1(脚本)
〇教室
とある昼休み──
僕は1人、暇を持て余していた
タッタッタッ──
みれん「やっほー!!藍!!遊びに来た!!」
丁度そこに勢いよく現れたのは、僕の親友であるみれんだ
いつも昼休みになると、僕の所まで走って来てくれる
みれん「実はね!!藍。今日の私は、昨日の私とは違う存在なんだよ!!」
藍(ああ、今日はこの日か)
彼女は、普段の会話の中で、現実離れした話をすることが多い
だから不思議な始まり方に、今更驚いたりはしない
みれん「昨日の夜、家に宇宙人が来て、私がもう1人出てきたんだよー!!」
藍「それはまた・・・随分とスケールが大きいね」
みれん「本当なんだよー!!だって今日私、お風呂の鏡に映らなかったんだもーん!!」
みれん「絶対私宇宙人だよー!!」
藍(窓にはしっかり映ってるけどね・・・ それにみれんは朝風呂派だからさ・・・)
藍(なんなら、鏡に映らないのは吸血鬼とかそういった部類のもので・・・宇宙人なら映るんじゃないか・・・?)
藍(・・・まぁ、楽しそうに話してるから、水を差すようなことは言わないけど)
藍(聞いていられるだけでも充分・・・)
彼女が一方的に話し続けて、僕がそれを聞く。普段もそんな感じだ。
彼女は何かと喋りたいらしく、僕のことはお構い無し。けれど、僕も話を聞くのが好きなので不満はない。
みれん「でねー!私──」
みれんのクラスメイト「ねぇ、みれんちゃん、少し良いかな?今週末の予定について話したくて・・・」
みれん「──うん!良いよ!」
みれん「じゃあ、藍。また帰りにね」
藍「うん。また──」
藍(行ってしまった)
彼女とはクラスが違う。だから、昼休みが終わると授業の関係でしばらく会えない
藍(昼休みはまだ30分も残ってる。 『また』ってことは、長話なのだろうか)
藍(あいつらと?長話?)
藍(そういえば今週末友達と遊びに行くってみれん言ってたな・・・)
藍(急に割り込んできやがって・・・)
藍(・・・いいご身分だこと)
藍(はっ・・・)
藍(いやいやいや!!流石に性格が悪すぎるぞ僕・・・)
藍(でも・・・みれんは、クラスメイトと仲良くやってるってこと・・・なんだよな)
藍(また、暇になってしまった)
僕は、さっきの話を思い出す
彼女から現実味のない話を聞いた後、僕は必ず『もしも』を考えるようになった
『もし』本当に彼女が昨日と違う存在になったいたら──と
しかもそのせいで、彼女があいつらの元に行ってしまったら。
藍(きっと、『そっか』って自分を納得させることしかできないんだろうな)
今の関係が変わらなければ何でもいい。これが、いつも僕の出す結論だ
もし彼女が僕から離れていくとしても、たまに一緒に帰れるような・・・
そんなか細い関係でも続いてくれるだけでいい
藍(それが、正しいと信じてる)
藍(ただ、ほんの少しだけ、心が痛い)
みれんの「昨日の私と今日の私は違う」っていう言葉はある意味真実ですよね。こちらは相手がいつも同じだと思っていても人間は毎日少しずつ変化しているから。みれんに他の親しい友人ができて、ある日藍のところに来なくなることを暗示する一言とも受け取れました。
主人公にとってのみれんちゃんへの想いがとても切なく伝わってきました。まったく違うタイプだから相手に惹かれることってありますよね。2人がいつまでも仲の良い友だちでありますように。
日常のふとした習慣を面白く切り取っていますね、あーあるあると思っちゃいました。藍さんとみれんさんのキャラの対比が楽しいです!