読切(脚本)
〇女の子の部屋(グッズ無し)
るぅ子「うわ、雪降ってる! 八月なのにどうなってんだよ・・・・・・」
るぅ子「わくわく止まんねえじゃん! 雪だるま作ろうぜ!」
ニーナ「やだよ、寒いし」
さおりさん「あら、夏の雪だなんてロマンチックだわ」
ニーナ「異常気象にロマンチックもなにもなくね?」
るぅ子「おいおい、否定ばっかすんなよ だから胸じゃなくて腹に肉がつくんだぞ」
ニーナ「関係ないだろ! 殴るぞ!」
るぅ子「暴力的だよなぁ、お前って それじゃ私たちみたいないい女になれないぞ」
るぅ子「な、さおりさん」
さおりさん「うふふ、そうね」
さおりさん「るぅ子さんはともかくとして、私のようないい女になるには品も必要よ るぅ子さんはともかくとして」
るぅ子「おい、殴るぞ!」
ニーナ「暴力的なのはいけないんじゃなかったのかよ」
るぅ子「私はいいの」
ニーナ「ガキ大将かよ、お前は」
さおりさん「というより、お山の大将?」
ニーナ「あー、モンキー?」
さおりさん「そう、可愛いでしょ?」
ニーナ「可愛いかは別として猿ってのはわかる 進化しきれてないよな、主に頭が」
さおりさん「うふふ」
るぅ子「誰が猿だよ! 立派な人間だよ!」
ニーナ「誰のせいでいま腹を空かせてると思ってんだ お前が昨日「パーティーだ」とか言ってバカみたいに備蓄を食い尽くしたからだろ」
ニーナ「立派な人間はそんなことしないんだよ!」
さおりさん「お猿さんのほうがもう少しお利口かもね」
るぅ子「ぐぅ・・・・・・正論過ぎてぐうの音も出ない・・・・・・」
るぅ子「悪かったって、だからいま何か食うもんないか探してきたんじゃん!」
ニーナ「で、なんかあった?」
るぅ子「なにがあったら嬉しい?」
ニーナ「あ? 合コンのめんどくせぇ女かよ」
さおりさん「わぁ、都市伝説のあれね 質問に質問で返す女、初めて見たわ!」
るぅ子「あ、そうだ ふたりはさ、最後の晩餐なに食べたい?」
ニーナ「急になんだよ 思いついたことすぐ口に出す癖なおせよ」
さおりさん「でも、落ちてるものなんでも口に入れる癖よりはマシじゃない?」
ニーナ「そりゃそうだけど、比べる相手が弱すぎるだろ・・・・・・」
るぅ子「その癖なら小学校と一緒に卒業したから大丈夫」
ニーナ「さらっと問題発言すんな」
るぅ子「で、最後の晩餐」
ニーナ「はいはい、何食べたいかって話な」
るぅ子「私は絶対ステーキ!」
ニーナ「お前が最初に言うのかよ 普通言い出した奴は最後だろ」
るぅ子「早い者勝ち! ふたりはステーキ以外でお答えください!」
ニーナ「なんで重複ダメなんだよ」
さおりさん「私はステーキとかキャビアとかフォアグラとかトリュフとか飽きちゃってるから」
るぅ子「ぐっ、嫌味なやつ・・・・・・」
さおりさん「餃子かしら」
ニーナ「え、意外」
さおりさん「ニンニクたっぷり入れて食べてみたいの 普段だと匂いがね」
ニーナ「確かに次の日気になるもんな」
るぅ子「え、匂いなんて気にしなくない?」
ニーナ「お前は気にしろ 二度とあの弁当持ってくんなよ」
るぅ子「ニンニクマシマシ納豆キムチくさや弁当のこと?」
ニーナ「それだよ、その気が狂った弁当だよ どこで買ったんだよ」
さおりさん「あれは強烈だったわねぇ」
ニーナ「弁当で呼び出しくらったのなんて歴史上でお前くらいだろ」
るぅ子「えへへ」
ニーナ「褒めてねぇ」
さおりさん「ニーナさんは? 甘いものが好きだからパフェとか?」
ニーナ「あー、おにぎりとか?」
るぅ子「うわ!好感度あげにきたぞこいつ!」
さおりさん「あら、意外と安定志向なのね」
ニーナ「な、なんだよ、いいだろ別に!」
るぅ子「なんだ照れてんのか?」
ニーナ「うっせぇ!こっちみんな!」
るぅ子「でも、ちょうどよかった そんな好感度モンスターニーナへ朗報があるぜ!」
ニーナ「好感度モンスターてなんだよ!」
さおりさん「あら、なにかしら?」
るぅ子「ふっふっふ、それはこれだ! じゃーん!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
るぅ子「なにか反応してよ」
ニーナ「なんで朗報なんだよ、これが」
るぅ子「なんでっておにぎり煎餅だぞ? 最期に食べたいって言ったじゃん!」
ニーナ「私が食べたいのはおにぎりで煎餅じゃない!」
るぅ子「なんだよ、ほぼ一緒だろ! あたりめとスルメくらい一緒だろ!」
さおりさん「それは完全に同じものね」
るぅ子「オーストリアとオーストラリアくらい一緒だろ!」
ニーナ「それは全然別物だバカ」
るぅ子「な、な」
ニーナ「そもそも最後の晩餐の質問がバカだよな 希望出せるような状況なのかよ 食えるだけマシだろ」
さおりさん「そうねぇ 実際、いま目の前にあるのはおにぎり煎餅なわけだし」
るぅ子「なんだよ、ふたりして! もう知らないかんな! これは私ひとりで食ってやる!」
「・・・・・・・・・・・・」
るぅ子「いまさら分けてくれって言ってもダメだかんな! ほんとだぞ!」
さおりさん「なんだか止めて欲しそうにゆっくり部屋から出ていったわね」
るぅ子「もう玄関出ちゃったかんな!」
ニーナ「元気なやつ・・・・・・蝉の代わりにバカがうるさいときた」
るぅ子「もう袋開けたかんな!」
さおりさん「・・・・・・でも、私救われてるわ」
ニーナ「・・・・・・まあ、それは私も」
さおりさん「明日地球が滅亡するって時にあんなに明るくいられないもの、普通」
ニーナ「空一面に隕石が見えるのに外出る勇気ないもんな、普通」
ニーナ「あいつはすごいよ バカだけど」
さおりさん「そこがいいところ、でしょ」
ニーナ「・・・・・・否定はしない」
さおりさん「照れ屋さん」
ニーナ「うるさいな、もう」
ニーナ「でも、ふたりがいてくれてよかった もしひとりだったら・・・・・・」
さおりさん「それは私もよ ありがとう、友達でいてくれて」
るぅ子「うわ!雪すげー! ニーナ! さおりさん! 雪だるま作ろうぜ!」
さおりさん「呼んでるわよ」
ニーナ「あーうるさ ほんっと仕方ない奴」
さおりさん「そんなこと言いながら出てあげるのね?」
ニーナ「ほっといたほうがめんどくさいって」
さおりさん「そう? じゃあ、そういうことにしときましょうか」
ニーナ「あ、なんだよその顔 なに笑ってんだよ」
さおりさん「笑ってませんよ、うふふ」
るぅ子「ふたりともおせぇよ! おら!」
ニーナ「うわ、てめ!やったな!」
さおりさん「きゃあ! 雪合戦なんて初めて!」
るぅ子「おらおらおら!」
ニーナ「倍返しだ!」
さおりさん「たしか中に石を詰めるのよね!」
るぅ子・ニーナ「それはやめろ!!」
本当に仲の良い信頼できる友達同士じゃないとあんなツッコミもできないですね。大人になるとそんな楽しい関係が築きにくくなるので羨ましいなと思いながら読みました。
非日常の中の日常って面白かったです!
こんな時でもみんなで仲良くしてるのっていいな、と思います。
心が温まる作品でした!
日常の女の子たちのお話ですね!
しかし気象は非日常…。
何かあっても楽しく仲良くいられるのが一番安心しますね!
楽しく読ませたいただきました!