スティンガーファミリー

蛯名茶々丸

♯2 襲撃者たち(脚本)

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〇入り組んだ路地裏
キール「あ、ん、の クソ親父!!」
キール「さんっざん こき使いやがって!!」
キール「ちょっと優しさ見せたかと 思ったらこれだよくそっ!!」
キール「あー・・・ 腹減ってきた・・・」
キール「リーニャの晩メシ 絶対冷めちまってるよな・・・」
  闇の中から殺気を感じ
  咄嗟に身を引くと
  頬をナイフが掠めていった
キール「っこの・・・!」
  すかさず蹴りで応戦するが
  躱されてしまう
  さらに背後へまわり
  キールの右肩を切りつけた
キール「うぁ・・・ッ」
  暗い路地に鮮血が散る
  襟首を捕まれ引き倒される
  身を起こそうともがけば
  眼前にナイフを突きつけられた
子分「へへ、悪いな兄ちゃん ちょっと大人しくしててもらうぜ」
  子分はキールの右手に手枷をつけ
  もう一方を近くの
  水道管に繋いだ
キール「うわぁ、悪趣味・・・」
キール「狙いはなんだよ 路上拘束プレイで 終わりじゃねェだろ?」
子分「悪ぃな あんたを繋いどくのが 俺達の仕事なんでね」
子分「そういや、お前らと一緒にいた 娘っ子、大層なお嬢様らしいな」
子分「どこのもんかは知らされてねぇが 上層街の治安悪化による 一時避難ってとこか?」
  キールの顔から、表情が消える
子分「カルーアさんは どうも娘に狙いを定めたらしいや」
子分「あの見た目だし・・・ 身代金搾り取った後は いい”お姫様”かもな」
子分「アヒャヒャヒャ!!」
用心棒A「おい、喋りすぎだろう その辺にしとけって」
  メキメキ、と響く音に
  子分は話を中断させる
  男達の視線の先には──

〇血しぶき
  繋いだはずの水道管を
  壁から引き剥がした
  キールが立っていた
  切りつけられた腕の傷と
  藻掻き抉れた手首から滴る血で
  右半身は真っ赤に染まっている
  それでいて無表情なのが
  恐ろしさに拍車をかける
「ひいっ・・・!!」
  青ざめ後ずさる男達に
  キールはゆっくりと歩み寄る
キール「ふたつ、言っとく」
キール「まずは俺 あんまりパワーがねェ分 武器持ってからが本番なんだ」
キール「扱いやすい獲物をどうも」
  流れる血が伝って
  パイプを赤く染めていく・・・
キール「そんで、もうひとつ・・・」
キール「俺の家族に手ェ出した奴が 生きてこの街出られると思うな!!」

〇黒
  ──場面を移した方が良さそうだ

〇ビルの裏
シアン「ぐ・・・っ」
リーニャ「シアンお兄ちゃん!!」
  別の路地では
  シアンとリーニャが
  刺客に襲われていた
  リーニャを庇って
  咄嗟にガードした腕が
  ミシミシと嫌な音を立てている
用心棒B「・・・」
  刺客はシアンよりも
  ひと回り大きな巨漢
  指の骨をパキパキと鳴らしている
カルーア「まぁったく いつまで耐えるつもりなのやら」
カルーア「んな事したって 意味ねぇっつーの」
  その様子を大男の後ろから
  カルーアが眺めている
リーニャ「もうやめて!! シアンお兄ちゃんが死んじゃう!!」
  悲痛な叫びをあげるリーニャを
  シアンは再び背後に庇う
  シアンに縋り付くように立つ
  リーニャの小さな体は
  ガタガタと恐怖に震えている
カルーア「ったく、張り合いのねぇ 雑魚め・・・」
  カルーアは至極退屈、とでも
  言うように地面に唾を吐いた
カルーア「もういいぞ とっとと後ろの小娘連れてこい」
用心棒B「・・・」
  雇い主の指令を受け
  大男がリーニャに手を伸ばす
  怯えた表情のリーニャに届く
  その前に──
用心棒B「・・・!!」
  シアンの拳が大男の
  顔面にめり込む!!
  鉄製の仮面にヒビが入り
  大男はよろめいた
シアン「妹を守るのは 兄の務めだ」
シアン「俺の妹には、指1本触れさせん!!」
用心棒B「・・・!!」
  シアンの凄まじい気迫に押され
  大男が、もう一歩退く
カルーア「な、何してる!! トドメを刺せ!!」
  大男は一瞬動きを止め
  シアンに向かって拳を振り上げた

〇黒
???「寝言抜かしてんじゃ ねェぞ愚弟が・・・」
???「リーニャは・・・」

〇ビルの裏
キール「”俺達の”妹だろーがァ!!」

次のエピソード:♯3 スティンガーファミリー<終>

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