あやかし専門?! 探偵事務所

chinen-m

エピソード1(脚本)

あやかし専門?! 探偵事務所

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〇応接室
矢坂徹「相変わらず、しけたニュースばっかだな」
  ーある昼下がり
  矢坂は、閑古鳥が鳴く探偵事務所で新聞を読んでいた
美山莉琴「またストーカー事件があったんだって?」
矢坂徹「うわっ!莉琴いつの間に入ってきたんだよ!!」
美山莉琴「それより、また妖かしの仕業なんじゃない?」
矢坂徹「さぁ? ただのストーカーかもしれん」
  ここは人間だけでなく
  妖かしの事件も扱う探偵事務所なのだ
  ーカランコロン
  その時、滅多にならないドアベルがなった
依頼人「・・・すいません」
矢坂徹「・・・いらっしゃい?」
依頼人「お取り込み中でしたか?」
矢坂徹「・・・いえ」
矢坂徹「それで、どのようなご要件で?」
依頼人「・・・それが、最近、誰かに付けられているみたいで」
美山莉琴「ストーカー!?」
矢坂徹「詳しく聞かせていただけますか?」

〇ゆるやかな坂道
  ーいつも通り夜道を歩いていた時でした
  夜道に私だけの足音が響いていて
  ふと立ち止まると
  ・・・ベタ
  自分以外の足音が聞こえたんです
  振り返ると、陰に見知らぬ男が・・・
  男はニタァと笑って
謎の男「・・・お綺麗ですね」
  と横を通り過ぎていきました
  それから、立ち止まると足音が一歩多く聞こえるんです

〇応接室
矢坂徹「それで足音の正体を調べて欲しいと?」
依頼人「はい 仕事に支障がでますし・・・」
美山莉琴「うち依頼料お高いけど大丈夫?」
矢坂徹「・・・金と同等の対価でも良いがね」
依頼人「必ずきっちりお支払いするので、調査をお願いします!」
美山莉琴「まいどあり〜!! そんじゃ、今日は普段通りに過ごて下さい すぐ追いかけますから」
依頼人「では、家におりますね」
矢坂徹「って、莉琴またついてくる気か!?」
美山莉琴「当たり前 助けがいるでしょ?」
矢坂徹「あのなぁ・・・」
美山莉琴「まぁまぁ。いってみよー!」
矢坂徹「って勝手にいくなよ!」

〇遊園地
矢坂徹「・・・意外な場所だな」
矢坂徹「人通り多い場所に身を隠してるって、まさか遊園地とはね」
美山莉琴「にしても、相手が口裂け女とも知らずにストーカーするなんてアホね」
矢坂徹「は? 口裂け女って!?」
美山莉琴「・・・徹、気付いて無かったの?」
矢坂徹「あの依頼人、そんなこと言ってたか?」
美山莉琴「言わなくても分かるよ・・・ 徹、そんなんで仕事できてんの?」
矢坂徹「おいおい、まじか 久々の人間から依頼だと思ったのによぉ」
美山莉琴「・・・呆れた」

〇お化け屋敷
美山莉琴「ホラーアクション内とは考えたね」
矢坂徹「って、如何にも怪しい奴いんぞ」
美山莉琴「まじのストーカーじゃん」
矢坂徹「人間だよな?」
矢坂徹「あ、どっか行くぞ!!」
美山莉琴「追いかけよう!!」

〇暗い廊下
謎の男「すぅー」
謎の男「あの人の近くにいるだけで空気まで良いな」
謎の男「・・・この空気持ってかえろ」
美山莉琴「・・・キモ」
矢坂徹「ストーカー野郎で間違いなさそうだな」
矢坂徹「依頼人に直接接近するまで待つか」
美山莉琴「そうだね・・・」
  ーバタン!!
  その時、矢坂が急に倒れ込む
美山莉琴「徹、大丈夫か?!」
  揺るもビクともしない
  ・・・ベタ
  どこからか足音が聞こえた
「誰かいるのか!?」
  ・・・ベタベタベタベタベタベタ
  歩き回る足跡を聞きながら、莉琴は意識が遠のくのを感じた
「・・・うぅ」

〇暗い廊下

〇ストーカーの部屋
依頼人「矢坂さん!!」
矢坂徹「うぅ・・・」

〇ストーカーの部屋
矢坂徹「・・・ここは?」
依頼人「私も分からなくて・・・」
矢坂徹「莉琴起きろ!!」
美山莉琴「うぅ〜ん、わ、何このキモい部屋!?」
美山莉琴「ストーカー野郎とおねーさんの写真だらけ!!」
矢坂徹「だが、何で依頼人まで閉じ込める必要がある?」
美山莉琴「相当なアホとか?」
依頼人「ドアも鍵がかかってるようです」
美山莉琴「そんな時は、莉琴ちゃん七つ道具♪」
  ーカチャカチャ
  ガチャリ!!
美山莉琴「やりぃ~♪」
矢坂徹「お前、本当に何でもできるんだな・・・」

〇廃列車
美山莉琴「何ここ?」
依頼人「何かジメジメしていて臭いますね・・・」
矢坂徹「なんだこりゃ? 動物の抜け殻?」
美山莉琴「それに骨?」
依頼人「そ、それ、多分、人間の皮と骨です!!」
矢坂徹「まじか・・・ とんだサイコパスキラーか!?」
男の声「ぎゃぁあああ!!!! 誰か助けてくれー!!!!」
美山莉琴「今度は何!?」
矢坂徹「とにかく、声がする方に急ぐぞ!!」

〇坑道
謎の男「うぎゃぁあ!!」
矢坂徹「いたぞ!」
美山莉琴「何アレ!? キモい!!」
依頼人「ベトベトさん!」
「ベトベトさん!?」
矢坂徹「凶悪な妖怪か?」
美山莉琴「夜道を歩くとついてくる妖怪だよ」
矢坂徹「足音もコイツの仕業か」
依頼人「危害を加えないと言われているのに・・・ どうして?」
  その間にも男はベトベトさんに吸収されていく
ベトベトさん「ベトォベとぉ!」
謎の男「うっ、せめて死ぬ前に僕の女神に思いを伝えたかった・・・」
依頼人「・・・そこまで私のことを」
謎の男「僕の女神・・・?」
依頼人「あなた、私を綺麗と言ってくれたわ もしマスクを外しても、そう言ってくれるの・・・?」
謎の男「そりゃそうさ どんな姿だったとしても君を愛してる」
依頼人「・・・これでも?」
謎の男「あぁ、とても綺麗だ・・・」
謎の男「最後に君の本当の姿が見れてよかった・・・」
  その時、ベトベトさんに火の玉が命中した
ベトベトさん「ぎゃあぁおおおお!!」
矢坂徹「妖怪さんよぉ、人間なめてもらっちゃ困るぜ!!」
美山莉琴「ナイスヒット~!」
矢坂徹「莉琴こそ、靴下投擲に火をつけるとは最高だぜ!」
ベトベトさん「ベトベトベトォ!!!!」
矢坂徹「何か、滅茶苦茶怒ってるぞ」
  ベトベトさんは矛先を変え、向かってくる
依頼人「待ちな!!!!」
依頼人「私がこいつの相手をしている内に、その人を連れて逃げて!!」
矢坂徹「今の内に逃げるぞ!」
美山莉琴「うん!」

〇洞窟の入口
美山莉琴「はぁはぁ・・・ ここまで来れば大丈夫かな」
矢坂徹「おい兄ちゃん!?」
  男はもう虫の息で、意識ないようだった
謎の男「・・・」
依頼人「間に合った・・・」
美山莉琴「おねーさん!?」
矢坂徹「コイツ、もう意識が・・・」
依頼人「いいの」
依頼人「私、初めて知った」
依頼人「愛って心が温かくなるのね」
依頼人「ねぇ、また私の元に戻ってきてくれる?」
依頼人「・・・うんと言って」
依頼人「うぅううあああああん」
  口裂け女は、もう動かない男を抱きしめ、夕陽が落ちるまで泣き続けた

〇黒
  ── 後日、口裂け女から
  矢崎探偵事務所にまた依頼が来た

〇教会内
矢坂徹「それで、改めてご依頼っていうのは?」
依頼人「・・・式に出て頂きたくて」
「え!?」
美山莉琴「式って!?」
依頼人「結婚するんです、この人と」
矢坂徹「死んだはずじゃ?」
依頼人「ちょっといじくって蘇生しました」
謎の男「今日は僕の新たな誕生日さ 最高に幸せだよ」
依頼人「私も」
美山莉琴「これハッピーエンド?」
矢坂徹「・・・多分な」
  ────おしまい────

コメント

  • ストーカーさんの愛が深くて、素敵なカップルが出来上がりましたね。
    でも、そんなに愛されたら心惹かれるのもわかる気がします。
    二人ともお幸せに!

  • 口裂け女もやはり女なんですね。ストーカーの愛に負けたね。これはハッピーエンドでしょう。ところで、探偵さんの活躍が殆どありませんでした。頑張れ。

  • まさかの異色カップルの誕生!
    変わってるもの同士お似合いなのかな?
    でも自分のコンプレックスを綺麗だと言ってくれる人、確かに心があったかくなりそう!

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