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【サンプル作品】出伊部家は今日も討論中 作:穂橋吾郎(脚本)

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〇教室
編集長「アニメノベルプロジェクトも残すところあと1か月ほどとなりました」
編集長「募集テーマの、”『家族』をテーマとしたシリーズ化できる各話読み切り形式の作品”」
編集長「こちらを少し捉え間違えている人も見受けられたので」
編集長「少しでも理解いただき、求めている作品に出合えるよう、公式でサンプルを用意いたしました」
編集長「サンプルを執筆いただいたのは、公式タップライターの穂橋吾郎先生です」
編集長「プレッシャーがかかる中ご執筆いただきありがとうございます」
編集長「それではご覧ください」
編集長「『出伊部(でいべ)家は今日も討論中』」

〇狭い畳部屋
出伊部 俊樹「絶っ対、野球観戦!」
出伊部 俊樹「ガイアンツ対ティガース戦を見逃すわけにはいかねぇ!」
出伊部 時生「美術館一択でしょう」
出伊部 時生「現在開催中の『世界の毒キノコ展』」
出伊部 時生「これこそ見逃せません」
出伊部 俊樹「毒キノコなんか見てどうすんだ! 俺は食えねぇもんに興味ねぇ!」
出伊部 時生「野球の方こそ、興味が湧きません」
出伊部 時生「大の大人が球を棒で引っぱたくなど、文明社会にあるまじき蛮行です」
出伊部 俊樹「ちっ、このままじゃ埒が明かねぇな」
出伊部 時生「ええ、やるしかないでしょう」
「発議!」

〇大きな一軒家
出伊部 とよ「俊樹と時生によって発議が宣言されたよ!」
出伊部 とよ「議題は『次の休日、家族で野球観戦に行くか、美術館に行くか』だ」
出伊部 とよ「出伊部家は全員、広間に集まって、〈野球観戦〉か〈美術館〉」
出伊部 とよ「自分の支持する方へ着きな!」
  出伊部家・家訓
  あらゆるもめごとは、ディベートで解決すべし!

〇古風な和室(小物無し)
  〈野球観戦〉チーム
  長男・俊樹
  長女・透子
出伊部 俊樹「スタジアムの熱気をみんなで体感しようぜ!」
出伊部 透子「フランクフルト、食べたい!」

〇古風な和室(小物無し)
  〈美術館〉チーム
  次男・時生
  父・徹
  母・朋美
出伊部 時生「毒キノコの美しさに魅了されること間違い無しでしょう」
出伊部 徹「美術館~、のんびり出来そう~」
出伊部 朋美「野球観戦と、美術館の観覧・・・ふむ、美術館の方が安く済むわね」

〇古風な和室(小物無し)
出伊部 俊樹「くっ、透子しか来なかったか・・・」
出伊部 時生「当然でしょう」
出伊部 時生「野球なんて暑苦しいだけで、少しも知的ではありませんからね」
出伊部 俊樹「なんだと!」
出伊部 俊樹「てめぇは美術館に行ってる自分が好きなだけだろうが!」
出伊部 とよ「こら、フライングすんじゃないよ!」
出伊部 とよ「ちゃんとルールに則って、立論、反論、相互討論の時間に自分の意見を言いな」
出伊部 とよ「最終的な勝敗は、いつも通りあたしが決める」
出伊部 とよ「好み抜きで、どっちの主張が優位だったか、冷静な立場で判断するから安心しな」
出伊部 とよ「それじゃあ、準備はいいかい」
出伊部 とよ「ディベート、スタート!」

〇野球場の観客席
出伊部 とよ「〈野球観戦〉チーム、立論フェーズ、始め!」
出伊部 俊樹「次の一戦はどうしても生で見てぇんだ」
出伊部 俊樹「なんてったって、ガイアンツとティガース、伝統の一戦だからな」
出伊部 俊樹「球場の熱気を感じながら、最高のプレーを見る」
出伊部 俊樹「みんな絶対盛り上がるぜ!」
出伊部 透子「野球興味無い!」
出伊部 透子「フランクフルト食べたい!」
出伊部 透子「コーラ飲みたい!」
出伊部 俊樹「お前、もう少し援護くれよ・・・」
出伊部 とよ「次、〈美術館チーム〉、反論フェーズ、始め!」
出伊部 時生「感情論ばかりで説得力に欠けますね」
出伊部 時生「野球観戦に行くメリットが伝わってこなかったです」
出伊部 徹「盛り上がらなくていいよ~。 僕、休日はのんびりしたい~」
出伊部 朋美「仮にBランク席を家族5人分購入したとすると、25,000円」
出伊部 朋美「球場までの高速代、球場での飲食代も加えると、合計で40,000円近くなる」
出伊部 朋美「こんな大出費、到底認められないわ」

〇美術館
出伊部 とよ「お次は〈美術館〉チームの立論フェーズだよ」
出伊部 とよ「始め!」
出伊部 時生「『世界の毒キノコ展』は期間限定の展示」
出伊部 時生「いま行かなくては見れなくなってしまう」
出伊部 時生「故に、優先度は高いでしょう」
出伊部 徹「美術館は、各自が好きなように過ごせるのが魅力~」
出伊部 徹「僕はね、併設されてるカフェでのんびり眠りたいんだ~」
出伊部 朋美「美術館なら大人は一人1,500円と安価で済むし、子供は無料で入れてお得」
出伊部 朋美「それに高速を使う必要が無いから交通費も掛からないわ」
出伊部 時生「浮いたお金で透子に好きなだけフランクフルトを買ってあげられますよ」
出伊部 透子「え、じゃあ野球いらない!」
出伊部 俊樹「ま、待て、野球だってな──」
出伊部 とよ「だから、フライングすんじゃないよ!」
出伊部 とよ「〈野球観戦〉チーム、反論フェーズ、始め!」
出伊部 俊樹「毒キノコなんて見たってしょうがねぇだろ」
出伊部 俊樹「ネットの画像で十分さ。なぁ、透子?」
出伊部 透子「透子は野球もネットで十分!」
出伊部 俊樹「こ、こいつはもうダメだ・・・」

〇古風な和室(小物無し)
出伊部 とよ「そこまで!」
出伊部 とよ「一旦、ハーフタイムだよ」
出伊部 とよ「お互いに主張を整理してから、いよいよ最後の相互討論だ」
出伊部 とよ「もし立場を変えたくなった者がいたら、いま変えてもOKだよ」
出伊部 透子「ママの方行くー!」
出伊部 俊樹「この裏切り者!」
出伊部 俊樹「くそう、ぜってぇ最後まで諦めねぇからな」
出伊部 俊樹「何か使えそうな情報はねぇか」
出伊部 俊樹「・・・ん、これとこれは使えそうか」
出伊部 俊樹「あと、これも・・・」
出伊部 時生「早く毒キノコを見たいでしょう」
出伊部 徹「カフェでうたた寝しよ~」
出伊部 朋美「美術館の割引券を事前に発行しておくわね」
出伊部 透子「フランクフルト!」

〇古風な和室(小物無し)
出伊部 とよ「さあ時間だ!」
出伊部 とよ「相互討論フェーズ、自由に意見を戦わせな!」
出伊部 俊樹「げっ、ちょっ、待ってまだ──」
出伊部 時生「無駄な足掻きですねぇ。 もうあなたの負けは決定してるでしょう」
出伊部 俊樹「てめぇ、弟の分際で調子乗りやがって・・・」
出伊部 時生「野球の試合はいつでもやっているのに対して、毒キノコ展は期間限定」
出伊部 徹「球場はうるさいけど、美術館は静かでのんびり出来る~」
出伊部 朋美「コスト面でも圧倒的に美術館優位」
出伊部 時生「さあ、覆してご覧なさい。ふはははは!」
出伊部 とよ「俊樹、言われっぱなしでいいのかい?」
出伊部 とよ「ケツの穴締めて気張りな!」
出伊部 俊樹「・・・ああ、やってやるぜ」
出伊部 俊樹「〈美術館〉のメリット、全部潰してやらぁ!」
出伊部 俊樹「まず母ちゃん」
出伊部 俊樹「美術館の方がお得って言ってたけど、そんなことはないぜ」
出伊部 俊樹「『毒キノコ展』はグッズが豊富なんだ」
出伊部 俊樹「図録はもちろん、毒キノコフィギュアや毒キノコTシャツなどなど」
出伊部 俊樹「マニアの心をくすぐる逸品ばかりだ」
出伊部 俊樹「時生がこれをねだらないわけがねぇ!」
出伊部 時生「ね、ねだりませんよ!」
出伊部 俊樹「ふんっ、前に行った『毒蜘蛛展』の時、20,000円分は買っていたはずだけどな」
出伊部 時生「ぐっ、それは・・・」
出伊部 朋美「グッズを買わされるリスクは考えてなかったわね・・・」
出伊部 俊樹「それから父ちゃん」
出伊部 俊樹「美術館は静かでゆっくりできるって?」
出伊部 俊樹「透子の存在を忘れちゃいないか?」
出伊部 俊樹「透子が騒ぐのをなだめるのに、むしろ体力を使う!」
出伊部 透子「そんなことないもん!!」
出伊部 透子「透子、静かに鑑賞できるもんんんん!!」
出伊部 徹「え~、ん~、フランクフルトを食べさせておけば──」
出伊部 俊樹「館内は飲食禁止さ」
出伊部 徹「あちゃ~・・・」
出伊部 透子「え、美術館だとフランクフルト食べれないの!?」
出伊部 俊樹「野球場なら食い放題だぞ」
出伊部 透子「じゃあ野球観に行く!」
出伊部 俊樹「次に時生」
出伊部 俊樹「毒キノコ展は期間限定だと言ったが、こっちはもっとすごい」
出伊部 俊樹「今度の試合の日、球場に伝説のスラッガー・マルガネフがやってくるんだ!」
出伊部 俊樹「あのマルガネフに会える・・・こんなチャンス二度と来ないぜ!」
出伊部 時生「だ、誰もマルガネフになんて興味は無いでしょう!」
出伊部 俊樹「毒キノコも興味ねぇよ!」
出伊部 時生「えっ!?」
出伊部 俊樹「母ちゃんも父ちゃんも、安価でのんびりできるから〈美術館〉についてただけ」
出伊部 俊樹「そのメリットが崩れた今、〈野球観戦〉も〈美術館〉も評価は五分」
出伊部 俊樹「あとは、どっちの優先度が高いかで決まる」
出伊部 俊樹「毒キノコ展はまだ会期があるから、次の休日じゃなくてもいいはず」
出伊部 時生「・・・確かに、その通りでしょう」
出伊部 俊樹「さあ、俺の主張は以上だ」
出伊部 俊樹「これでもまだ〈美術館〉の方が良いってのか!」
「えーっと、あー、うーん・・・」
出伊部 とよ「そこまで!」
出伊部 とよ「勝負ありだね」
出伊部 とよ「〈美術館〉チームは勝利を確信し、ハーフタイムになんの準備もしなかった」
出伊部 とよ「かたや〈野球観戦〉チームは希望を捨てず、反撃のための資料集めに奔走した」
出伊部 とよ「勝利への執念で差が出たようだよ」
出伊部 とよ「最終ジャッジ」
出伊部 とよ「勝者・・・〈野球観戦〉チーム!」
出伊部 俊樹「よっしゃーー!」
出伊部 時生「ふむ、完敗ですね」
出伊部 徹「野球スタンドで眠れるか挑戦しよ~」
出伊部 朋美「まあ、安い席を買えばいいわね」
出伊部 透子「透子、やっぱり焼きそば食べる!」
出伊部 俊樹「くぅー、早く観に行きてぇなー」
出伊部 俊樹「そうだ、持って行くもん準備しねぇと」
出伊部 俊樹「応援グッズと、双眼鏡と、それからそれから♪」
出伊部 朋美「俊樹、気が早いわよ。 あんまり散らかさないで──」
出伊部 朋美「ん、なに、この紙は?」
出伊部 俊樹「げっ、それは!」
出伊部 朋美「数学のテスト・・・0点」
出伊部 俊樹「あ、あははは、見せるの忘れてた・・・」
出伊部 朋美「・・・発議」
出伊部 俊樹「え」
出伊部 朋美「議題は『赤点を隠していた俊樹は野球観戦に行って良いか、それとも罰として居残り勉強すべきか』」
出伊部 俊樹「・・・か、観戦に行ってよい」
「勉強すべき」
出伊部 とよ「やれやれ、これは勝ち目がなさそうだねぇ」
出伊部 俊樹「とほほ・・・」
  終わり

〇教室
編集長「いかがでしたでしょうか?」
編集長「揉め事があると必ずディベートで解決するという一風変わった家族のお話でした」
編集長「例えば、この作品が最優秀賞を受賞した場合は」
編集長「各作家はこの出伊部家のキャラクターを用いて、他のエピソードを書くことになります」
編集長「次は母VS父のお話かもしれません」
編集長「あるいは、まだ登場していないだけで祖父もいたりするのでしょうか?」
編集長「尚、実際にアニメノベル化する際、キャラクターは新たに描き起こすことになります」
編集長「ディベートの内容については話が尽きなそうですね」
編集長「皆でアイデアを出し合って人気のあるテーマでそれぞれ執筆できそうです」
編集長「今回サンプルを執筆いただくにあたり、いくつか企画を提出いただきましたが、」
編集長「あくまでサンプルですので」
編集長「面白さよりも審査項目に忠実な作品を執筆いただきました」
編集長「概要欄にも記載している通り、少しでも求める作品に出合う確率を上げるために」
編集長「アニメノベルプロジェクトでは審査項目を開示しております」
編集長「①設定に引き付けるものがあるか(その作品を読みたいと思うか)」
編集長「サンプル作品はここは5点満点中3点と言ったところでしょうか」
編集長「設定自体の引きはあまり強くありません」
編集長「よっぽどのディベート好きでないとディベートする家族の作品を読みたいとは思わないかもしれませんね」
編集長「今は論破王で人気の有名人もいるので」
編集長「タイトルをもう少し工夫すると若い世代にも興味を持ってもらいやすくなるかもしれませんね」
編集長「ただし、扱うエピソードによっては引き付ける可能性を秘めています」
編集長「A型とB型どちらが優れているか?」
編集長「富士山は山梨県と静岡県どちらのものか?」
編集長「飼うなら犬と猫どちらか?」
編集長「などなど、ディベートのテーマによっては読みたいと思う人もいるでしょう」
編集長「②キャラクターが魅力的か(また読みたいと思うか)」
編集長「サンプル作品はここは5点満点中3点と言ったところでしょうか」
編集長「ややテンプレート的ではございましたが、キャラクターをしっかりと使い分けることができていると思います」
編集長「ただし、キャラクターを好きになる、というところまでは到達できておりません」
編集長「野球や毒キノコというおいしいネタがあるので、そこをもっと活かしてキャラクターの個性を出せたら尚良かったかもしれませんね」
編集長「③テンプレート化できるか(他の作家でも書けるか)」
編集長「サンプル作品はここは5点満点中5点をつけてもよいと思います」
編集長「ディベートのテーマ自体は誰でも思いつきますし」
編集長「自分が得意な分野のテーマを持ってくればよいわけですから」
編集長「特別なスキルや知識がなくても執筆することができそうです」
編集長「④セリフの上手さ(作家としてスキルは十分か)」
編集長「サンプル作品はここは5点満点中4点と言ったところでしょうか」
編集長「非常にテンポもよく、読みやすく書けていたと思います」
編集長「即戦力として十分に力を発揮いただけそうですね」
編集長「キャラクターならではのドキッとするようなセリフや」
編集長「読んだ後も思わず思い出してしまうような印象的なセリフがあったら尚良かったですね」
編集長「⑤バズリやすいか(人にススメたくなるか)」
編集長「サンプル作品はここは5点満点中4点と言ったところでしょうか」
編集長「上でもお伝えした通り、ディベートのテーマによっては十二分に人にススメたいお話になると思います」
編集長「尚、今回の採点は、完全に自分のみの評価です」
編集長「公の場で評価を受けていただいた穂橋吾郎先生には改めて感謝です」
編集長「随分と辛口だと思いましたか?」
編集長「実際の現場では、執筆いただいたものを元にブラッシュアップしていき」
編集長「より面白くしていく作業が行われます」
編集長「今回のサンプルであれば、キャラクターを魅力的にすること、セリフの磨きこみを行っていくことになります」
編集長「そうやって、直しを重ねて作品を面白くしていきます」
編集長「何が言いたいかといいますと、作品の完成度を上げていく作業はこちらでもできるので」
編集長「ぜひ、作品の可能性を見せつけていただきたいなということです」
編集長「皆様からの素敵な作品のご応募を心よりお待ちしております」

コメント

  • とても助かりました!ありがとうございます!こちらで質問してよいのかわかりませんが、応募する際にはキーワードを設定していれば非公開の状態でよろしかったでしょうか?

  • 参考にするべく何度か読ませて頂いてますが、本当に物語が分かりやすく読みやすいです。どの程度活かせるかは分かりませんが、アドバイスを元に魅力的な応募作を作りたいと思います😉😉😉

  • 何を求められているか、
    という点に於いて、コンテストだけではなく、読者のニーズが分かり易く作られていたと思います。

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