エピソード1(脚本)
〇岩山
災いの魔物「GYAOOOOOOO !」
日知 志久流「おおおおおお」
???「ここだ!!」
???「信じて振るえ! この剣を!」
災いの魔物「GUOOOOOOON!」
???「やったな」
日知 志久流「倒した・・・のか?」
リア・ルチュート「ええ・・・」
リア・ルチュート「これで・・・」
リア・ルチュート「災いは取り除かれました」
リア・ルチュート「ありがとう」
リア・ルチュート「ありがとう異世界の英雄たちよ」
「やった! やったぞ!!」
「宴だ! 勝利の宴じゃあ!」
日知 志久流「終わったよ・・・アニキ・・・」
〇簡素な一人部屋
数日前・・・
日知 朝雄「ゴホッ ゴホッ」
日知 志久流「咳またひどくなってないか?」
日知 志久流「病院行ったらどうだアニキ」
日知 朝雄「咳あるがちょっと身体重い程度だな」
日知 朝雄「読み始めたラノベ面白くて気にしてなかったぜ」
日知 朝雄「このまま一気に読んじゃおうかな」
日知 朝雄「あと10巻弱ほどあるが・・・ゴホッ」
日知 志久流「行く気ないな!」
日知 朝雄「ホント面白くてな・・・ 途中まで進んでどうにかなっちゃって あの時読んでれば──ってなってみろ」
日知 朝雄「化けて出るかもしれ・・・ゴホッ」
日知 志久流「そんな二度と読めなくなるように そうそうなってたまるか!」
日知 朝雄「いや咳し始めて4日ぐらいだろう?」
日知 朝雄「10日? 10日続いたら行くって」
日知 志久流「・・・」
日知 志久流「わかった 3日だけ待つ」
日知 朝雄「え!?」
日知 志久流「1週間続けば結構な病気だから 譲歩してこれだからな・・・」
日知 志久流「期限きたら縛ってでも連れてくぞ!」
日知 朝雄「3日かぁ・・・」
日知 朝雄「長い休みでゆっくり読もうと思ったんだけどなー」
日知 朝雄「いけるかなー3日で・・・」
〇狭い畳部屋
─── 翌日 ────
日知 母「シグー」
日知 志久流「何?」
日知 母「ちょっとアサの様子見てきてちょうだい」
日知 母「休みだからって昼まで寝てるのはねぇ」
日知 母「父さんもそろそろ散歩から戻ってくるんで一緒にお昼にしましょう」
日知 志久流「わかった」
・・・
・・・・・・
日知 志久流「母さん! 朝雄が!」
日知 志久流「アニキが!!」
日知 母「何これ!?」
「おはようございます おっかさん」
日知 母「しゃべった?」
「起きて咳が治ったと思ったらこれですよ」
日知 母「朝雄の声がする」
日知 母「本当に朝雄なの? これ」
ガチャり
日知 父「戻ったぞ」
日知 父「みんな揃ってどうした?」
日知 父「いや朝雄がおらんな」
「お帰り親父」
日知 父「なんだこれ!?」
日知 父「朝雄・・・の声がする・・・」
日知 父「・・・」
日知 父「母ちゃん・・・これアレか?」
日知 母「アレだねぇ・・・」
「・・・・・・」
日知 志久流「何だかわかってるの?」
日知 父「丁度飯か そこで話そう」
日知 志久流「これは?」
「これは・・・て!」
日知 父「そこに立てかけておいてやれ」
日知 父「倒れて危なくないようにな」
〇狭い畳部屋
日知 父「母ちゃんの実家『津留木』って言うのは 知ってるな?」
日知 志久流「うん」
日知 父「それ武器の『剣』から来てるという話なんだ」
日知 母「実家に伝わってる話には先祖に”剣”になった人が何人かいるらしくてね」
日知 志久流「なった!?」
日知 母「なった──らしいのよ」
日知 母「それでその人たちの功績で『津留木』の名前付けたと言ってたね」
日知 母「母さんそんなバカな話あるわけないって ずっと思ってたんだけど・・・」
日知 母「ねぇ・・・?」
日知 志久流「初めて聞いた」
剣「あーオレもなんか聞いたことあったな」
剣「ご先祖さん手柄立てて色々もらったとか言うやつだろそれ?」
日知 志久流「ああ土地とかもらってあそこに代々住んでるとか言う話だね?」
剣「でも剣になったとか言ってなかったよな?」
日知 父「そりゃあ子どもに言ったら恐がるだろう」
日知 母「将来アサたち剣になるかもねーとか」
日知 志久流「そうだね・・・」
剣「まあオレはなってしまったんですが・・・」
「・・・・・・・・・」
日知 父「こうなってしまうと俺にはどうしようもないな」
日知 母「ウチの実家の話なら連絡してみようかねぇ?」
日知 母「婆ちゃんたちなんか知ってるかも?」
日知 志久流「休みだから直接聞きに行ってもいいんじゃないかな」
日知 母「それいいかもね そうしよう!」
〇狭い畳部屋
BANG!
リア・ルチュート「聖剣はここですか!?」
日知 志久流「誰だアンタ!」
日知 父(ウチこんなドアあったかな?)
日知 母「土足厳禁! 靴脱いで!」
リア・ルチュート「あ・・・はい・・・」
・・・
・・・・・・
リア・ルチュート「改めてご挨拶を」
リア・ルチュート「私はリア ルチュート国を治める一族の娘です」
日知 志久流「聞いたことない国だね?」
日知 母「でそのリアさん? がどうしてここに?」
日知 父「それに聖剣ってのはなんだ?」
リア・ルチュート「今私の国は災いの魔物に襲われているのです」
リア・ルチュート「兵士たちがなんとか対処していますが撃退することもできません」
リア・ルチュート「私はどうすることもできず天に祈りを捧げていると──」
リア・ルチュート「ある時お告げがあったのです」
リア・ルチュート「災いを退治するには異世界の聖剣が必要だと──」
リア・ルチュート「私はその招待に志願しこちらに送ってもらったのです」
剣「聞いたかシグ オレ異世界の聖剣だってよ スゴくね」
日知 志久流「でもこれになったの今日の話ですよ?」
日知 志久流「よくわかりましたね」
リア・ルチュート「日にちや場所もお告げにあったのです」
日知 父「そういうものなんだ・・・」
リア・ルチュート「あとこれを持っていけとも・・・」
日知 母「金!?」
リア・ルチュート「これしか持参できませんでしたが報酬の 前置きとしてこれを」
リア・ルチュート「難を取り除くことに成功すればもっと多くの報酬をお約──」
日知 母「行ってきなさい・・・アサ」
日知 父「母ちゃん・・・どうした?」
日知 母「銭はあったに超したことはないからね」
日知 母「それに大層なもんなんだろアサがなったのは・・・大丈夫だよ」
日知 志久流「母さん──」
日知 志久流「もうちょい心配しようよ」
聖剣朝雄「シグ オレは──」
聖剣朝雄「行こうと思う」
日知 父「朝雄・・・」
聖剣朝雄「家計を助けるもだが異世界での人助けにもなる・・・」
聖剣朝雄「まあなにより」
聖剣朝雄「これ絶対面白いことになりそうな気がする!」
聖剣朝雄「マンガとかと同じだよねこういうの!」
日知 志久流「アニキ──」
聖剣朝雄「ちゃんとここに戻れるんだよな?」
リア・ルチュート「はい それは私がここに来て戻れる次第が証明になります」
リア・ルチュート「事を成せば必ず無事にお送り致します」
聖剣朝雄「よしわかった それならOKだ」
聖剣朝雄「行くぞシグ!」
日知 志久流「はあ!? 何で僕も?」
聖剣朝雄「何でってオレこのままじゃ動けないだろ」
聖剣朝雄「それにここに持ってきたのお前じゃねえか」
リア・ルチュート「聖剣は最初に引き抜いた人物が選ばれた使い手になるのです」
日知 志久流「そういうシステムなの!?」
リア・ルチュート「それでは参りましょう・・・ 異世界の聖剣と使い手様──」
日知 志久流「なんでこんなことに!!」
〇城の回廊
冒頭の災い退治してからの祝勝会──
救国の聖剣朝雄「シグ・・・そろそろ帰らねばなるまい」
日知 志久流「そうだね あまり長居はできないね」
日知 志久流「父さんたちも心配してるだろうし・・・」
救国の聖剣朝雄「いや レコーダーのHDDがそろそろヤバイ」
日知 志久流「なんて!?」
救国の聖剣朝雄「今季予約多めだったの忘れてたし」
救国の聖剣朝雄「それに前季の処理も途中だったのよ」
救国の聖剣朝雄「オレの予測だと容量足りなくて今晩から録画できない!」
日知 志久流「・・・」
日知 志久流「せっかくの宴なんだしいきなり帰るのもどうかと思うよアニキ」
日知 志久流「リアさんにちょっと聞いてみようか?」
日知 志久流「リアさん ちょっといいですか・・・」
リア・ルチュート「はい なんでしょう?」
日知 志久流「この宴って長いんですか?」
リア・ルチュート「ええ 少なくとも3日は予定してますが?」
リア・ルチュート「それから勝利の祝典に凱旋パレードも計画しています」
日知 志久流「それって僕らも居ないといけませんか?」
リア・ルチュート「え!?」
リア・ルチュート「もうお帰りになられるのですか?」
リア・ルチュート「そんな・・・」
リア・ルチュート「皆が楽しみにしてるのに・・・うぅ」
日知 志久流「ああ」
日知 志久流「アニキ どうする?」
救国の聖剣朝雄「任せろ ここは何とかする」
救国の聖剣朝雄「いやそのまま帰る訳じゃないんですよ」
救国の聖剣朝雄「ウチの親が心配してるかもで一度報告に戻れないかなと」
リア・ルチュート「・・・」
リア・ルチュート「わかりました そういうことならお送りしましょう」
リア・ルチュート「まだ報酬もお渡ししてませんものね」
日知 志久流「ありがとうございます」
リア・ルチュート「3時間・・・」
リア・ルチュート「もあれば十分ですよね」
日知 志久流「ええ はい」
リア・ルチュート「譲歩してその時間・・・」
リア・ルチュート「時間が来たら縛ってでも連れ戻す」
リア・ルチュート「とかまでは言いませんよ・・・」
日知 志久流「!?」
日知 志久流「ははは」
リア・ルチュート「ふふふ」
〇シンプルな玄関
救国の聖剣朝雄「おお 家の前だ」
救国の聖剣朝雄「さっきの姫さんのやり取りなんかデジャブなんだが」
救国の聖剣朝雄「そうじゃなくてもあの笑みはヤバイ気がする」
日知 志久流「うん・・・そうだね」
日知 志久流「急いだ方がいいね」
ガチャり
「ただいまー」
日知 母「おかえり 早かったね」
日知 母「二人とも無事みたいだね」
日知 母「それでうまくいったのかい?」
日知 志久流「勝ったんだけど催しとかに出ないといけなくなってね」
日知 志久流「一度家に帰らせてもらったよ」
救国の聖剣朝雄「迎えが来るからそれまでに色々やらないといけないんだ」
日知 母「そうかい」
日知 母「戻らないといけないんだね・・・」
日知 志久流「何かあったの母さん?」
日知 母「それがね」
???「あなたたちが救世の剣者でしょうか?」
救国の聖剣朝雄「誰!?」
日知 志久流「もしかして」
日知 志久流「もしかして・・・別のとこから!?」
日知 母「そうみたい」
???「何のことでしょう?」
「どうしよう──」
おしまい
人間が剣になるという発想がすごい。剣になっても録画容量気にする朝雄さんのインドアオタク魂は健在ですね。依頼者が多そうだからお母さんがそのうち家族経営の「異世界お助けカンパニー(聖剣貸します)」とか開業しそう。
引っ張りだこですね!笑
しかし受け入れるのが早いというか…柔軟ですね。
それに危機感も無く、かなり肝が座ってる感じが魅力の一つかもしれません!
まさか最後に別の世界から使者が来るとは^^
読みやすくて面白かったです。