結婚式の前日

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〇シックなリビング
  結婚式の前日・・・
  俺は明日の結婚式に備えて
  着々と準備を進めていた。
かなめ「ねぇ、林君」
かなめ「今から何処かに行かない?」
林「今から?・・・でも明日までに色々終わらせないと」
かなめ「いいじゃない、帰った時に終わらせれば。 それに・・・」
かなめ「明日で彼女彼氏の関係も終わりだし・・・ね?」
林「・・・」
林「・・・そうだね」
林「でも、一体何処に?」
かなめ「それは着いてからのお楽しみだよ😊」
  かなめは今現在付き合っている彼女。
  優しくて可愛くて自慢の彼女だ。

〇車内
  俺は服を着替えた後、彼女の言う
  『とある場所』へと連れていかれた。
林「運転手さん、まだ着かないんですか?」
かなめ「あとちょっとですよ、お客さん」
  俺は彼女に目隠しをされたので、一体何処に連れていかれてるのか検討もつかない。
  ただひとつ分かるのは、住宅街からかなり離れていることだ。
  それから10分後・・・
かなめ「もう目隠しを取って良いよ、林君」
  俺はゆっくりと目隠しを外した。
林「ここは・・・!」

〇田舎の教会
  そこは教会だった。
  明日、彼女と式を挙げる場所だ。
かなめ「中に入ってみない?」
林「いや、でも・・・勝手に入ったら迷惑だろうし」
かなめ「大丈夫、許可は取ってるから!」
林「いつの間に?」
かなめ「昨日、式の下準備を見たいっていったらOK貰えたの!」
林「かなめ・・・どういう意・・・」
かなめ「ほら行こう!」
  かなめは俺の手を取り、
  教会のドアを開けた。

〇教会の中
かなめ「うわ~!・・・綺麗だね」
林「お前、何考えて・・・」
かなめ「明日はここで結婚するんだね」
林「かなめ、あのさ・・・」
かなめ「私、教会で式を挙げるのずっと憧れで・・・」
林「かなめ!!」
かなめ「・・・!!」
  かなめは少し驚きながらも、またいつもの穏やかな表情を見せた。
林「かなめ、分かってんだろう?」
林「明日、俺が結婚するのは・・・」
林「お前じゃない・・・」
  かなめと付き合う前、俺は
  違う女性と付き合っていた。
  いや・・・
  今でも付き合っている。

〇大衆居酒屋
  かなめと出会ったのは去年の飲み会のこと。
かなめ「初めましてかなめです」
林「初めまして、 林です」
  その時、共通の趣味等もあって
  俺達は意気投合をした。

〇シックなバー
  自身の彼女より、かなめと会う回数が多くなっていった。
  彼女と上手く行かない時は相談にも
  乗ってもらっていた。
林「彼女もかなめちゃんみたいに 素直で良い子だったらなぁ・・」
林「かなめちゃんと付き合える彼氏は 幸運だろうね!」
かなめ「林君、飲みすぎですよ」
かなめ「でも、そうですね」
かなめ「私が林君の彼女だったら 幸運だったのにな・・・」
林「・・・え?」
かなめ「それに私が彼女だったら・・・」
かなめ「悲しい思いはさせないのに・・・」
林「かなめちゃ・・・」
林「んぐっ・・・!?」
  彼女の唇が俺の唇に重なる。
かなめ「かなめでいいです」
  その日を境に俺達は関係を持つようになった。

〇水玉2
  かなめちゃんとの時間は
  楽しかった。
  けれども、終わりは唐突にやってきた。

  付き合っていた彼女の妊娠が発覚した。
  俺は生まれるその子の父親になるため、彼女との結婚を決意した。

〇シックなリビング
  そして、もうこれ以上かなめとは関係を続けられないと思い
  かなめの家に置いてあった
  俺の私物を取りに行っていた。

〇教会の中
林「かなめ!お前との時間は本当に楽しかった!!」
林「でも、もう今日で最後だ」
  かなめは黙ったまま
  俺を見つめる。
  その表情は酷く穏やかで、
  何故か怖いと感じた。
林「それじゃあ、俺はかえるか・・・」
  グサッ。
  自分の腹に何か異物のような物が当たる感覚がした。
林「かなめ・・・?」
  かなめは何処から隠し持っていたのか、
  手に持ったナイフで俺を刺した。
  俺はそのまま床に落ちた。
  カーペットが赤のおかげか、自身の血と同化していた。
林「うぐぅっつ!!かなめ・・・どうして?」
  かなめは顔色ひとつ変えない。
かなめ「林君、これでやっと私達一緒になれますね?」
かなめ「もう私達を邪魔するものは誰もいない・・・」
林「どういう・・・いみ・・・だ」
  するとかなめはポケットからあるものを
  取り出した。
かなめ「本当は林君から貰うのが夢でしたが」
  指輪だ。俺のイニシャルまで刻んである。
  かなめは彼女自身と俺にお揃いの指輪を
  つけた。
林(指のサイズ、一度も言った事無いのに)
  指輪を付けた後、かなめは俺に口づけをした。
林(やっぱり、かなめの唇は柔らかい)
  薄れゆく景色の中で、おれはそんなことを考えていた。
かなめ「私は、ずうっと林君といることを誓います」
かなめ「もうすぐ、私もそっちに行くから待っててね」
  言いたいことが沢山あるのに
  声すらもう出ない。
  俺は己の過ちを呪った、なのに何故か
  後悔はしていない。
  こんなことをされてもまだなお・・・
林「か・・・な・・・め」
かなめ「何?林君・・・」
林「好・・・きだ」
かなめ「うん、私も貴方が大好きだよ」
  この人が大切なんだろう。
林(かなめがかなりイカれてると思ったが、)
林(俺も十分同じだな)
  俺は薄れゆく意識の中で

  ゆっくりと目を閉じた。

コメント

  • 彼女がいながら他の女に手を出す彼が信じられないです。
    女の子達はどっちも被害者ですよね。
    人間って素を出すとやっぱり嫌な面も見えてくるもので。
    それを人に愚痴ってはいけませんよね。

  • 三角関係…というよりかは浮気の違った意味の修羅場…。
    確かに大事な人は失いたくないですよね…。
    色々と間違いがあったとしても、気持ちが大事…、というか残された彼女が一人悲しい気がしてなりませんが…。

  • 彼のせいですね、人の気持ちを裏切ることは極力避けるべきですよね。残された子どもとお嫁さんを思うと気の毒になりました。短いストーリーの中でとても惹きつけられました。

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