希望(脚本)
〇部屋の扉
深夜、一人の青年は苦悩していた。
仙「なんで、なんで俺なんだよ・・・!」
仙「これまで俺はどれだけ世界を救ってきたとおもってるんだ?」
彼は突如日本に飛来した「未知」を相手に戦うエースパイロット仙。
彼はこれまで多くの未知と戦い、世界を救ってきた。
未知にはそれぞれ違った能力、知能、性格が存在する。
ありとあらゆるものを溶かす者。
どれだけ切っても分裂する者。
世界を滅ぼすことを仕事としている者。
そんな未知と仙は対未知戦闘兵器ヘンドリクスに乗って戦った。
そして、
彼は最後から2番目の未知と対峙した。
〇東京全景
仙「はぁ・・・はぁ・・・」
仙「なんなんだこいつ・・・」
仙「俺の動きを完璧に読んでる──?」
ミラムス「ヒュオー」
未知からは表情や感情は一切感じ取れず
ただ高周波の不協和音を響き渡らせるだけだった・・・
仙「うるさいなぁもう!!」
ヘンドリクス「グオォォォォォオー!!」
仙「これでくたばれ!!」
七光りの閃光が未知を襲う──!!
────しかし
ミラムス「ヒュオー」
仙「・・・は?」
仙「何も効いてないのか・・・?」
ミラムス「────」
ミラムス「ヒューー!!!!!」
仙「な・・・なんだ!?眩しい・・・!!」
未知は突如として巨大な光に包まれた
〇渋谷のスクランブル交差点
衝撃波とともにすべての電子機器がショートした
その時──
〇渋谷のスクランブル交差点
世界中のモニターに映像が同時に映りだした。
仙「なんだ!?!?」
「何なの急に!?」
「ざわざわがやがや──」
〇黒背景
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ
〇炎
〇流れる血
〇骸骨
〇ゴシック
〇白
──
────
〇渋谷のスクランブル交差点
仙「今の・・・映像は・・・一体・・・?」
一般人A「巨大な爆発で人が・・・滅んだのか?」
一般人B「最後の未知がやったっていうの?」
一般人D「いいや違う!!とどめを刺したのは仙とヘンドリクスじゃ!!!」
一般人D「悪魔だ!!!!」
人々は希望が絶望に変わった。
世界中が恐怖し、混乱している中
一人の青年もまた混乱をしていた。
仙「いや、」
仙「いやいやいや待て待て待て!!」
仙「俺が世界を滅ぼすだって!?」
仙「馬鹿言うな!!!!」
「prrrrr・・・prrrrr・・・」
仙「もしもし?」
リン「こちらリン、仙くん聞こえる?」
リン「至急研究所に帰還してほしいの。あまりの緊急事態でね」
仙「えっ、あはい!!」
〇研究所の中枢
リン「マジでまずい事態ね・・・」
リン「大分断片的な映像ではあるけれど確認できるのは」
リン「仙の乗ったヘンドリクスによって最後の未知を倒すことに成功」
リン「しかし未知の自爆によって世界は建物の影しか残らない真っ白な世界へと変わってしまう・・・」
リン「人類はおろか地球にいるすべての生命が失われることになるわね」
仙「ちょ、ちょっと待ってください!!」
仙「こんな映像信用できないでしょ!?偽物に決まってるじゃないですか!!」
リン「現在プラネット・ナインより最終未知が襲来中なのよ」
リン「残念なことに映像とまーったく一緒のカタチをしたね」
仙「そんな・・・」
リン「今のままでは恐らく世界は崩壊してしまう」
リン「でももしかしたら未来を変えることができるかもしれないわ」
リン「最後の決断はあなたがするのよ」
リン「ヘンドリクスに乗って奇跡を信じて戦うのもよし」
リン「最後の日ですもの、好きなように過ごすのもよし」
リン「こんな決断、急にしろと言われても無理な話よね」
リン「私は最後までここにいるから」
リン「今日はほんとにお疲れ様。仙くん」
〇部屋の扉
深夜、一人の青年は苦悩していた。
仙「なんで、なんで俺なんだよ・・・!」
仙「これまで俺はどれだけ世界を救ってきたとおもってるんだ?」
仙「ここまで戦ってきたのは全部茶番だったってのかよ!!」
仙「みんな寄ってたかって俺のことを悪魔呼ばわりして・・・」
仙「みんなのために戦ってきたのに・・・」
仙「何を守ればいい・・・?」
仙「どうせみんな死んじゃうんじゃないか、守ったって意味なんかないんだ」
仙「リンさん・・・」
仙「希望・・・か・・・」
冒頭パジャマ姿で登場した彼がそんなとてつもない使命を担っているとは想像もつきませんでした。ヒーローであるはずの彼が、世界を滅亡する悪者にさえなり得る状況でどうか最良の策をみつけてほしいです。
民衆は好き勝手言うもので、戦っているヒーローにもそんな言葉を向けてしまうものなんですね。
彼の苦悩も絶大なものだと思います。
内面の心理描写がすごかったです。
ヒーローは正体を隠して世界の人間を守っている。未来の希望は誰しもが持っているのは間違いない。仙くん、どんな事にも挫けず頑張れ!