前半「交通安全指導で炎上を回避せよ」/後半「生配信で食物連鎖!?」(脚本)
〇花火
「炎上」
それは人生を狂わせる甘い誘惑に燃え尽きる現象である。
これは派手好きで映えたい女、みえちゃんの炎上を回避するために奮闘する家族の物語である。
※画像はあくまで一例です。中傷目的ではございません。身近なところにこそ気をつけようというメッセージを踏まえてご覧下さい。
〇綺麗なダイニング
花盛 守子「夢を見たわ」
花盛 守護「お昼寝でもされましたか?」
花盛 守子「フッ、またママが大活躍ね」
花盛 守子「ほめてほめてー」
花盛 守護「いい子ですね。 で、どんな夢を?」
花盛 守子「見栄ちゃんが炎上する夢!!」
花盛 守護「何ですって!?」
花盛 護郎「見栄ちゃん炎上するの!?」
花盛 守子「炎上予定時刻は今から24時間後。 大変なことになるぞぉ」
このままだと見栄ちゃんの末路は
大変辛く、消えぬ恥を抱えることとなります。
【みえちゃん守り隊、出動せよ】
「それでは「みえ〜ん退治」を開始します!!」
〇綺麗な一戸建て
花盛 見栄「行ってきま〜す」
花盛 護郎「見栄ちゃん、無事に家を出ました」
〇学校の裏門
花盛 守護「見栄ちゃん、裏口から登校」
花盛 守護「先日、母上がプレゼントされたバイクで登校された模様です!!」
引き続き監視せよ
〇体育館の中
橋場 寛太「えー、というわけで今日は交通安全指導ということで街の安全見回り隊の方からお話いただきます」
遠藤「皆さんおはようございます。 本日は皆さんにとって身近な乗り物について話していきたいと思います」
遠藤「自転車。 皆さん、よく乗られますね」
遠藤「2023年4月からは自転車利用者の全年齢においてヘルメット着用が努力義務化となります」
遠藤「さて、この自転車を通じて安全を学んでいきましょう」
福津 紺青「とりあえず動画撮っておくかー」
遠藤「ではまず、二人乗りです。 私と橋場先生がやってみますので皆さんは何が危ないかをしっかりみていてください」
福津 紺青「自分たちがやってみた方が実感湧くんで、生徒にやらせてくださーい」
遠藤「おお、そうか。 やってみないと分からないこともあるな」
遠藤「よし、じゃあ二人乗りをやってみようか。 その後に先生たちが危ないポイントを教えていこう」
福津 紺青(やべー、面白そー)
橋場 寛太「えーっと、それじゃあやってみたい人ー」
爽谷 香月「あ、じゃあ僕やってみたいです」
遠藤「おぉ、爽やかだねー。 まるで青春映画に出てきそうだな」
爽谷 香月「そんな・・・でもありがとうございます」
遠藤「では後ろに乗る人は」
花盛 見栄「アタシが乗ります」
遠藤「よし、では始めよう」
遠藤「じゃあとりあえず好きに走ってみて」
遠藤「安全対策はバッチリな前提でみてね☆」
こんな安全指導もおそらく炎上案件です。
ご注意ください。
爽谷 香月「よろしくね、見栄ちゃん」
花盛 見栄「よ、よろしくね」
花盛 見栄(みんながアタシたちに注目してる。 しっかりやらなきゃ)
爽谷 香月「なんか昔の青春映画みたいだね。 二人乗りで道路を走るやつ」
花盛 見栄「・・・うん」
花盛 見栄(ふふふ、これぞ愛。 アタシと香月くんのラブラブアピール。 全米が泣いた愛の物語・・・)
花盛 見栄「全米が・・・泣いた?」
爽谷 香月「見栄ちゃんどうしたの?」
花盛 見栄「香月くん」
福津 紺青「お?」
花盛 見栄「アタシ、飛んでるわ!香月くん!」
花盛 見栄(みんな見てっ!! これがアタシと香月くんの愛よ!! 世界一、感動的な愛よーっ!!)
爽谷 香月「わ、わわーっ!!」
花盛 見守(おふたりとも無事キャッチ。 そっと並んで置いてあげます)
「な、なんか一瞬何か見えたような・・・」
「何が起きたの?」
遠藤「ありゃ?」
爽谷 香月「見栄ちゃんは、生きるんだ」
花盛 見栄「香月くん、香月くん!!」
花盛 見栄「助けてください、助けてください! 助けてください──」
花盛 見栄「あ・・・あぁ・・・」
遠藤「えーっと・・・」
遠藤「こ、こんな風に二人乗りはバランスも崩しやすく危険がたくさんだ!!」
遠藤「くれぐれも二人乗りはしないことです」
福津 紺青「やべーもん撮れた。 これ、指導側もアイツらも炎上じゃね?」
福津 紺青「ん? あれ、見栄どこに行った?」
福津 紺青「あ、あれは!?」
福津 紺青「バイクだと!?」
花盛 見栄「香月くんのかたきーっ!!」
遠藤「こ、これは!?」
花盛 見栄「・・・よく止めたわね」
遠藤「バイクで突っ込んでくる生徒。 定番ではないか」
花盛 見栄「やるわね、あんた」
遠藤「なに、派手好きな生徒を指導していくのが大人というものだよ」
花盛 見栄「いい勉強になったわ」
花盛 見栄「ありがとう、遠藤さん」
「見栄ちゃん優しい!!」
「見栄ちゃん大人の対応!!」
花盛 見栄「みんな、ありがとう」
福津 紺青「相変わらずこの学校の奴ら、意味わかんねー。 見栄のこと崇拝しすぎだろ」
福津 紺青「とりあえずやべーもん撮れたっと」
花盛 守護「福津くん」
花盛 守護「成敗っ!!」
福津 紺青「オレのスマホーッ!!」
花盛 守護「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・」
福津 紺青「えーっと・・・」
花盛 見守(金で解決することが一番やべーです)
福津 紺青「あ? また金が湧いてきた」
福津 紺青「お前がくれたの?」
花盛 守護「世の中は未知な現象だらけだ」
花盛 見栄「香月くん、香月くん・・・」
爽谷 香月「見栄ちゃん、泣かないで」
花盛 見栄「香月くん!?」
爽谷 香月「僕のために泣いてくれてありがとう。 僕はいま、幸せだよ」
花盛 見栄「香月きゅ〜ん」
花盛 見守(見栄ちゃん幸せそう)
そして見栄ちゃんの炎上は免れた?
何が問題でしょうか?
①現役JKのアホな行動(みえちゃんはポンコツ)
②指導側の安全配慮を怠った行為
③動画を撮って拡散したい男子
④かわいいは正義と何でも許されると思ってる周り
⑤被害を食らってない者による吊し上げ
⑥そもそも家族が・・・
さて、本当に燃えるのは誰でしょう?
〇綺麗なダイニング
花盛 守護「というわけで無事に炎上回避したよ」
花盛 護郎「よくやったな!!」
花盛 守子「何を言っているの?」
花盛 守子「炎上は24時間後って言ったじゃない・・・」
「ということは・・・」
見栄ちゃんは今、何をしている!?
〇おしゃれなキッチン
花盛 見栄「みんな、みえみえみえ〜ん★ 今日は生配信しちゃうよー!!」
花盛 見栄「わ、ポン酢マヨネーズさん みえ錢ありがと」
花盛 見栄「みえのハートはぁ、 ポン酢に和えられたマヨネーズみたいに 君に中毒状態だよ」
花盛 見栄「今日はね、学校で交通安全指導があったんだ。 命の大切さをよく学んだよぉ」
花盛 見栄「だからみえね、考えた。 どんなものでもご飯をおいしく食べようって」
花盛 見栄「というわけでどんなものもありがたくいただく。好き嫌いはしない」
花盛 見栄「命を学びたいと思いました!!」
花盛 見栄「むむむ虫だよ。 こ、これがどうなるかと言うと・・・」
花盛 守護「大変だ!! 画面には映ってないけど、用意されているのは」
花盛 守子「あれはヒヨコ!? 大変、見栄ちゃんが包丁を手に取ろうとしてるわ!!」
花盛 護郎「こ、このままだと・・・」
現役JKの猟奇的な食物連鎖実況!!
花盛 守護「止めねば!!」
花盛 見栄「食物連鎖を紹介するよ★ みえね、いっぱい勉強したんだよ」
花盛 見栄「というわけで調理したいと思いま〜す」
花盛 見栄「・・・あれ?」
〇手
〇おしゃれなキッチン
花盛 見栄「パパッ!?」
花盛 護郎(口の中で虫がうごめいている。 これが食物連鎖)
花盛 護郎「見栄ちゃん、美味しく味付けしたんだね。 ポン酢マヨネーズ味で美味しいよ」
花盛 見栄「あ・・・」
花盛 見栄「わ、わぁー!! パパに褒められちゃった★」
花盛 守子「皆さんこんばんは。 花盛美容クリニックの花盛 守子です」
花盛 見栄「ママッ!?」
花盛 守子「今日は見栄ちゃんにとって学びある日でした。 お祝いに作ったので皆さんで食べましょう」
花盛 見栄「わー、美味しそー!!」
花盛 見栄「あ、ポン酢マヨネーズさんみえ錢ありがとう!!」
花盛 見栄「特別だよ? みえがあーんしてあげるね」
花盛 護郎「パクっ」
花盛 見栄「あら?」
花盛 守子「パパ酔ってるの。 見栄ちゃん、部屋まで連れていってあげて」
花盛 見栄「う、うん・・・」
花盛 守子「美味しいものを食べると元気が出る。 美しさは健康な食事から」
花盛 守子「それでも悩むなら花盛美容クリニックまでご相談を」
花盛 守子「それでは今日の配信はこれで終わりマース。 またね★」
虫を食べる時は本当に毒がないか
ちゃんと調べてから食べてね★
〇綺麗なダイニング
花盛 見栄「もう、せっかくヒヨコ捕まえてきたのに」
花盛 見栄「捌くの自信あったんだけどなー」
花盛 見守(グロテスクな生配信になる所でした。 JKの狂気、見栄ちゃんがやると料理番組にはならないのです)
花盛 見守(派手好きですから。 最近だとコスプレで国会議事堂に押しかけようとして大変でした)
花盛 見守(映像はインターネットに公開されると消えることはありません。 見栄ちゃんの人生が崩壊してしまう)
花盛 見守(正義を盾にした顔なき暴力は恐ろしいです。 私たち家族が見栄ちゃんを守ります)
花盛 見栄「ママ、さっきの美味しかったよ」
花盛 守子「何故かママの目の前に現れたのよね」
花盛 守護「世の中、不思議なことが起きるものだ」
花盛 見守「・・・」
花盛 見守(今日もお疲れ様でした)
見栄ちゃんは守られ隊!
幕
家族の名前が見栄ちゃんを守るために生まれてきたかのような漢字の羅列からも分かるように、見栄ちゃんが暴走することで初めて家族の存在意義が生まれるという本末転倒ぶりがシュールでいいですね。守護が「お札(御札)」で、見守は「お札(お金)」という解決のアイテムもツボでした。
見栄ちゃんは虚構のお嬢様という感じですが、まぁ楽しそうでいいのかとww その虚構を作り出す側のドタバタ感がとっても楽しいです!
なんだか不思議な感覚ですが、怖さも感じてしまいました…。
見栄というのは人間としては必ず皆持っているものかもしれませんが、欲求が過ぎるのもどうかと思いました…。