エピローグ(脚本)
〇渋谷駅前
「わー!天気いいー!」
若宮はづき「はい、もしもし?」
藤代ゆうり「あっ、はづきさん? もー、さっきから電話してるのにー」
若宮はづき「ごめんねー、ゆうりちゃん 気がつかなかった」
藤代ゆうり「ところではづきさん 今どこにいます?」
若宮はづき「あー、渋谷、交差点の近く」
藤代ゆうり「それじゃ、近いかも」
若宮はづき「近い?例の人、見つかったの?」
藤代ゆうり「はい、さっき綴木さんから連絡がありました、詳細はメールで送りますね」
若宮はづき「うん、ありがとう」
藤代ゆうり「ところでー‥あの炭屋さんの話って、 本当なんですか?」
若宮はづき「炭屋さんの話?」
藤代ゆうり「ほらー、はづきさんが炭屋さんの後を継ぐって‥」
若宮はづき「もー、だれがそんな事言ったの?」
藤代ゆうり「綴木さん」
若宮はづき「あの人は―‥ あのね、そんなの決まってないの、 ただ色々助けてもらってるってだけで‥」
藤代ゆうり「あー、もーそういえば! あいつ酷いですよー! さっきだって私のプリン食べちゃうし!」
若宮はづき「プリン?あいつ? 何のこと?」
藤代ゆうり「だからー、綴木さん! 「知らん、名前を書いていないお前が悪い」とか言ってー!」
若宮はづき「あー‥なるほど‥」
藤代ゆうり「それに連絡してくる時も、何か態度デカいしー!もー、何で文月さんがあんなのと一緒にいるのか理解できないですよー!」
若宮はづき「はいはい、あんなのって言わないの」
藤代ゆうり「だってー、しかも聞いて下さいよー! さっきだってー!」
若宮はづき「あーわかったって、帰ってから聞くから、とにかくその人のところに行ってくるね」
藤代ゆうり「えー、はづきさーん!」
若宮はづき「はいはい、じゃー切るよー!」
藤代ゆうり「はづきさーん!」
若宮はづき「ふー‥」
〇渋谷の雑踏
あの件以降、一時的に仕組みの活動は弱体化した‥七賢というカリスマをまとめて失った事は致命的のように思えた‥
それでも徐々にだが、体制を整え始めているようだ‥
〇渋谷駅前
若宮はづき「さてと‥」
〇渋谷の雑踏
あれ以来、千寿さんとは会っていない‥
ただ着実に仲間を増やしているようだ、
と綴木さんは言っていた
炭屋さんとは何度かお会いしている
体調は徐々に悪くなっているようだと
鴫野さんは言っていた‥
だけど変わらず私の背を押してくれている
私は文月さんや綴木さんと一緒に動いてる
そして、藤代ゆうりちゃんという新しい仲間も加わった
私は私の願いと希望で、この世の中に挑み続けている
〇渋谷駅前
若宮はづき「あれ!?」
配達員「おーい、トランクさーん!」
若宮はづき「はーい! 久しぶりー!」
配達員「がんばってなー! そいじゃー!」
〇渋谷の雑踏
それでも人々の滅びが進んでいるかのように、憎しみや怒りが小さな渦となり、人々の暮らしを覆っている‥
そして変わらず、小さな争いは耐えることがなかった‥
〇渋谷駅前
若宮はづき「あれは‥」
若宮はづき「‥‥」
ふと振り返ると、視界の隅にあのトランクが目に留まった‥決してあの時のトランクとは違うはず‥
だけど‥思い出す‥
切なく、苦しく、そして暖かな人々と過ごした、あの時の事を‥
若宮はづき「‥‥」
〇通学路
若宮はづき「たぶん、この先かな‥」
〇広い公園
〇公園のベンチ
壬生野羽美「どうしたら‥ この先‥どうしたらいいんだろ‥」
若宮はづき「‥‥」
若宮はづき「あのー‥」
壬生野羽美「えっ? 誰‥」
若宮はづき「あの‥」
壬生野羽美「‥はい?」
若宮はづき「何か、お困りですか?」
終わり
素敵な物語をありがとうございました✨️
第1話の着想だけで続きは考えながら執筆されたとの事ですが、初めは何も知らずトランクを運ぶだけだった主人公が、やがて世界を延命させるべく役目を担うようになっていく…
辛く苦しく終わりしかないはずの世界に、まだ“どうせ”と諦めるのは早い、少しでも希望をという強いメッセージを感じました。
第1話にて人助けで人生を終える選択をした彼に帰結する…最高の読後感でした✨️
今読み終わりました。
途中「どうなるのか?」
と思いましたが…
読み終えて良かったです。
ありがとうございました。
謎の散りばめ方にとても興味を引かれ、一気に読んでしまいました。言葉にするのが難しいですが、一話一話に静かで、しかし心の奥がざわめくような感動がありました。