英雄親子は名誉を捨てる

筑豊ナンバー

11話「再開と決断」(脚本)

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〇ファンタジーの学園
不知火 明花「いやー学校って面白いもんだな!」
ミカ「気に入ってくれてよかったです!」
ラン「なんか二人共なか良さそうだね。 幼馴染みだったりするの?」
ミカ「あー・・・えーと・・・」
ミカ(さすがに殺しあったとは言えない。 どう説明するのが正解なんだ?)
不知火 明花「俺とコイツは昔ッからライバルでよぉ~」
ミカ「そーなんだよ!よく剣道の試合で潰しあってて!!」
不知火 明花「剣道?」
ラン「へーなるほどね。私も剣道やってるけどライバルがいなかったからなんかそういうの憧れるなぁ~」
ラン「じゃあ!私部活あるから!」
不知火 明花「おーじゃあな!」
ミカ「また明日!」
不知火 明花「俺もちょっと買い物に行ってくる。 5時からセールなんだよ!」
ミカ「晩御飯は何ですか?」
不知火 明花「そーだな・・・冷えてきたし鍋にでもするか!」
ミカ「それは楽しみです!」
不知火 明花「じゃあな。6時には帰るから」
ミカ「わかりました!気をつけて!」
ミカ「私も帰るか・・・」
ミカ(ん?・・・あの人どこかで会ったような・・・)
  正門のまえに立っていた男からなぜか他人とは思えない言葉では表せない懐かしさのようなものを感じてきずけば話かけていた。
ミカ「あの!」
アレックス・ワトソン「・・・ッ!!」
  その人は今にも泣きそうな表情になりこちらを見た。
ミカ「どうされました?」
アレックス・ワトソン「いや・・・悪い。気にしないでくれ」
アレックス・ワトソン「何かようか?」
ミカ「あの・・・私達どこかで会いませんでしたか?」
  男は喉まででかかった言葉を飲み込み。苦しそうに答えた。
アレックス・ワトソン「・・・いや初対面だよ」
ミカ「・・・・・・そうですか失礼しました」
アレックス・ワトソン「・・・」
ミカ「もしかして道に迷ってます?」
アレックス・ワトソン「・・・この国に来たばかりでよくわからない。道案内頼んでもいいか?」
ミカ「はい!了解です!」
アレックス・ワトソン「名前を聞いてもいいか?」
  それは名付けの親であるアレックスにとってもっとも残酷な答えだった。
ミカ「私は「ミカ」と言います!」
アレックス・ワトソン「そうか・・・「ミカ」か。・・・俺はアレックスだ。よろしく頼むミカ!」

〇ヨーロッパの街並み
ミカ「ここがおすすめの喫茶店です! 週末はよく来るんですよ!」
アレックス・ワトソン「コーヒーが好きなのか?」
ミカ「はい!昔はただの眠気覚ましだったんですけど今は美味しさがわかって来ました」
アレックス・ワトソン「そうか・・・苦いのも飲めるようになったんだな・・・」
ミカ「どうしました?」
アレックス・ワトソン「いやなんでもない。最近疲れててな」
ミカ「そうですか!でしたらおすすめのスポットを紹介しますよ!!」

〇山の展望台(鍵無し)
ミカ「ここはよく苦しくなったり悲しくなった時一人できていました。こんなに良い景色なのに誰もいない穴場スポットです!」
アレックス・ワトソン「そんな穴場スポットを俺に教えもいいのか?」
ミカ「はい!特別です!ただし他の人には内緒ですよ!」
アレックス・ワトソン「・・・」
ミカ「ここの一番いいところは──」
ミカ「春になると満開の「桜」を一望できるんです」
アレックス・ワトソン「・・・桜が好きなのか?」
ミカ「はい。桜を見てるとなんだか忘れている大切なものを思い出せそうな気がして心の底から落ち着くんです」
アレックス・ワトソン「・・・」
ミカ「元気は出ましたか?」
アレックス・ワトソン「ああ!なんか悩みが吹っ飛んじまった! ありがとうなミカ!」
ミカ「助けになれたならよかったです!」

〇教会の中
リンカ「来ましたか・・・」
リンカ「お察しの通り君の娘さんをこちらの世界に転移させたのは僕だよ」
アレックス・ワトソン「・・・」
リンカ「魔王を倒せる唯一の力を彼女は持っていた。 だけど彼女にとってこっちの世界は全くの無関係。滅んでも一切関係がない」
リンカ「それでも私達はその力にすがった。 例えそれが戦争なんてものを知らない小さな子供だとしても」
リンカ「君達家族の人生を狂わせたのは僕だ。 だから・・・君からの恨みは全て僕が受け止めるよ。 殺される覚悟ならしてあるだから・・」
リンカ「どうか許してほしい」
  アレックスをこちらに呼んだ本当の理由。
  それは離ればなれになった二人を再開させるためだった。
  しかし今さら再開したところで今までの奪われた時間が戻るわけではない。
  現に娘は家族の事を忘れてしまっている。
  家族の絆、思い出、幸せをこれから取り戻す事はできないのだから。
アレックス・ワトソン「少し前の俺なら迷わず殺してるだろうよ。だが今はあんたに感謝している」
アレックス・ワトソン「ミカは楽しそうに暮していた。過去がどうあれ今のあの子は幸せだと言っていた」
アレックス・ワトソン「その幸せを壊すのは親として最低な行いだ」
  さっき見たミカの笑顔は本物だ。
   今は少なくとも家族より仕事を優先する父親と居るより幸せなのかもしれない。
アレックス・ワトソン「俺は影からあの子を守ろうと思う。これ以上あの子が何も背負わないで良いように。それが俺の唯一出来る親としての務めだ」
リンカ「そうか・・・ならせめてその手助けをさせてくれ」

〇兵舎
石白 星華「そろそろ出ようか。アレックス」
アレックス・ワトソン「了解した」
  結局こちらの世界でも軍人になる事にした。
  どうもこの仕事は俺の運命のようだが、今回は昔とは違う。
  今回は国のためではなく愛する娘のために戦う。例え俺を父親だとしらなくても関係ない。これが父親としてできる最後の仕事だ。

〇ヨーロッパの街並み
町人「誰か!助けてくれ!!」
「オイオイ!じいさん!そんな声じゃあ誰も助けに来ないぜ?」
「ギャハハハ!!」
???「さぁあ!さぁあ!さぁあ!次は誰を焼こうか!誰を痛め付けようか!誰を殺そうか!!」
???「考えるだけで絶頂しそうだぜ!!」

次のエピソード:12話「残るトラウマ」

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