未来どうして笑っているの?」
未来「・・・秘密」
未来(遙かなる時を超えて、ケイン愛してるわ)

コメント

  • 2年間も病床で眠るという特別な経験は、こうした結果を生む可能性があるのだという、文字通り夢のあるストーリだと思いました。なにより、いつしか身を置いていたと感じる世界から離れることなく心地よい目覚めが出来た事がとても素敵です。

  • 「永遠の愛を誓う」ってロマンティックですが、覚悟がないと出来ませんよね。
    ケインと未来さんはいつの時代に再び巡り会えるんだろう…と思いをはせてしまいました。

  • 二人の真剣さが伝わってきて、こちらまで切ない気持ちになりました。別れ際って本当に想いが溢れますね…。今は姿は見えなくても、ずっと寄り添って生きていけるって素敵です。

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