〇SHIBUYA109
「きゃーーー!!」
「誰か助けてくれーー!!」
戦闘員「ゲハハハハ！　逃げ惑え人間ども！」
戦闘員「マッチングアプリを使ってまで恋愛しようとしやがって！」
戦闘員「色恋にかまける猿どもめ！　別れさせてやる！」
「そこまでだ!!!!! 秘密結社ロンリネス!!!!!」
戦闘員「な、何者だ!?」
マザーレッド「燃える愛の戦士！　マザーレッド！」
シスターイエロー「悪い奴はぶん殴る！　シスターイエロー！」
シスターホワイト「みんなをお助け！　シスターホワイト！」
ファーザーブラック「お小遣いは毎月三千円！　ファーザーブラック！」
ブラザーピーチ「桃のようにキュートなお尻！　ブラザーピーチ！」
「五人全員実の家族!!!!!　家族戦隊ファミリーレンジャー!!!!!」
「人々の愛を守るためここに推参!!!!!」
戦闘員「おのれまた貴様らか！」
戦闘員「いつも我々の別れさせ活動を妨害しおって！」
戦闘員「今日という今日は目にもの見せてやる！」
シスターイエロー「随分ナメた口を叩くじゃねえか」
マザーレッド「前回の愛のお仕置きが足りなかったみたいね」
シスターホワイト「悪い子はお尻ぺんぺんなんだからね！」
ファーザーブラック「なあ母さん、やっぱりお小遣い毎月三千円はキツいよ」
ブラザーピーチ「今言うことじゃねえだろ親父」
ブラザーピーチ「つか何だよブラザーピーチって。何で俺だけ果物なんだよ」
戦闘員「何を訳のわからないことを！　みんなやってしまえ！」
シスターイエロー「もうお前しか残ってねえぞ？」
戦闘員「す、すまない同胞よ。後のことは頼んだ」
戦闘員「最近イエローちゃんにボコられるの癖になってるんだよね」
戦闘員「ど、同胞たちよ！　すまない！　次の機会に必ず仇を取る！」
シスターホワイト「あっ！　逃げた！」
マザーレッド「まだお仕置きは終わってないわよ！」
シスターイエロー「根絶やしだ！　絶対に逃がさねえぞ！」
ファーザーブラック「一匹残らず血祭りに上げてやる！」
ブラザーピーチ「どっちが悪党だよ」
ファーザーブラック「この！　この！　母さんお小遣いを上げろ！」
ブラザーピーチ「母さんに向かって言えよ。情けねえな」
シスターイエロー「おら待ちやがれ！」
マザーレッド「パパ来月からお小遣い無しよ！」
シスターホワイト「こんなにされて喜ぶなんて変態さんだね」
ファーザーブラック「か、母さんそれだけは勘弁してくれ！」
戦闘員「ひ、ひい！　こいつら相変わらず滅茶苦茶だ！　誰か助けて―！」
ブラザーピーチ「怪人が助け求めてどうすんだよ」
ブラザーピーチ「つかみんな一人相手にやりすぎだろ！」
戦闘員「あいつら確実に俺たちより暴れてるぞ！　お前何とかしろよ！」
ブラザーピーチ「それができれば俺も苦労はしねえ」
「そこまでだ！　愛に狂った哀れな一家よ！」
戦闘員「こ、この声は!?」
〈悲恋〉のレンカ「秘密結社ロンリネスの最高幹部が一人！　〈悲恋〉のレンカ！　ここに見参！」
〈悲恋〉のレンカ「毎度無暗に町を破壊する全身タイツのテロリストどもめ！　この〈悲恋〉のレンカが成敗してくれる！」
ブラザーピーチ「テロリスト扱いされてんじゃん俺ら」
戦闘員「お前らやってることまんまテロだぞマジで」
マザーレッド「現れたわね！　〈悲恋〉のレンカ！」
シスターホワイト「お兄ちゃんをかどわかす泥棒猫さんめ！」
シスターイエロー「英雄を物にしてえならこのアタシを倒すんだな！」
ファーザーブラック「よし！　行くぞみんな！」
マザーレッド「ええあなた！　近親合体！」
ファーザーブラック「ゴー！　アクエ〇オン！」
戦闘員「ア〇エリオン言うてるやん」
ブラザーピーチ「ファミリオンだぞ親父！」
ファーザーブラック「アクエリオ〇！」
ブラザーピーチ「ファミリオンだって言ってんだろうが！」
ブラザーピーチ「そんで俺がまだ乗ってねえのに勝手にロボ合体しやがって！」
戦闘員「四人乗りでも動くんだな、あれ」
〈悲恋〉のレンカ「くっ！　さすがに分が悪いか！　撤退するぞ！」
ブラザーピーチ「諦めが早いなおい！」
戦闘員「何しに来たんすかレンカ様」
ファーザーブラック「母さんがお小遣い上げるって言うまで逃がさないぞ！」
ブラザーピーチ「追撃の動機が身勝手すぎるだろ！」
戦闘員「お前の親父さんもうオカしくなってるぞ」
ブラザーピーチ「悠長なこと言ってる場合か！　ここは俺が食い止める！　お前らは先に逃げろ！」
戦闘員「お前俺らの仲間みたいになってんじゃん」
〈悲恋〉のレンカ「す、すまないヒーく、じゃなくてブラザーピーチ！　この借りは必ず返す！」
戦闘員「いつでもうち来いよ。お前なら歓迎するぜ」
ブラザーピーチ「任せろ！　お前らマジでいい加減にしろーーー!!」

〇広い公園
〈悲恋〉のレンカ「ここまで来ればもう安心だ」
戦闘員「助けに来てくれてありがとうございます。レンカ様は特に何もしてなかったけどおかげで助かりました」
〈悲恋〉のレンカ「気にするな。可愛い部下のためならこの命など惜しくない」
戦闘員（この人こんなに可愛いのに何で彼氏できないんだろ。見る目無さすぎだろ人間ども）
〈悲恋〉のレンカ「!　お前は先に帰れ。急用を思い出した」
戦闘員「?　わかりました。攫われないように気を付けて帰って来てくださいね」
戦闘員「あいつらイカれてるよマジで。あのままだといつか人殺しちゃうよ」
戦闘員「今日もイエローちゃんのパンチ最高だったぜ」
〈悲恋〉のレンカ「隠れてないで出てきたらどうだ」
広瀬英雄「れ、レンカ。その、怪我はしてないか？」
〈悲恋〉のレンカ「敵のお前に心配される筋合いはない」
広瀬英雄「敵だなんてそんな。俺は君を敵だなんて思ってないよ」
〈悲恋〉のレンカ「どうだかな。お前はそう言って前回も私を裏切ったではないか」
広瀬英雄「あれは誤解だ！　わかるだろ？　うちの家族がちょっと変なことくらい」
〈悲恋〉のレンカ「ちょっとで済むと思ってる時点でお前もかなりあの家族に毒されてるぞ」
広瀬英雄「信じてくれ！　前にも言っただろ！」
広瀬英雄「──俺は、君のことが好きなんだ！」
〈悲恋〉のレンカ「ふ、ふん！　お前の言葉はもう信じないぞ」
〈悲恋〉のレンカ「そう言って、また私を裏切って、傷付けるつもりなんだろ？」
広瀬英雄「俺は本気だ！　君のことを想うと夜も眠れない！」
広瀬英雄「どうしてこんなに好きなのに敵同士なんだって、毎晩胸が苦しくなる」
〈悲恋〉のレンカ「ひ、ヒーくん・・・・・・」
広瀬英雄「俺は君のためならすべてを捨ててもいい！」
広瀬英雄「最初に捨てるのはあの家族だ！　もううんざりなんだよあいつらには！」
〈悲恋〉のレンカ「く、苦労してるもんな、ヒーくん」
広瀬英雄「君は、レンカはどうなんだ？　俺のこと、何とも思ってないのか？」
〈悲恋〉のレンカ「──ダメだよ、ヒーくん。私は秘密結社ロンリネスの最高幹部で、あなたは私の敵」
〈悲恋〉のレンカ「独身総帥モテナインダー様も、あなたの狂った家族も、私たちの恋を許してくれない」
広瀬英雄「君のためなら俺は世界を敵に回してもいい！」
〈悲恋〉のレンカ「!」
広瀬英雄「君は俺のすべてだ！　君だけが傍にいてくれれば他には何もいらない！」
広瀬英雄「この気持ちは、君にとって迷惑かな？」
〈悲恋〉のレンカ「め、迷惑だなんて思ってないよ」
〈悲恋〉のレンカ「私も、あなたのことが──好き」
広瀬英雄「れ、レンカ・・・・・・」
〈悲恋〉のレンカ「信じても、いいんだよね？」
広瀬英雄「もちろんだ。世界の果てまで一緒に──」
広瀬純一郎「よくやった、英雄」
〈悲恋〉のレンカ「!」
広瀬英雄「お、親父、いつからそこに・・・・・・」
広瀬静流「どうやら上手く信用を得ることができたようね」
広瀬桃香「お兄ちゃんが本気であなたを愛してるわけないでしょ。〈悲恋〉のレンカさん」
広瀬久美子「一人になったところをみんなでボコるのは趣味じゃねえけど、世界平和のためなら仕方ねえよな」
広瀬英雄「ち、違うんだレンカ！　これは何かの間違いで・・・・・・」
〈悲恋〉のレンカ「やはりそうだったのだな」
〈悲恋〉のレンカ「信用させたところで裏切る。それがお前たちのやり方か」
広瀬英雄「ち、違うんだレンカ！　俺の話を聞いてくれ！」
〈悲恋〉のレンカ「私の気持ちを弄んで、裏切って傷付ける。前もそうだった。本気になった私がバカみたい」
広瀬英雄「頼むレンカ、話を・・・・・・」
〈悲恋〉のレンカ「ヒーく、いやブラザーピーチ！　次に会った時がお前の最後だ！　覚悟しておけ！」
〈悲恋〉のレンカ「──さよなら、ヒーくん」
広瀬英雄「れ、レンカ──────!!!!」
広瀬英雄「どうして、どうしていつもこんなことになるんだ・・・・・・」
広瀬純一郎「お小遣い毎月三千円のお父さんの気持ちがよくわかったようだな」
広瀬英雄「てめえの悩みと一緒にすんじゃねえクソ親父！」
広瀬静流「帰ってみんなで夕飯食べましょ？」
広瀬英雄「何事もなかったかのような顔してんじゃねえぞクソババア！」
広瀬久美子「お前あんな恥ずかしい台詞よく言えるよな！」
広瀬英雄「もっとデリカシーを学べよクソ姉貴！」
広瀬桃香「お兄ちゃん、そんなに私のことが好きだったんだ・・・・・・」
広瀬英雄「頼むからお前はこいつらみたいにはならないでくれ」
　　五人全員実の家族！　家族戦隊ファミリーレンジャー！　英雄の恋の行方は如何に──
広瀬英雄「いらんナレーションすんな腹立つわ！」
〈悲恋〉のレンカ「──ヒーくんのバカバカ。嘘つき」