第一話(脚本)
〇西洋の街並み
レティシアはふと、窓の外を見つめた
レティシア「ひと雨降りそうな曇りゆき...」
〇古書店
レティシア「早くお帰りになられたほうがいいですよ?」
レティシア「テグリスさん」
テグリス「構わん、今夜は帰らない」
レティシア「え、どうなさるおつもりですか...」
テグリス「そなたが眠るまで添い遂げる」
レティシア「ええ...;」
テグリス「...嫌か?」
レティシア「・・・っ」
レティシア「嫌ですっ」
レティシア「わたし、寝言がヒドいらしくて..っ」
レティシア「幼い頃、親しかった子に「レティは寝言がハッキリしていておちおち眠れない」と」
レティシア「寝不足にさせたことがありまして...」
レティシア「なので、添い遂げは難しいと思います」
テグリス「ほお...;」
レティシア「ですから、」
レティシア「はい!この傘!」
テグリス「おお...」
レティシア「返すのは今度で構いませんので」
レティシア「お気を付けて!」
〇西洋の街並み
テグリス「・・・」
テグリス「ふふふっ....」
テグリス「添い遂げるとは、そういう意味で 申したわけでは無いのだが...」
テグリス「寝言か...」
テグリス「聞いてみたいものだな」
〇古書店
レティシア「はあ~~~」
レティシア「帰ってくれて良かった~」
レティシア「本当に寝言が大変だから、」
レティシア「恥ずかしいことを聞かれたらとおもうと わたし自身がおちおち眠れないものっ」
レティシア「はあ~よかったわ♪」
〇謁見の間
ヨル「テグリスっ!テグリスは居るかっ!」
テグリス「はっ!ここにおります」
ヨル「先ほどは、何処(いずこ)にいた?」
テグリス「ずっと城内にて待機しておりました」
ヨル「そうか...」
ヨル「ではその靴に付着した砂は、 城内のどこにあるというのだ?」
テグリス「・・・」
テグリス「・・・ソルトでございます」
ヨル「貴様あっ!」
ヨル「やはり城下へ行ったのであろう? ? なぜ隠す!」
テグリス「・・・はあぁぁ」
テグリス「秘密です」
ヨル「ちょっ、ため息を付くでない! ! お前口が硬すぎるぞ! ?」
テグリス「殿下の、」
テグリス「言葉数が多いのです」
テグリス「良きことです」
ヨル「なっ...くうぅぅ~~」
ヨル「...お前は、従者としての腕は確かだが」
ヨル「敵陣にならまだしも、味方にまで 他言無用なのがどーも如何(いかん)せん」
ヨル「少しは、言葉数を増やしてはくれぬか?」
テグリス「・・・」
テグリス「失礼します」
ヨル「あ...」
ヨル「ん~~...」
ヨル「テグリス...どうしてあんな塞ぎがちに なってしまったのやら、」
ヨル「私のことが重荷なんだろうか...」
ヨル「あやつの心を開くきっかけが欲しいな~」
〇西洋の街並み
翌日、テグリスはヨルからの呼び出しが
無い時間帯を把握しているため、
いつもの時間に城を抜け出し、足を運んだ
のはレティシアのいる図書館だった
その後ろから、ヨルはテグリスの
跡をつけ歩いていた
ヨル「まったく、あやつ城下を歩くのに防護服を 身にまとったまんまとは」
ヨル「私とて着替えているというのに...! !」
ヨル「いったい何をしに城下へ──」
ヨル「おっ」
テグリス「・・・」
ヨル「店?に入っていったな、」
ヨル「なんの店だ...?」
〇古書店
レティシア「あれー? ?」
レティシア「確か3段目のここにあったはずだけど...」
レティシア「無いな~」
レティシア「あ!」
レティシア「あんな高いところに...」
レティシア「ハシゴでどうにか取れるかなぁ」
レティシアははじこを立て掛けて、
ゆっくりのぼり始めた
目当ての本に手を伸ばす際に、はしごから
手を放した瞬間──
はしごの脚がぐらつき、
だんだんとレティシアの身体が
後に倒れていった
レティシア「いった...」
レティシア「くない? ?」
テグリス「いった...」
レティシア「テッ...」
レティシア「テテテッテグリスさんんん! ! ! ? ?」
レティシア「どっどうして?あ!お怪我してませんか?」
テグリス「平気だ、」
テグリス「身を案ずるための防具を装備している故」
テグリス「そなたの方こそ、何処も負傷してないか?」
レティシア「テグリスさんが、そのっ... 救ってくださったので」
レティシア「ほら、このとおり♪無事です!」
レティシアは、仁王立ちになり、
自身の足で立てていることをみせた
テグリス「ふふっ、よかった」
ヨル「なんてことだ! ! !」
レティシア「わっ!」
レティシア「だ、誰ですの?」
テグリス「この国の、殿下で在らせられます」
レティシア「えええっ、殿下?」
ヨル「おおーーテグリスよ!この者には 一言ならず、二言三言も申すではないか!」
ヨル「ここはお前の気が休まる場 ということなのか? ?」
テグリス「・・・」
レティシア「テグリスさん?」
テグリス「・・・っ」
テグリス「・・・っっ」
ヨル「ふむ....」
ヨル「ああ! !」
ヨル「テグリスよ!怪我をしているではないか」
テグリス「え」
レティシア「ええっ! ?どこですか? ?」
ヨル「ほら右腕だ! !骨が折れてるな、 私は骨が折れているかを察知できるからな」
テグリス「いえ、まったく...;」
レティシア「強がらないで? ?テグリスさん!」
テグリス「っ! ?」
レティシア「骨折なんて、一大事ですよ! ?」
レティシア「あああっ...わたしのせいで...」
テグリス「いやっ、そなたのせいでは...」
ヨル「ああーヽ(´Д`;)ノ 寄りにもよって利き腕をっ...」
ヨル「娘よ!」
レティシア「はっはい...!」
ヨル「我が従者に外傷を負わせたとして、」
ヨル「傷が癒えるまで我が城に 仕えることを命ずる!」
レティシア「え?は、はいっ!傷が癒える手当てを させてくださるのですよね?お願いします」
テグリス「・・・っ」
テグリス「・・・っっ」
好きとか嫌いの記述がないのに、3人の登場人物がそれぞれ素敵な感じの人達で、彼らの関係がどのように彩られていくのかとても楽しみです。