ギルドというの名のブラック企業

筑豊ナンバー

エピソード1(脚本)

ギルドというの名のブラック企業

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〇西洋の街並み
  この村では、魔物を退治する冒険者とやらが数えられる数しかいない。
  人手不足で特に冒険者が少ない村。そこにチート能力を持った人間が現れるとどうなると思う?
  わかりやすく説明しよう。ブラック企業をイメージしてほしい。
  ブラック企業は人手不足で少しでも人材がほしい。
  そんなときに、高学歴の若者が面接に来たらどうなる?
  その先は地獄だ。
「見ろ!勇者様だ!勇者様が帰ってきたぞ!!」
「本当に!?世界は救われたのか?!!」
村長「よく帰って来てくれた勇者よ!!そなたは我々の・・・いや!世界の英雄だ!!」
クロム「・・・」
村長「どうした?なぜしゃべら──」
クロム「ヴッ」
「勇者が○○○だぞ!早く○○袋持ってこい!!」
クロム「・・・・・・」
村長「勇者・・・よ。よく帰って来てくれた」
「おい!なんだこれ?!まさか今吐き出したやつか?!こりゃまるでゴブリンの──」
クロム「死にたくなかったらみなまで言うな」
村長「・・・勇者よ・・・宴の準備はできてる。落ち着いたら顔を見せてくれ」
クロム「・・・」
  コイツラは単に騒ぎたいだけだろう。
   こっちはそんな元気はねぇんだよクソが。
ミリア「ふん!あんたなんか最近来たばかりの新参じゃない!あんまり調子に乗らないことね!」
クロム「あ?テメェらが無能だから俺が尻拭いしたんだろうが。テメェのクソも処分できないザコがしゃしゃり出るんじゃねぇ」
ミリア「な?!私だって!私なりに!」
  顔を赤くして反論してくる女を無視して通り過ぎる。
   相手をするだけ時間の無駄だ。
ミリア「ちょっと!まだ話が!」
村長「まぁまぁ!ミリア殿。彼女も疲れてるんだその辺にしておきなさい」
村長「勇者殿戻ってすぐで悪いが仕事の話を──」
クロム「嫌だ」
村長「え?」
クロム「じゃあな残業量産機共」
村長「待たんかい!」
村長「子供かお前は!大いなる力をお前さんは持っているんだ!その力は──」

〇英国風の部屋
クロム「・・・・・・」
  風呂に入るのも飯を食らうのももはや面倒臭い。
  それほどまでに疲労がたまっており、ベッドに横になった瞬間気絶するように眠ってしまった。
  なぜだ?なぜ俺はこんな世界のために戦い続けてるんだ?そもそもなんで俺はこの世界に転生されたんだっけ?

〇白
神「え~と・・・」
神「とりあえずすまん」
  俺はつい数秒前にトラックに轢かれて、死んだ。
  体中の骨を螺旋状になり、頭からは脳味噌が飛び出して、腹からはぐちゃぐちゃに混ざった内蔵が出ていたという。
  苦しむ暇もなく死ねたのは幸いだった。
   そして気がつくと真っ白な世界に俺はいた。
神「いやーごめんなぁ。ノリでお主の運命を狂わせちまって!」
霧野 黒無「あー要するに酒飲んだ勢いで殺っちまったと?」
神「そーだよ!理解が早くて助かる!」
霧野 黒無「あんたを殺してやろうか?」
  言葉では、反省している様だが、目が笑っている。
   こっちは人生を終わらせられたと言うのにふざけた野郎だ。
神「そうかっかするでないわ!最近の若者はあれじゃろ?異世界とか好きなんじゃろ?」
霧野 黒無「あ?何言ってんだジジイ。あんまふざけてっとその白髪抜いて食わせるぞ」
霧野 黒無「何が異世界だ。バカバカしい。  そんな中二病全開で、便所に流した糞ほどどうでもいい物でごまかせると思ってんのか?」
神「借りにもわしは神じゃよ!そんな言い方していいのか?」
霧野 黒無「少なくとも酒の勢いで人一人ぶっ殺したやつを俺は崇めたくねぇよ」
霧野 黒無「テメェは神なんだろ?だったら俺を生き返えさせろよ」
神「それは掟に背くからだめじゃ」
霧野 黒無「分かった。じゃああんたを殺して掟をぶっ壊す」
神「分かった分かった。チート能力も付けてやるからさっさと行け」
霧野 黒無「おい!まだ話は──」

〇英国風の部屋
クロム「・・・」
クロム「・・・」
  目が覚めると天使の顔が俺の顔を覗き込んでいた。
ミーナ「大丈夫ですか? トイレに頭っ込んで眠ってましたよ」
  なぜこうなったのか、寝起きのせいで曖昧だが、だんだん思い出してきた。
  あのあと俺は気分が悪くなってトイレに向かってその場で寝てしまったんだ。
  どうやら天使は、そんな俺をベットまで運んで膝枕をしてくれている。
クロム(ここは天国か?)
クロム「・・・違うな」
ミーナ「え?」
  思い出した。ここは天国なんてものではない。地獄だ。
  今、俺に膝枕をしている女は冒険者ギルドの受付嬢。
   つまり、俺にえげつない仕事を放り投げてくる張本人だ。
クロム「どの面下げてきやがったんだ?つーか鍵はどうしたんだよ?締めだはたずだぞ」
ミーナ「窓が空いていたのでつい!」
  とぼけた様に笑う女を窓から放り投げ、鍵を閉めてベットで眠ろうとした。
ミーナ「女の子に乱暴してはいけませんよ!」
クロム「何でだよ!!」
  玄関の鍵を開けて入ってきた。
   この家の鍵は俺しか持っていないはずだ。
   合鍵も作っていない。
ミーナ「フフン。私は器用なんですよ!!」
クロム(こいつは鍵を自力で作ったのか?ストーカーかよ)
ミーナ「あなたに意地でも頼みたい仕事があるんですよ」
クロム「嫌だ」
ミーナ「私達が出会って今日で4ヶ月ですね」
クロム「いきなり話変えんじゃねぇよ。言葉のキャッチボールも出来ないとか無能すぎないか?」
ミーナ「4ヶ月前、ここは地獄でした」
クロム「俺からしたら今も地獄だけどな」
ミーナ「あなたがいなかったら私は今頃・・・」
クロム「え?なに?回想で時間稼ぐきか?ふざけn」

〇荒廃した街
村人「逃げろ!!殺されるぞ!!」
  活気に満ち溢れ、笑顔がたえなった村は今、その影も形もなく、まるで地獄とかしていた。
  何百万もの魔物が一斉に村を襲撃し、村人達は次々と虐殺されていく。
冒険者A「ウォオオオオオオオ!!」
冒険者A「ここは俺達冒険者が!!」
冒険者A「ウァアアアア!!!!!?」
  冒険者達は必死に応戦したが、余りの数の違いに圧倒されてしまった。

〇西洋風の受付
  人々が絶望し、虐殺されていくなか、冒険者ギルドにも魔の手が及んだ。
  複数のゴブリンがよだれを垂らし、笑いながらドアを破壊してこちらに迫ってくる。
  実戦経験どころか訓練すらやっと事がない。
   だが、このまま一方的に好き放題されるくらいなら戦って死んだ方がマシだ。
ゴブリンB「ガァアアアア!!」
  死を覚悟した次の瞬間、何者かがゴブリンの頭を鷲掴みにして、そのまま握りつぶした。
  ゴブリンの潰れた頭からは、血が流れ、頭蓋骨の欠片や脳味噌であろう黄色い液体が垂れている。
ミーナ「あなたは誰?」
クロム「あのジジイ(神)。マジで異世界に飛ばしやがって・・・今度あったら確実に殺してやる」
  その女はこちらに見向きもせず、襲いかかってくる魔物たちを次々と殺しまわった。

〇荒廃した街
  ゴブリンの上半身を引裂き、オークの金○を切り落とし、ドラゴンの目を潰した。
   その姿はまるで、鬼神そのものだ。
  女の戦い方はあまりにも惨たらしく、長時間見ていると感情が麻痺しそうだ。
  あっという間に、魔物達はぐちゃぐちゃの肉片へと姿を変えていく。
ミーナ「あの人は!英雄!」
ミーナ「英雄?」
クロム「シャワー借りていい?」
ミーナ「え?あっ!どうぞ!!」
  この時私は理解した。
  私は今まで恋と言うものがわからないまま過ごしてきた。
   だが、そんな私でもはっきりと分かることがある。
  口も今の姿も戦い方も汚い彼女だが、本当は優しいと私は思う。
クロム「あーそうそう! なぁ?この世界は、人殺しって重罪なのか?」
ミーナ「はい。死刑や決闘など例外は有りますが、基本には重罪です」
クロム「そうか・・・神を殺すのは?」
ミーナ「・・・」
  これが生きるの英雄クロムの伝説の始まりだった。

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 黒無→クロムだったんだ。なるほど。今までのヒーロー像とは違って、神様に悪態をついて全然やる気がない勇者というところがユニークですね。この先ミーナが足手まといになるのか相棒になるのか、興味津々です。

  • まず、便所で鼻をほじりながら考えられた作品というところが、おもしろくて驚きです😂
    おトイレでこんな面白い作品が生み出されるなんて😂
    そして、クロムやたら口悪いなあ(そこも面白いのですが😂)と思っていたら、神様に酔っ払って、やられちまったからなんですね!笑
    それは私がクロムの立場でも口悪くなりそうです😂😂

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