異世界人の娘たち

イヌドングリ

憑依、召喚、村人ABと、転生者(脚本)

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〇枯れ井戸
ノーラ・エイルズ「これで水汲み5回目、最後!」
ノーラ・エイルズ「ふぅ〜、今日も完了っと」
ノーラ・エイルズ(いつものこの達成感! ジェニー、レベッカ、普通が一番なのよ?)
ジェニー・エイルズ(わたしの母譲りの黒髪、この村で2人だけ──)
ジェニー・エイルズ(何か意味があるのかしら?)
ジェニー・エイルズ(滅亡した王家の子孫とか──)
ジェニー・エイルズ(大いなる魔力を持ってるとか──)
レベッカ・エイルズ「は〜ぁ、毎日、毎日、水汲み、水汲み」
レベッカ・エイルズ「便利な魔法とかないのかよ!」
レベッカ・エイルズ(あ〜あ、ハズレ引いちまったな〜)

〇寂れた村

〇枯れ井戸
ノーラ・エイルズ「ねえ、あの人、誰かしら?」

〇暖炉のある小屋
ホーゼス・エイルズ「ノーラ、ジェニー、レベッカ、そこに座りなさい」
ホーゼス・エイルズ「お前たちに話さないといけないことがあるんだ」

〇荒野の城壁
  これは、十数年前のこと──
ホーゼス・エイルズ(ん、なんだか騒がしいな)
兵士「お待ちください、聖女様!」
サヤ・エイルズ「そこの人、助けて!」
ホーゼス・エイルズ(ま、何もしないのも気分悪いしな)
ホーゼス・エイルズ「いま、助けてやる!」
兵士「邪魔するな、冒険者!」
ホーゼス・エイルズ「あっちにいい感じの木のうろがある」
ホーゼス・エイルズ「そこに隠れて、すぐ行くから」
サヤ・エイルズ「はい!」
兵士「あ、聖女様が逃げたぞ! 追え!」
ホーゼス・エイルズ「させるか!」
兵士「ぐはっ」
兵士「先輩!」
兵士「なっ、一瞬で、全滅だと!?」
ホーゼス・エイルズ「戻って伝えろ」
ホーゼス・エイルズ「聖女は諦めろとな!」
兵士「ひゃい!」

〇森の中
サヤ・エイルズ「うぅ〜、なんで待ってんの私〜」
ホーゼス・エイルズ「大丈夫だった──」
サヤ・エイルズ「このバカ!」
サヤ・エイルズ「敵の前で隠れ場所を言うなんて!」
サヤ・エイルズ「なに考えてるの!?」
ホーゼス・エイルズ「はは、心配いらないよ」
ホーゼス・エイルズ「ほら 遠見!」
サヤ・エイルズ「あら、あんなに人数がいたのに、全員伸びてる」
サヤ・エイルズ「まるでライトノベルの主人公みたい──」
ホーゼス・エイルズ「えっ、いま「ライトノベル」って言ったか?」
サヤ・エイルズ「えっ? ライトノベルを、知ってるの?」
ホーゼス・エイルズ「えっ? 俺、憑依なんだけど」
サヤ・エイルズ「私、召喚──」
「えーーーーーーーー!?」
  とまあ、2人とも異世界人であった

〇暖炉のある小屋
ジェニー・エイルズ「つまり、2人は、この世界の人じゃないってこと!?」
ジェニー・エイルズ「キャー!」
ノーラ・エイルズ(そんなの嘘よ!)
ノーラ・エイルズ(そんなに強いなら、なんでこんな田舎にいるの?)
ノーラ・エイルズ(そもそも、他の世界ってなに?)
ノーラ・エイルズ(さっきの冒険者に悪い魔法でもかけられたんだわ!)
ノーラ・エイルズ(でも、どうすればいいかわかんないけど・・・・・・)
レベッカ・エイルズ(嘘だろ、おい)
レベッカ・エイルズ(どうしてくれんだよ)
レベッカ・エイルズ(私の転生者ってアイデンティティ!)
レベッカ・エイルズ(くっそ〜、こうなったら・・・・・・)
レベッカ・エイルズ(はやくチートを手に入れるしか!)
レベッカ・エイルズ「あ、ちょっと、外で頭冷やしてきていいか?」
レベッカ・エイルズ「ひとりになりたい」
ホーゼス・エイルズ「おう、そこのベンチか? いいぞ」
サヤ・エイルズ「レベッカには少し早すぎる話だったかもしれないわね」
ノーラ・エイルズ「あ、私は部屋にいるから」
ノーラ・エイルズ「冗談の続きでもなんでも好きにして」
ホーゼス・エイルズ「お、おう」
ホーゼス・エイルズ「ノーラは、大丈夫か?」
サヤ・エイルズ「ええ、強い子よ きっとすぐ立ち直るわ」
ジェニー・エイルズ「ねえ、続き! 聞かせて!」
サヤ・エイルズ「ジェニー、今日はここまで、よ」
ホーゼス・エイルズ「この後、忙しいからな」

〇小さな小屋
ノーラ・エイルズ(私の人生、どうなっちゃうんだろ?)
ノーラ・エイルズ(考えても仕方ないけど)
ジェニー・エイルズ「ねえ! ノーラ!」
ジェニー・エイルズ「わたしたち、異界人の子孫だったのよ!」
ジェニー・エイルズ「もっと喜びましょうよ!」
ジェニー・エイルズ「どんな世界かしら──」
ジェニー・エイルズ「偉大な魔法使いが導く魔法帝国?」
ジェニー・エイルズ「それとも神々と魔族が争う、戦乱の世で」
ジェニー・エイルズ「ママはそこから落ち延びた天女だったりして!」
ジェニー・エイルズ「ねえ、どう思う?」
ノーラ・エイルズ「うるさい!」
ノーラ・エイルズ「ジェニー、静かにしてちょうだい」
ジェニー・エイルズ「で、でも」
ジェニー・エイルズ「わたしたち、特別な存在なのよ?」
ノーラ・エイルズ「いい? 親は異世界人かもしれないけど」
ノーラ・エイルズ「私たちはただの子供」
ノーラ・エイルズ「なんの力もないフツーの子なの」
ノーラ・エイルズ「わかった?」
ジェニー・エイルズ「う、うん」
ノーラ・エイルズ「よろしい」
ジェニー・エイルズ「つまんないの〜」
ノーラ・エイルズ「ん?」
ジェニー・エイルズ「なんでもな〜い」
ノーラ・エイルズ「で、レベッカは?」
ジェニー・エイルズ「外のベンチじゃない?」
ノーラ・エイルズ「──嫌な予感がする」
ノーラ・エイルズ「見に行ってくる」
ジェニー・エイルズ「でも、ひとりになりたいって」
ノーラ・エイルズ「他のこと考えたいの!」

〇寂れた村
ノーラ・エイルズ「・・・・・・いない」
ジェニー・エイルズ「もしかして」
「さっきの冒険者!」
ノーラ・エイルズ「でも、どこにいけばいいの──」
ノーラ・エイルズ「ねえ、あれ見える?」
ジェニー・エイルズ「どれ?」
ノーラ・エイルズ「あの光」
ジェニー・エイルズ「見えない・・・・・・お姉ちゃん」
ジェニー・エイルズ「それはきっと、受け継がれし力よ!」
ノーラ・エイルズ「ちょっと、冗談よしてよ」
ノーラ・エイルズ「はあ、探しに行くわよ」
ノーラ・エイルズ(なんで、私がこんなもん当てにしなきゃいけないのよ)

〇洞窟の入口(看板無し)
レベッカ・エイルズ「木の棒に布の服──」
レベッカ・エイルズ「勇者に相応しい装備!」
レベッカ・エイルズ「きっと、ここに生まれたことには意味がある」
レベッカ・エイルズ「・・・・・・はず」
レベッカ・エイルズ「そして、その意味はこの」
レベッカ・エイルズ「立ち入り禁止の洞窟に眠っている!」
レベッカ・エイルズ「・・・・・・はず」
レベッカ・エイルズ「待ってろ、私の異世界チートライフ!」

〇洞窟の入口(看板無し)
  それから、しばらくして
ノーラ・エイルズ「ここって」
ジェニー・エイルズ「立ち入り禁止の洞窟!」
ジェニー・エイルズ「前から気になってたのよここ」
ジェニー・エイルズ「きっと魔力の強い秘宝が──」
ノーラ・エイルズ「こんなド田舎にあるはずないでしょ!」
レベッカ・エイルズ「ギャーーーーーーーーー!」
ノーラ・エイルズ「今の聴こえた?」
ジェニー・エイルズ「うん」
ジェニー・エイルズ「わたしにも力──」
ノーラ・エイルズ「レベッカの悲鳴でしょうが!」
ノーラ・エイルズ「いくわよ!」

〇暗い洞窟
レベッカ・エイルズ「くそぅ・・・・・・痛え・・・・・・脚折れた」
レベッカ・エイルズ「でも、この先にチートアイテムが」
レベッカ・エイルズ「私を、待ってる!」
レベッカ・エイルズ「・・・・・・たぶん」

〇暗い洞窟
ノーラ・エイルズ「ねえ、これ誰かが落ちてった跡じゃない?」
ジェニー・エイルズ「ほんとだ、きっと」
「レベッカ!」
ノーラ・エイルズ「急ぎましょう!」

〇暗い洞窟
レベッカ・エイルズ「うぅ・・・・・・チート、アイテムさえあれば」
ノーラ・エイルズ「レベッカ!」
ジェニー・エイルズ「その脚、折れてる!?」
レベッカ・エイルズ「ノーラ姉ちゃん! ジェニー姉ちゃんまで!?」
ノーラ・エイルズ「ほんとに折れてるじゃない!」
ノーラ・エイルズ「心配したんだからね!」
レベッカ・エイルズ(諦めるか・・・・・・今日のところは)
レベッカ・エイルズ「ごめんなさい」
ノーラ・エイルズ(いま、手があったかく? 光った?)
レベッカ・エイルズ(脚の痛みが消えた?)
(治ってる・・・・・・)
(ヤバい、ジェニーが知ったら妄想が暴走する!)
ジェニー・エイルズ「どうしたの?」
ジェニー・エイルズ「あ、脚!」
レベッカ・エイルズ「いいい、いや、気のせいだったみたい」
ノーラ・エイルズ「うう、うん、そうそう、よく見たらなんともなくて」
ノーラ・エイルズ「よかった、よかった、うん」
ノーラ・エイルズ「さ、すぐに帰りましょう」
ノーラ・エイルズ「パパもママも心配してるわよ!」
ジェニー・エイルズ「ところで、あの冒険者は?」
レベッカ・エイルズ「知らないけど?」

〇小さな小屋
  その日の晩──
レベッカ・エイルズ(くそぅ・・・・・・ノーラ姉ちゃん)
レベッカ・エイルズ(なんで回復魔法なんて使えるんだよ!)
レベッカ・エイルズ(もしかして・・・・・・)
レベッカ・エイルズ(転生者なのか?)
レベッカ・エイルズ(じゃ、じゃあ、ジェニー姉ちゃんの中二妄想も)
レベッカ・エイルズ(全部、本物だったりして・・・・・・?)
レベッカ・エイルズ(よりによって転生者たるこの私だけがなんもない)
レベッカ・エイルズ(くそぅ、覚醒してやるからな!)
ジェニー・エイルズ(あれって回復魔法だったわよね?)
ジェニー・エイルズ(キャー!)
ジェニー・エイルズ(お姉ちゃんには偉大なる異界の力が)
ジェニー・エイルズ(しっかりと受け継がれているんだわ!)
ジェニー・エイルズ(お姉ちゃんは回復魔法、光の力かしら?)
ジェニー・エイルズ(じゃあ、私はこの漆黒の髪に似つかわしい)
ジェニー・エイルズ(闇の力、とか!?)
ジェニー・エイルズ(レベッカはなんだろ?)
ノーラ・エイルズ(私、どうしちゃったの?)
ノーラ・エイルズ(あれは絶対、折れてたよね?)
ノーラ・エイルズ(一体、なにが起きてるの?)
ノーラ・エイルズ(・・・・・・私って、何者?)
ノーラ・エイルズ(寝よ)
ノーラ・エイルズ(これは悪い夢よ)
ノーラ・エイルズ(明日になったら何もかも元通り)
ノーラ・エイルズ(平穏な・・・・・・暮らしが・・・・・・)
「スゥスゥ」

〇暖炉のある小屋
ホーゼス・エイルズ「あいつが来ちまうとはな・・・・・・口が軽いんだよ」
ホーゼス・エイルズ「すまんが、これから大変なことになるかもしれん」
サヤ・エイルズ「大丈夫よ」
サヤ・エイルズ「私たちがいるんだもの」
サヤ・エイルズ「あの子たちとこのスローライフ、守り抜きましょう」
ホーゼス・エイルズ「ああ」
ホーゼス・エイルズ「守り抜こう──」

コメント

  • 家族全員が色々と訳ありで、収拾つかなくなりそうな展開の予感がするのもまた良しですね。転生者レベッカがひねくれてやさぐれてるわりには行動力もあってキャラがユニーク。あと、とにかく回復魔法が羨ましすぎる。中途半端な戦闘技術よりもピカイチ使える魔法かもしれませんね。

  • 事実を受け入れる子あり、それを信じたくない子あり、それぞれがその思いにそって行動する様が勇ましくも愛おしい気がしました。私はレベッカちゃんタイプだと思います(笑)

  • 3姉妹の三者三様の個性的なキャラクターが楽しいですね!色々と悶々とするラストは笑いました。特に次女のジェニーが、異世界に在りながらの中二病とはww

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