13話「隠し事」(脚本)
〇教室
ミカ「ラン!そろそろ先生来るよ!」
ラン「ファ?!」
不知火 白夜「おはよう。 ホームルームの前にお前らの内半分に伝えることがある」
不知火 白夜「魔王教会とか言うテロリスト共のせいで休校になっていた訳だが‥こんなかに外を出歩いてたバカがいると聞いた」
教室の皆がこそこそ話し始めた。
中には「俺かもしれない」という声もある。
不知火 白夜「今から呼ぶやつ居残りな‥タナカ、ヤマザキ──」
真面目に不要不急の外出はしてないから自分は関係ないと思っていた。しかし──
不知火 白夜「ミカ。お前もだ」
ミカ「え?」
〇兵舎
石白 星華「これと言った情報なし・・か・・・」
アレックス・ワトソン「・・・」
町中の聞き込みや捜索をしたが目ぼしい情報はなかった。証拠は徹底的に隠蔽しているらしく一筋縄には行かない。
雀の涙ほどの情報をまとめているとなぜかもう会うことはないと思っていた男が入室してきた。
東軍の騎士「よぉ!アレックス!元気にしてたか?」
入隊直後の同期であり認めたくはないがバディでもあった男だ。とにかくチャラく実力もないのに自信過剰で苦手な人種だ。
アレックス・ワトソン「問題はない。お前こそどうした?」
東軍の騎士「え?いやなに。今日同期で集まってのもうと思ってな!お前も来るか?」
アレックス・ワトソン「俺は──」
石白 星華「どうぞ。お茶です」
アレックス・ワトソン「何時も悪いな。ありがとう」
気を遣ってお茶を持ってきてくれたが、礼を言うアレックスに対して同期の男は対照的な態度をとった。
東軍の騎士「げ!魔王軍じゃん!」
東軍の騎士「あんたが入れた茶なんて飲めねぇよ!」
石白 星華「そっか・・・すまない」
今のでわかった。俺はこの男が苦手ではなく嫌いなんだ。
アレックス・ワトソン「さっきの件だが」
東軍の騎士「おお!くるか?」
アレックス・ワトソン「断る」
東軍の騎士「は?」
東軍の騎士「なんで?女の子もくるぞ? まさかこんな趣味悪い女が──」
アレックス・ワトソン「お前と飲んでも酒が不味くなるだけだ。 口閉じて出ていけ!!」
東軍の騎士「なんだよ!誘ってやったのに!!」
石白 星華「いいの?」
アレックス・ワトソン「なにがだ?」
石白 星華「飲み会だよ!縁は大事にしなきゃ!」
アレックス・ワトソン「あいにく同期の名前はここに来る前に全部忘れた。と言うかそもそも覚えてすらいないから他人と一緒だ」
アレックス・ワトソン「そもそも俺は何年も前に酒は止めてる」
これも嘘ではないが、本命の理由はあえて隠した。
石白 星華「・・・ありがとね」
〇立ち飲み屋
お洒落で高級感あるバー‥ではなく、少し古臭く、薄汚れた親父達がワーワー行っている酒屋に来ていた。
全体的に見ると散らかっているように見えるが、細かく見ると片付いている。
洒落たバーより、こっちの方が親近感がわいて落ち着く。
そんな中カウンター席で男二人肩を並べ、二人してスルメをつまみにオレンジジュースを飲んでいた。
アレックス・ワトソン「なぁ?差別なくすにはどうしたら良いとおもう?」
不知火 白夜「どうした?革命家にでもなる気が?」
アレックス・ワトソン「いや・・・この前話した元魔王軍のバティの話だ」
不知火 白夜「ああ・・・なるほどな」
不知火 白夜「かつて敵だった人間だからなぁ・・・」
不知火 白夜「仕方ないと言えばそれまでだが・・・」
アレックス・ワトソン「・・・」
海兵隊時代も何度かこう言った問題に直面した事があった。
主に宗教関連や敵国の人種だからだと迫害し虐められていた人間を見たことがある。
あからさまなものは止めたが陰湿なものにはきずけなかったと思う。
不知火 白夜「敗戦国になっちまったらどうしようもない。 時間がたつのをまつしかないだろ」
不知火 白夜「その時が来るまであんたはそいつの理解者であるべきだ」
不知火 白夜「惚れてんのか?」
アレックス・ワトソン「いや・・・」
不知火 白夜「なるほどな、やっぱり不器用だよあんた」
アレックス・ワトソン「うるせえ」
不知火 白夜「娘の件もそうだ。何で娘に父親って隠してんだよ?」
アレックス・ワトソン「・・・・・・」
店主「なぁ・・・あんたらいいかげん酒を頼んでくれないか?」
〇ヨーロッパの街並み
アレックス・ワトソン「じゃあな。また飲もう」
不知火 白夜「ああ。またな・・・あっ!いい忘れた事があった!」
アレックス・ワトソン「どうした?」
不知火 白夜「今あんたらがおっているかどうかは知らないがヘリオ・ゴンザリスと言う男には気を付けろ」
アレックス・ワトソン「ただの放火魔じゃないのか?」
不知火 白夜「とびきりの変人だ。イカれている上に戦闘能力が高くてな、そいつ一人に親衛隊の東軍人が三十人殺られた」
不知火 白夜「いいか、そいつは焼死体を見て勃起する様な奴イカれだ。見つけたら容赦するな」