地獄の解答席

オスシトキオ

読切(脚本)

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〇廃倉庫
  本番は、明日である。
  その日を無事迎えるために、かなりの労力と財力をついやした。
  必死で貯めたお金なんてちっぽけなもので、一度はあきらめかけたが、
  そこからなんとか一発逆転をかけ、株式トレーダーになり、億万長者となったのだ。
  すごいサクセスストーリーだといえる。
  しかし、目的は、億万長者ではない。
  ・・・。
  ここは、港町の廃工場である。
  お金さえあれば、秘密裏にこんな工場すら借りられるのだ。
  そして、ここに、五人のお年寄りが、
  クイズ番組でよく見るような解答席に座っており、全員ぐっすりと寝かされている。
  解答席はリクライニング仕様で、各自ほどよい角度を実現。
  寒さ対策も万全で、高級ホテルのベッドとも遜色のないレベルである。
  お金さえあれば、こんな見ず知らずのお年寄りを五人集め、
  クイズ大会を実施することも可能なのだ。
  ・・・。
  本番は、明日である。

〇殺風景な部屋
  本番当日。
  出入口は封鎖され、密室である。
  五人のお年寄りはすっかり目を覚まし、緊迫の表情。
ジョウ「クイズするんだっけ・・・?」
しょう子「ここ、どこ? あんたら、誰?」
ひさし「んー」
たのすけ「とりあえず、二度寝したい」
太郎「はい。地中海!!」
しょう子「あんたら、誰?」
  お年寄りたちの目の前に作られた高さ三メートルくらいある台の上に、
  私はいた。
  オオカミの覆面で顔を隠した私が、司会進行をつとめる。
  ぎょうぎょうしいファンファーレが鳴り、私は盛大に告げた。
私「みなさんにお集まりいただいたのは、」
私「そう、デスゲームをして貰う為です!!」
太郎「いやじゃーーーーーー!!」
  突然、太郎が叫び、パニックを起こした。
  そのショックで、ぐったりと倒れ伏し、
  まったく動く気配がない。
  ジョウが急いで解答席から立つと、太郎の脈や呼吸などを確認する。
ジョウ「死んでる・・・」
私「え・・・」
  ぐったりとした太郎を見て、今度はしょう子がパニックを起こした。
  そして、しょう子もそのショックで・・・。
私「うそ・・・」
たのすけ「ひー!!」
ひさし「目の前で生き死にがーーー!!」
  それを見て、次々と連鎖が起こり・・・。
ジョウ「今すぐに救急車を呼んでくれ!!」
  ジョウの声が、こだました。
私「・・・優勝者には、一億円をキャッシュで差し上げます」
私「優勝者以外には、死んで貰います・・・」
私「では、問題です・・・」
  ジャジャン、とジングルが鳴る。

〇川沿いの道
  この他にも、さまざまなゲームを用意していたが、すべておじゃんになった。
  べつに本当に死んで貰おうなんて考えていなかった。
  本当に。
  まじで。
  だが、もうちょっと若い人でやったほうがよかったのかもしれない。
  遠足なんかも前日の夜が一番ドキドキして楽しいというが、そうかもしれない。
  ・・・。
  お金ですべてを処理した後、ひとけのない道で夜風にあたっていたら、
  突然、何者かに連れ去られてしまった。
  気が付いたら、私はどこかのさびれた工場の中にいたのである。
  まさか自分と同じような輩(やから)がいたとは・・・。
  隣にジョウの姿があったが、彼は私の顔を知らなかった。
私「ジョウ・・・」
  私は、冷静さを保つことだけを考えた。
  (了)

コメント

  • 楽しい!お話しでした、オチがそうだった?!みたいな感じでクスッと笑わせて頂きました。楽しくお話しが展開されていてよかったです。

  • なるほど!!あなたもお年寄りだったんですね。全く想像していなかったのでびっくりしました。どおりで快適な角度に詳しいわけですね…。途中のゲーム展開の意外な早さで驚いて、これ以上に驚くことはなさそうだな…と安心していたので不意打ちでした。面白かったです。

  • 因果応報ということでしょうか。
    大金を積んで危ない橋を渡って失敗し、加害者から被害者へ。
    世の不条理を描いたような作品ですね。
    主人公にはどんな結末が待っているのか、想像すると楽しいですね。

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