とある世界の物語

ビスマス工房

Story#0011:だって、あいつと俺は親友だから(脚本)

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〇カラフルな宇宙空間
ヘーゼル「あれ、ここは?」
  目覚めると、幻夢境を彷徨っていた。そのまま漂っていると、見知らぬ男が語り掛けてきた。
ベガ・セレスト「初めまして。私はベガ・セレストと申します」
ヘーゼル「おう。俺はヘーゼル。レプリカント・エリクシアなんだ」
ヘーゼル「つーかさ、ここどこだ?俺はこれから試験なのに。シアンの奴が待ってる」
  そう捲し立てると、男は微笑みを崩さずに、さらっとこう口にした。
ベガ・セレスト「闘技実験ですね。帰る必要はありませんよ」
ベガ・セレスト「あなたは死んでいるのですから」
ヘーゼル「は!?」
  男は静かに淡々と、闘技実験は既に行われたこと、俺は負けて死んだことを言い聞かせるように話す。
ヘーゼル「えー、じゃあこれからどうしよう。シアン、気にしてないかな、俺を殺しちゃって。あいつ、腹をくくれるほど強くないんだよ」
  男は貼り付けたような笑みを浮かべて言う。
ベガ・セレスト「あなたに一つ、提案があります。シアンさんの守護に就きませんか?」
ヘーゼル「え。やるやる!面白そう!」
  男はクスリと笑った。
ベガ・セレスト「良いのですか?あなたは、」
  俺は当たり前の事を口にした。
ヘーゼル「だって、」

〇密林の中
  三億四千五百万年前でも、人類は変わらずに存在し、文明を築いていたようで、幾つかの都市にその様子を見ることが出来た。
ダイナ「お前たちはこの星の種族か?」
エマ・レイ「はい」
アキラ・ロビンソン「Humanです。──この時代はまだいないかな」
ダイナ「この時代にも、お前たちとそっくりな種族がいるが、彼らは違うのか?」
エマ・レイ「──えーっと、あの人たちは」
アキラ・ロビンソン「Tallmanです。Humanとは違う種族ですよ」
ダイナ「どう違うのだ?」
  顔をしかめるダイナ。返事に窮する。
アキラ・ロビンソン「えーと」
エマ・レイ「彼らは”人格”を持ちません。ある装置で操作されています」
ダイナ「そうか」
  エマはよく知ってるな、と思ったが、口には出さなかった。

〇病室
ノアール「確かめたいことがある」
  エージェント柊が、そう言ってサイト1020を訪れたのは6月のある夜の事だった。
?「今は鎮静下にありますが」
ノアール「そうだな」
  一体何を確認したいのだろう。そう思っていた時だった。
  監視カメラが映し出す画面が揺らぎ、一人の少女が収容室内に現れた。
ノアール「・・・・・・まずい」
  そう言ってエージェント柊は姿を消し、凡そ0.001秒後にEntity#0756の収容室内に転移した。
  Entity0756を[削除済]しようと赤い髪の少女が握り締めたナイフは、すんでのところでエージェント柊の手に防がれる。
ルージュ「あ、お前知ってるぞ」
ノアール「・・・・・・」
ルージュ「お前、月の奴だろ。何もかも吹き飛ばせる、破壊能力者だ。その力を恐れられて、火星に追放された後、行方不明になった」
ノアール「・・・・・・」
ルージュ「なあ。俺たちは仲間だ。俺と一緒に来い」
ノアール「断る」
  ナイフを持った赤い髪の少女は、その笑顔のまま倒れて、気を失った。
?「この子は?」
ノアール「未確認Entityだ。別の収容室に入れておけ」

〇密林の中
ダイナ「・・・・・・!!」
  真夜中、何かの気配を感じて目を覚ますと、見知らぬ女が立っていた。
タイロン「どうなさいました、ダイナ様」
イスラ・エル「驚かせてごめんなさい。私はこの惑星ガイアの天体意識、イスラ・エルと言います」
ダイナ「私は蜥蜴族26氏族の女王、ダイナだ。お前はなぜ我々の前に姿を現した?」
イスラ・エル「あなた方にはこの星での転生権があります。それを祝して、伝えたいことがあります」
ダイナ「何だ。私は命令など聞かないぞ」
イスラ・エル「あなた方蜥蜴族に、この星の未来を、守ってほしいのです」

〇病室
ミランダ・カーティス「久し振り、ルイーズさん」
ルイーズ・マーロン「久し振り。えーと」
ミランダ・カーティス「あの。私は”エレナ”ですが、今はミランダで良いですよ」
ルイーズ・マーロン「そっか。体調はどう?」
  しばらく当たり障りのない会話をした。
ミランダ・カーティス「貴方の元に、故郷から手紙が来るでしょう。帰るように書かれていますが、決して、帰らぬように」

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