鬼面人の唐紙

キリ

-鬼面になった唐紙-(脚本)

鬼面人の唐紙

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〇村の広場
  紫苑殿と出会ってから、数日後──
  予期していた事態が起きる前触れがあった
瓦「なあ唐紙よぉ」
瓦「てめ人間と歩いてたってのを 小耳に挟んだんだが」
瓦「かくまってやしねえだろうなぁ? ?」
唐紙「え、滅相もないっっ!」
唐紙「瓦の"好物"を独り占めなんて、 オイラに出来っこない」
瓦「ふ~~ん...」
瓦「もし、"そう"だったとしたら」
瓦「ただでは済まないからな?」
唐紙(別に、かくまってる訳じゃない)
唐紙(あやつがオイラに纏わりついてくるだけだ)
唐紙(けど...)
唐紙(なんでオイラ、隠すようなことを...?)

〇古風な和室
紫苑「お~おけいり~~♪」
唐紙「んん...」
紫苑「・・・」
紫苑「そんなに嫌か?俺が居候してるの」
唐紙「貴方は鬼の餌なんだぞ」
唐紙「オイラだって、その気になれば...」
紫苑「それはねえなぁ~あはははっ」
紫苑「でも、どうせ喰われるんなら お前さんがいいな」
紫苑「いまの俺には、お前さんの耳が頼りなんだ」
唐紙「・・・」
紫苑「・・・しんみりしちまったな、ふふっ」
紫苑「一杯付き合ってくれよ」
唐紙「酒なんてうちに無──」
唐紙「ああーー!それ、オイラの湧き水! !」
紫苑「あ~うんめえ~」
紫苑「残りはやるよ、ほら」
唐紙「...って少な!」
紫苑「・・・」
紫苑「なあお前さん、」
紫苑「一生涯、人を殺(あや)めないと、 約束してくれねえか?」
紫苑「お前さんにだけは、そういう 鬼になってもらいてぇんだ」
唐紙「・・・」
紫苑「そのほうが、おなごの心を鷲掴みにできると、俺が保証する (^^)b」
唐紙「なっ!」
唐紙「契(ちぎ)るもんか! !」

〇村の広場
紫苑「って、言いつつ」
紫苑「もう何日も経つが、俺を生かしてくれてる」
紫苑「いい鬼だ...」
紫苑「あんな鬼がいるなんて、信じがたいが」
紫苑「っぅぐ!」
紫苑「急に痛みがぁっ...」
紫苑「はっ」
紫苑「血が出てら...」
瓦「見つけたぞ、人間」
瓦「唐紙のやつめ、やっぱりかくまって いやがったな?」
瓦「しかし、お陰で楽に人間が 喰えるってもんだ」
瓦「はあ! !」
紫苑「いっっ! !」
紫苑(完全に油断してた・・・)
紫苑(こやつの爪が、肩に・・・ 刺さってっ・・・っ)
瓦「おうおうおう」
瓦「苦しめぇ! ! ! ! ! 苦しめ!人間! ! ! ! ! !」
紫苑「ハ、」
紫苑「なに...いってん.......だか...」
紫苑「戯れ言っ...いってん...のが...」
紫苑「きこえ、ねえよぉ.......」
瓦「生意気な人間だ」
瓦「その減らず口が言えねえよお、 噛みちぎってやらあああああああっ!」

〇寂れた村
唐紙「留守を任せて大丈夫かのぅ...」
唐紙「...いやっ、何言ってんだオイラは! あの人を追い出さないと!」
唐紙「ん?」
唐紙「・・・」
唐紙「っ! !」
  唐紙が見た光景には
  瓦が人間を噛み契っていた
  鬼は人間を喰らう生き物...
  だが、その人間は唐紙にとって
  見覚えのある着物を着ていたようで
  唐紙は青ざめながら、瓦の元へ
  急いで足を走らせた
唐紙「おいやめろ! !やめてくれ!瓦! !」
瓦「おおー待ちくたびれたぜ唐紙」
瓦「てめえが隠し持ってた人間 俺のために熟成させてたんだな?」
唐紙「くっ...っ」
瓦「最高に美味だったぜ アッハハハハハハハハハハハ」
唐紙「・・・ハッ、」
唐紙「あんたの腹ん中は、きっと 居心地わりいだろうな...」
瓦「何か言ったか?」
唐紙「瓦が食べた人間、 耳が聴こえないんだってよ」
瓦「それがどうした」
唐紙「キッ」
瓦「え、唐紙?なんだその姿は!」
唐紙「うまいもん喰ったやつの身体は、 さぞかし旨いだろうなあ~」
唐紙「貴様に喰われたなら...」
瓦「うう、うわああ!」
唐紙「・・・・・まっず」
唐紙「鬼って旨くねえんだなぁ...」
唐紙「まだ、」
唐紙「紫苑殿と飲んだ水の方が... 旨かったな...っふ...ううっ...」

〇寂れた村
環「そのような経緯(いきさつ)が...」
唐紙「何十年も前のことだ、今じゃ懐かしい 思出話さ」
環「その人間との出会いは、短くも 唐紙殿にとっては かけがえのない日々だったのだな」
唐紙「フン」
唐紙「あ!戻ったあ!」
環「おお、副作用が消えたようだな」
唐紙「戻れてよかったよ~」
「あ!わたし!この子がいい!」
「? ?」

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