店姉妹

つっちぃ2号

ようこそ!ベリシモへ(脚本)

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〇おしゃれなキッチン(物無し)
  私はいつも料理をする父の姿を見るのが好きだった
  私もいつか一人前の料理人になって、父の隣に立ち料理を作りたかった。
  だが・・・

〇墓石
  父が事故で、亡くなった。
召矢このみ(父さん・・・どうしてこんな、)
  同じ車に乗っていた母は未だ入院中。
  葬儀は私と妹、姉の三人だけだった。
召矢くるみ「このみ姉、葬儀に間に合ってよかったよ」
召矢のぞみ「間に合えばいいってもんじゃないわ 私一人に準備させておいて!」
召矢くるみ「いいじゃん、のぞみ姉は近くなんだし、」
召矢のぞみ「近い⁇ 東京からどれだけかかったと思ってるの?」
召矢くるみ「でも沖縄やイタリアよりかは近いでしょ⁇」
召矢このみ「あの、姉さん、 本当にいろいろ任せきりになってゴメン」
召矢のぞみ「まあ私のやれるのは葬儀までだから、 父さんの店、どうするかは決めてよね」
召矢このみ「・・・」

〇おしゃれなレストラン
  私は父のイタリアンレストラン『ベリシモ』を継ぐことになった。
召矢このみ「今日からよろしくね!」
店員さん「あ、はい・・・」
  父の常連客もいるし、私のイタリア仕込みの料理が出れば店は繁盛間違いなしと思った。
  だが甘かった。

〇おしゃれなキッチン(物無し)
召矢このみ(日に日にお客さんの数が減っていく、)
店員さん「今日はお客さん二人だけでしたね、」
  最初来てくれていた常連客の足は遠退き、
  新しい客はリピーターになり得なかった。
  そして、ついに客足が途絶えたある日、
店員さん「店長、今月いっぱいでここをやめさせて頂きたいのですが、」
召矢このみ「え⁇」
店員さん「駅前に出来たレストランで働かないか?と前から誘われていて、」
召矢このみ「そう・・・わかった。 今までこの店で働いてくれて、ありがとう」
  このままでは給料も払えなくなるので、
  引き留めることも出来なかった。

〇おしゃれなレストラン
  店は私一人になった。
山田さん「こんにちは〜、 今日も貸し切りで食えるのか?」
召矢このみ「はい、ごゆっくりどうぞ。 いつものミートソースですよね?」
山田さん「ああ、頼むよ」
  私が幼い頃からの常連客である山田さん。
  今も時々様子を見に来てくれる。
召矢このみ「どうぞ!」
  山田さんが美味しそうに食べてくれる。
召矢このみ「あのぉ〜、」
山田さん「なんだい?」
召矢このみ「この店にどうしてお客さんが来てくれないと思いますか?」
山田さん「ずいぶんと、ストレートに聞いてくるなぁ、 このみちゃんはどう思ってるんだい⁇」
召矢このみ「たぶん、ですけど私の味付けが良くないのかなぁ、」
山田さん「いやぁ、味付けはとても美味いと思うよ さすが本場のイタリア仕込みだなぁ、と」
召矢このみ「じゃあ、」
山田さん「どうしてかって? 単純に美味しい洗練されたものを食べたければさ、東京に行けば済むだろ?」
召矢このみ「えっ!」
山田さん「わざわざ、この店でなきゃいけない何かが、親父さんの時にはあったんだと思うけどさ」
召矢このみ「それは何ですか?」
山田さん「自分で考えな!」
召矢このみ「そんなぁ、」
山田さん「ここは君の店なんだぜ。 ここでしか出せないものが何か? 考えてみなよ!」
召矢このみ「わかりました・・・ちょっと考えてみます、」
山田さん「楽しみにしてるよ!」
  山田さんは笑顔で立ち去った、

〇おしゃれなキッチン(物無し)
召矢このみ(私でなければ出せないものってなんだろう?)
  今までは定番の料理を美味しく作ることだけ考えていた私にとって難題だった。
召矢のぞみ「相変わらずヒマそうね、」
召矢このみ「お姉ちゃん!」
召矢のぞみ「ヒマなら母さんの見舞いに行ったらどう? 寂しそうにしていたわよ!」
召矢このみ「ゴメン、今は私一人だから店を閉める訳にもいかないから」
召矢のぞみ「このみ・・・そろそろいいんじゃないかな?」
召矢このみ「え!?なにが?」
召矢のぞみ「ここをさ、もう店仕舞いでいいんじゃない?」
召矢このみ「え?お姉ちゃん何言ってるの⁇」
召矢のぞみ「お客は来ないし、従業員もいない もうこれ以上続けるのはムリよ、」
召矢このみ「イヤだよ!!まだ諦めたくない!」
召矢のぞみ「でも一人でどうやって、やってくつもり?」
召矢このみ「それは、」
召矢くるみ「話は聞いたよ! 私がいれば、もう大丈夫!!」
召矢このみ「なんで、くるみが⁇」
召矢のぞみ「沖縄にいたんじゃないの⁇」
召矢くるみ「ゲストハウス の仕事がちょうど一区切りついたから戻って来ちゃった、 しばらくここを手伝うね!」
召矢このみ「確かに助かるけど、店員さんが辞めたこと なんで知ってるの?」
召矢くるみ「ん⁇ 母さんからだよ、 このままじゃこのみ姉が倒れそうだって、」
召矢このみ「母さんが、」
召矢くるみ「まずは病院の母さんのところに行こうよ、」

〇田舎の病院の病室
召矢ゆきみ「あら、来てくれたのね!」
召矢このみ「母さん、いろいろ心配かけてゴメン!」
召矢くるみ「私も帰って来たよ!」
召矢ゆきみ「これで三人揃ったわね!」
召矢のぞみ「それで、母さんから話があるんでしょ?」
召矢このみ「え?話って!?」
召矢ゆきみ「このみが頑張っているのはわかってるわ、 でもこれ以上、一人で抱え込まないで、」
召矢このみ「イヤだよ!まさか母さんまで店仕舞いしろ、 って言うの⁇」
召矢くるみ「そんな訳ないでしょ、なんでわざわざ、 私が呼び戻されたと思うの?」
召矢このみ「それもそうなんだけど、」
召矢ゆきみ「私はね、このみ一人で抱え込まずに 三人で力を合わせてくれないかな、 って思うの」
召矢このみ「じゃあ・・・」
召矢くるみ「”店仕舞い”じゃなくて、 ”店姉妹”で頑張ろう!ってことだよ、」
召矢のぞみ「私はまだ納得してないけどね、」
召矢このみ「お姉ちゃん!?」
召矢のぞみ「このみは、見通しが甘いのよ! 今のままじゃ、お店の経営なんて無理よ」
召矢このみ「わかってはいるんだけど、 私、料理を作る以外の才能ないかも、」
召矢ゆきみ「だから、のぞみもこっちに戻って来てくれるんでしょ?」
召矢このみ「え?そうなの、お姉ちゃんまで、」
召矢のぞみ「まだ決めた訳じゃないわ!」
召矢ゆきみ「でも会社に異動希望を出したんでしょ?」
召矢のぞみ「そ、それは、 東京の本社もそろそろ飽きて来た時に こっちで営業所に欠員でるって聞いたから、」
召矢このみ「ありがとう、」
召矢のぞみ「だから、まだ決まってないから!」
召矢のぞみ「それまでは、これ読んでおいて、」
召矢このみ「なにこれ?」
召矢のぞみ「仕入れ先の単価とか調べて、改善案も考えたから、しっかり読んでおいてね、」
召矢このみ「頭使うの苦手だなぁ、」
召矢のぞみ「甘えない!」
召矢ゆきみ「私からはこれ、」
召矢このみ「これは!?」
召矢ゆきみ「父さんが書き記したお店のレシピよ、 何かヒントになるんじゃない?」
召矢このみ「わかった、頑張ってみるよ!」

〇L字キッチン
  でも乗り越えないといけない壁・・・
召矢このみ(私の店でしか出せない料理って、何?)
  私は父の残したレシピを読み返していた。
召矢くるみ「何見てるの?」
召矢このみ「父さんのレシピ、」
召矢のぞみ「懐かしいわね、私にも見せて、」
召矢くるみ「あ、このオムライス、父さんが良く作ってくれたよねー!」
召矢のぞみ「私はこっちのハンバーグの方が好きだったな」
召矢くるみ「そういえば、なんでどっちもお店のメニューにないんだろう?」
召矢このみ「それは・・・」
召矢のぞみ「それじゃあイタリアンじゃなく、単なる洋食屋さんになるじゃない、」
召矢くるみ「ええ?私はオムライス食べたいのに、」
召矢のぞみ「それなら私だってハンバーグ食べたいけど、」
召矢このみ「そうか、そうだよね。 みんなが食べたいものを出すべきだよね、」
  私はなぜ父さんの店に大勢お客さんさんが来たのかに気付いた。
召矢このみ「あのさ、くるみ、お姉ちゃん!!」
「なに??」
召矢このみ「これからはオムライスもハンバーグもお店で出すよ!」
「いいの?」
召矢このみ「私、お父さんに早く追いつこうと本格的なイタリアンを作ることにこだわっていたの、」
召矢のぞみ「そのためにイタリアで修行したんでしょ?」
召矢このみ「うん、でも気付いたら、料理を上手に作ることばかりを考えて、食べる人のことを考えなくなっていた、」
召矢くるみ「でもこのみ姉の料理は美味しいよ!」
召矢このみ「じゃあ毎日食べられる?」
召矢くるみ「オムライスなら毎日食べてもいいけど、」
召矢のぞみ「いくら美味しくても毎日、本格的なイタリアンを食べる気にはならないかな、」
召矢このみ「だから、毎日食べに来てもらうために、イタリア風の街の洋食さんにしようかと思うんだけど、どう?」
召矢のぞみ「このみはそれで、いいの?」
召矢このみ「うん。 まずはみんなに喜んで食べてもらえる食事を出そうと思うの」
召矢のぞみ「わかったわ! このみの考える方向でいきましょう、」
召矢くるみ「やった! これでオムライス食べられる!!」
召矢このみ「くるみはオムライスのことしか頭にないのね、」
「あははははは」

〇おしゃれなレストラン
  いろいろあったけど、今日から再出発だ
召矢このみ「では、開店します! よろしくお願いします!」
召矢くるみ「はーい! 頑張りましょう!」
召矢のぞみ「私はあくまでもアドバイザーよ、」
召矢くるみ「のぞみ姉、会社に兼業許可とったんでしょ?」
召矢のぞみ「もしもの時に手伝えるようにしただけよ!」
召矢このみ「くるみもお姉ちゃんも本当にありがとうね!」
召矢のぞみ「まだ早いわ、大変なのはこれからよ!」
召矢くるみ「大丈夫!きっと父さんも見守ってくれるよ、」
  最初のお客様が早速、やって来た
???「このお店、 もう、開いてますか?」
「いらっしゃいませ! ようこそ、ベリシモへ!!」
  店姉妹の物語が、今はじまる・・・
  つづく・・・?

コメント

  • 本格イタリア料理店よりも「三姉妹が営む洋食風イタリア料理店」の方がコンセプトとしても人気が出そうですね。三姉妹それぞれのキャラクターに愛着が湧いて、私も行ってみたくなりました。地元に愛されるお店作り、頑張ってほしいです。

  • まだまだ不安定なスタートですけど、だからこそこれから山あり谷ありで進んでいくんでしょうね。
    3人のタイプや特技が違うので、それを活かした面白いお話になりそうですね。

  • 亡くなった父親は3人が一丸となって新たな挑戦をしようとしていることをとても嬉しく思っているでしょうね。三姉妹が再び結びつくきっかけをくれたようで、とても嬉しいフィナーレでした。

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