家族X(エックス)

komarinet

謎の家族(脚本)

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〇おしゃれなリビングダイニング
木寺 亜梨澄(ありす)「もぐもぐ」
木寺 真理(まり)「亜梨澄、あんた今朝部活だっけ?」
木寺 亜梨澄(ありす)「ん? そうだよ」
木寺 亜梨澄(ありす)「お兄ちゃん、醤油とって」
木寺 琢磨(たくま)「あんまりかけると高血圧になるぞ?」
木寺 亜梨澄(ありす)「大丈夫よ。界斗、醤油いる?」
木寺 界斗(かいと)「いるー。じいちゃんは?」
工藤 直(あたる)「もらおう」
工藤 沙羅(さら)「駄目ですよ。内科の先生にも 言われてるでしょう?」
家族X(エックス)「そうですよ。 醤油は預かりますね」
工藤 直(あたる)「んあっ! エックス、テメェ!」
工藤 沙羅(さら)「エックスの言うとおりです!」
工藤 直(あたる)「バーロー! 醤油無しで目玉焼きが食えるかっ!!」
工藤 直(あたる)「こんな家、出て行ってやる!」
工藤 沙羅(さら)「あなた!」
家族X(エックス)「私、追いかけてきます!」
工藤 沙羅(さら)「あ、いいのよ。 いつものことだから」
木寺 亜梨澄(ありす)「そうよ、放っときなよ」
木寺 亜梨澄(ありす)「どうせ三日後には 帰ってきて土下座だから」
木寺 亜梨澄(ありす)「そういうプレイなのよ、あれは」
家族X(エックス)「プ、プレイ」
木寺 亜梨澄(ありす)「なによ、エックス。赤くなって。 照れてるの?」
木寺 亜梨澄(ありす)「ウケるんだけど」
木寺 真理(まり)「亜梨澄! エックスをからかわないの」
木寺 亜梨澄(ありす)「はーい。ごちそうさま」

〇綺麗な一戸建て
木寺 亜梨澄(ありす)「行ってきまーす」
家族X(エックス)「行ってらっしゃい!」
御門 晴樹(はるき)「亜梨澄、おはよう」
木寺 亜梨澄(ありす)「おはよう、晴樹。 サッカー部も朝練?」
御門 晴樹(はるき)「まあな、それより」
御門 晴樹(はるき)「あれ、なんだ?」
御門 晴樹(はるき)「式神? いや霊か?」
木寺 亜梨澄(ありす)「何のこと?」
御門 晴樹(はるき)「お前んちから出てきたアレだよ」
御門 晴樹(はるき)「お前、何かに取り憑かれてんの?」
木寺 亜梨澄(ありす)「えっ? あれ、エックスだよ」
御門 晴樹(はるき)「エックス?」
木寺 亜梨澄(ありす)「そう。私の家族」
木寺 亜梨澄(ありす)「家族のエックスよ」

〇大きな木のある校舎

〇教室
門倉 美麗(みれい)「知らなかったの?」
木寺 亜梨澄(ありす)「むしろ知らなかったのがびっくり」
拝島 翔(しょう)「どうしたんだ?」
門倉 美麗(みれい)「あ、聞いてよ翔」
門倉 美麗(みれい)「晴樹ってば、 エックスのこと知らなかったらしいよ」
拝島 翔(しょう)「えー!  お前ら中学からの付き合いだろ?」
木寺 亜梨澄(ありす)「一度も見たことなかったんだって」
木寺 亜梨澄(ありす)「週末は大体いるのにさ」
門倉 美麗(みれい)「エックスが作るお菓子、美味しいんだよね」
拝島 翔(しょう)「そうそう。 ガトーショコラ、旨かったなぁ」
御門 晴樹(はるき)「・・・」
御門 晴樹(はるき)(何だ、これは)
御門 晴樹(はるき)(俺以外、あのエックスとかいう奴を すんなり受け入れている)
御門 晴樹(はるき)(まるで、俺が間違っているかのように)

〇神社の本殿
御門 令明(なりあき)「なるほど。『認識阻害』か」

〇畳敷きの大広間
御門 晴樹(はるき)「認識阻害?」
御門 令明(なりあき)「人心に作用し、虚を実と信じさせる技よ」
御門 令明(なりあき)「お前はこの世の理からちと 外れとるでな」
御門 令明(なりあき)「だからそのエックスとやらが おかしく見えたのじゃろうて」
御門 晴樹(はるき)「悪いものじゃないのか?」
御門 令明(なりあき)「さあのう」
御門 令明(なりあき)「じゃが、かわいい孫の友人じゃ」
御門 令明(なりあき)「ちと”視”てみるかのう」

〇黒背景
御門 令明(なりあき)「むんっ」

〇畳敷きの大広間
御門 令明(なりあき)「・・・」
御門 晴樹(はるき)「どうだった?」
御門 令明(なりあき)「ありゃ駄目だ。儂等とは住む世界が違う」
御門 晴樹(はるき)「えっ?」
御門 令明(なりあき)「陰陽道では解明できんということだ」
御門 令明(なりあき)「悪いことは言わん。晴樹」
御門 令明(なりあき)「あのエックスとかには近づくな」
御門 晴樹(はるき)「何でだよ」
御門 令明(なりあき)「理が違えば護ることも戦うこともできん」
御門 令明(なりあき)「お前にはこの家を継ぐ使命がある」
御門 令明(なりあき)「それを忘れるな」
御門 晴樹(はるき)「・・・」

〇綺麗な一戸建て

〇おしゃれなリビングダイニング
木寺 亜梨澄(ありす)「・・・」
家族X(エックス)「亜梨澄。どうしたんですか?」
木寺 亜梨澄(ありす)「あ、ううん。別に」
木寺 亜梨澄(ありす)「お腹減っちゃったなーって」
家族X(エックス)「そうですか」
家族X(エックス)「確か冷蔵庫に何かあったと思います」
木寺 亜梨澄(ありす)「・・・」

〇おしゃれなキッチン
家族X(エックス)「んー、これとこれで」
家族X(エックス)「はい、どうぞ」
木寺 亜梨澄(ありす)「ありがと」
木寺 亜梨澄(ありす)「部屋で食べるね」
家族X(エックス)「食べ過ぎないで下さいね」

〇女の子の部屋
木寺 亜梨澄(ありす)「・・・」

〇通学路
木寺 亜梨澄(ありす)「エックスが化け物? マジウケるんだけど」
御門 晴樹(はるき)「じゃあ聞くが、 エックスはお前のなんだ?」
御門 晴樹(はるき)「母親とか弟とかペットとか 家族ならある呼び方があるだろ」
御門 晴樹(はるき)「もしそれがないなら、あいつは・・・」
木寺 亜梨澄(ありす)「ちょっと!」
木寺 亜梨澄(ありす)「それ以上、変なこというなら 晴樹でも怒るよ!」
木寺 亜梨澄(ありす)「エックスは私が生まれたときから 一緒に暮らしてる」
木寺 亜梨澄(ありす)「私にとって、大切な家族なの!」
御門 晴樹(はるき)「すまない」
御門 晴樹(はるき)「初めて会ったタイプだから 驚きすぎてしまったみたいだ」
御門 晴樹(はるき)「悪かったな。忘れてくれ」
御門 晴樹(はるき)「じゃあ、また明日」
木寺 亜梨澄(ありす)「・・・」

〇女の子の部屋
木寺 亜梨澄(ありす)(あれからずっと、気になってる)
木寺 亜梨澄(ありす)(親でもなければ兄弟でもない ペット? それも違う)
木寺 亜梨澄(ありす)「エックスって、一体」

〇綺麗な一戸建て
木寺 亜梨澄(ありす)(めちゃくちゃ旨いわ・・・)

〇大きな木のある校舎

〇教室
先生「ちゃんと事前に配ったからな」
先生「家の人に渡すんだぞ」
木寺 亜梨澄(ありす)「・・・」
木寺 亜梨澄(ありす)「授業参観かあ」
門倉 美麗(みれい)「もう、嫌になっちゃうよね」
門倉 美麗(みれい)「親なんか来たって・・・あ」
門倉 美麗(みれい)「ごめん、亜梨澄んとこ」
木寺 亜梨澄(ありす)「ううん、いいの」
木寺 亜梨澄(ありす)「お母さん、仕事だろうし。 むしろ気楽よ」
木寺 亜梨澄(ありす)「ちょっとメイク直してくる」
門倉 美麗(みれい)「あ、うん」
御門 晴樹(はるき)「亜梨澄のやつ、どうしたんだ?」
門倉 美麗(みれい)「はあ、ここにも無神経がもう一人」
御門 晴樹(はるき)「何だよ」
門倉 美麗(みれい)「知ってるでしょ、亜梨澄のお父さんは──」
門倉 美麗(みれい)「──」
御門 晴樹(はるき)(えっ!?)
御門 晴樹(はるき)(また違和感だ。 あいつの父親は確か──)

〇綺麗な一戸建て
木寺 亜梨澄(ありす)「ただいまー」

〇おしゃれなリビングダイニング
木寺 真理(まり)「おかえりー。ご飯出来てるよ」
家族X(エックス)「今日はアジの南蛮漬けです」
木寺 亜梨澄(ありす)「わーい、あっがるー!」
木寺 亜梨澄(ありす)「あ、そうそうお母さん。 来月の23日って何してる?」
木寺 真理(まり)「来月の23日? っていうと木曜か 普通に仕事だと思うけど」
木寺 真理(まり)「学校の用事とかならお休みとるわよ?」
木寺 亜梨澄(ありす)「あ、ううん。いいんだ」
木寺 亜梨澄(ありす)「暇だったら買い物つきあって もらおうかなーって思っただけ」
木寺 真理(まり)「なんだ。平日だから仕事よ、普通に」
木寺 亜梨澄(ありす)「わかった」
木寺 亜梨澄(ありす)「・・・」
家族X(エックス)「・・・」
家族X(エックス)「・・・」

〇大きな木のある校舎
  授業参観当日

〇教室
先生「さて、皆さん。本日は授業参観ですが」
先生「いつも通りでいいですからね」
生徒「先生ー! 年に数回しかしない ネクタイはいつも通りなんですか?」
先生「そこは言わないでくれよー!」
  あははははっ
木寺 亜梨澄(ありす)(ま、私はいつも通りだけどね)
木寺 亜梨澄(ありす)(家族なんて誰も来てないし)
木寺 亜梨澄(ありす)(いつも通・・・)
木寺 亜梨澄(ありす)「エックス!?」
先生「木寺? どうした?」
木寺 亜梨澄(ありす)「あっ、いえ。何でもありません」
木寺 亜梨澄(ありす)(何しれっと来てんのよ)
木寺 亜梨澄(ありす)(あんた保護者じゃないでしょー!)
御門 晴樹(はるき)(気にしない・・・ 気にしないぞ!)

〇大きな木のある校舎
先生「では、次の問題を──」

〇教室
先生「木寺、答えられるか?」
木寺 亜梨澄(ありす)「はい」
木寺 亜梨澄(ありす)「主人公は、親の仇である彼を 心から愛してしまったからです」
先生「うん、正解。 主人公の心情をよく理解してるな」
家族X(エックス)「いいぞー、亜梨澄ー!」
家族X(エックス)「奥さんご覧になりましたか あれ、うちの亜梨澄なんです」
家族X(エックス)「ご主人ご覧になりました? 本当、自慢の家族なんですよ」
木寺 亜梨澄(ありす)(ひいい、止めて! 恥ずかしい!)
御門 晴樹(はるき)(色が変わってる!?)
御門 晴樹(はるき)(いや駄目だ、気にするな俺!)

〇大きな木のある校舎

〇まっすぐの廊下
木寺 亜梨澄(ありす)「はー、終わった」
木寺 亜梨澄(ありす)「エックス、一緒に帰ろ」
木寺 亜梨澄(ありす)「あれ? エックス?」

〇高い屋上
家族X(エックス)「亜梨澄のことで話があるとは 一体何でしょう」
家族X(エックス)「告白とかなら、 直接本人にしたほうが・・・」
御門 晴樹(はるき)「そんな軽口で俺を誤魔化せると思うな」
御門 晴樹(はるき)「普通の人間は騙せても 俺の目は騙せないぞ」
御門 晴樹(はるき)「正体を現せ、異形!」
家族X(エックス)「・・・」
家族X(エックス)「そうですか。あなたには私が おかしなものに見えるのですね」
御門 晴樹(はるき)「そうだ」
御門 晴樹(はるき)「亜梨澄は俺の大切な友達だ」
御門 晴樹(はるき)「お前のような存在を許すわけには いかないんだよ」
家族X(エックス)「私にとっても亜梨澄は大切な家族です」
家族X(エックス)「あなたが私と彼女を引き裂こうとするなら 私にも考えがあります!」
御門 晴樹(はるき)(こいつ、戦う気か!)
御門 晴樹(はるき)(特級の札を三枚も持ってきたが、 足りるか・・・っ)

〇大きな木のある校舎
木寺 亜梨澄(ありす)「もー、エックスってば 先に帰っちゃったのかなー」
家族X(エックス)「亜梨澄ー!」
木寺 亜梨澄(ありす)「あ、エックス」
家族X(エックス)「すみません、少し先生とお話してたもので」
木寺 亜梨澄(ありす)「え、何? 何かヤバい話?」
家族X(エックス)「いえ、世間話程度ですよ」
木寺 亜梨澄(ありす)「あ、そう。なら良かった」
木寺 亜梨澄(ありす)「お腹すいたねー」
家族X(エックス)「今日は豚の西京漬けの予定です」
木寺 亜梨澄(ありす)「本当? 楽しみー!」
御門 晴樹(はるき)(・・・)

〇高い屋上
家族X(エックス)「ゆ、許してくださいー!」
御門 晴樹(はるき)(土下座?)
御門 晴樹(はるき)「いや、そんなことされても 許しませんけど」
家族X(エックス)「あ、そうですか。 では、いかようにもなさってください」
御門 晴樹(はるき)「今度は開き直りか」
家族X(エックス)「ええ、だってあなたは陰陽道で 私を払うつもりでしょう?」
家族X(エックス)「私にはその類のもの、効きませんよ」
御門 晴樹(はるき)「何故俺の家業を?」
家族X(エックス)「簡単な話です。 私とあなたは元は知り合いみたいですから」
御門 晴樹(はるき)「えっ!?」
家族X(エックス)「実は、私は・・・」

〇大きな木のある校舎
御門 晴樹(はるき)「・・・」
御門 晴樹(はるき)(『本人だと認識出来ない代わりに  家族の一員でいられるようにする』)
御門 晴樹(はるき)「そういう魔法の取引・・・か。 確かに俺たちとは別の次元だ」
御門 晴樹(はるき)(いずれにしても悲しいな)

〇通学路
御門 晴樹(はるき)(家族として側にいるのに 元の自分と認識してもらえないなんてな)
木寺 亜梨澄(ありす)「もう日が落ちるのが早いね」
家族X(エックス)「秋ですからね。 これからもっと早くなりますよ」
木寺 亜梨澄(ありす)「あ! 見て見て、エックス!」

〇海岸線の道路
木寺 亜梨澄(ありす)「ここからちょうど夕日が見え──」

〇通学路

〇海岸線の道路
木寺 亜梨澄(ありす)「・・・」
家族X(エックス)「どうしました? 亜梨澄?」
木寺 亜梨澄(ありす)「今、日が落ちる瞬間、エックスが・・・」
家族X(エックス)「私が?」
木寺 亜梨澄(ありす)「あ、ううん。何でもない」
木寺 亜梨澄(ありす)「何か違って見えた気がするんだけど」
木寺 亜梨澄(ありす)「何でだろ、一瞬だったから忘れちゃった」
木寺 亜梨澄(ありす)「寒くなる前に帰ろ」
家族X(エックス)(私の正体、ですか・・・)
家族X(エックス)(今となっては私自身、思い出せませんが)

〇おしゃれなリビングダイニング
家族X(エックス)「あなた達家族と再び時を 同じく過ごすこと・・・」
家族X(エックス)「それだけで、私は満足なんです」

〇海岸線の道路
家族X(エックス)「さて、帰りますか。 夕飯の仕上げも残ってますしね」
家族X(エックス)「待ってください、亜梨澄 私が焼かないと肉が焦げますよ!」

〇おしゃれなリビングダイニング
木寺 亜梨澄(ありす)(私の家には六人の家族がいる)
木寺 亜梨澄(ありす)(母と兄と弟)
木寺 亜梨澄(ありす)(お爺ちゃんにお婆ちゃん そして・・・)
木寺 亜梨澄(ありす)(エックス)
木寺 亜梨澄(ありす)「みんな大好きで大切な私の家族だ」
家族X(エックス)「亜梨澄、出来ましたよ! 豚の西京漬けです」
木寺 亜梨澄(ありす)「わあ! いただきます!」
  家族X(エックス)
  
  終わり

コメント

  • エックスー!!!!!

    ぜったい私もこのエックスの正体がわかるところまで行ったら泣いてしまうことでしょう・・・

    心温まるヒューマンで、新しく、とても素敵なお話ですね✨😊

    エックスの感情で色が変わるの面白いですね✨😊なんか可愛らしく見えました✨エックス・・・✨

  • 色が変わることで感情が読める設定が良いですね!
    場違いな存在になった経緯などが徐々に明らかになっていって、最後は元の姿に……なんて想像してしまいました。
    ミステリー要素もあって続きが気になります。
    予選通過おめでとうございます🎉

  • 今までの家族の記憶・歴史から自分が消える代わりに、家族の一員として存続できる。読む前は「X=宇宙人みたいな謎の存在」を代入していく話かと思いましたが、もっと切ない存在でしたね…。

    これ、一家によっては自分以外の家族がX、Y、Zだらけの家もあるんでしょうか。
    想像がかき立てられます☺︎

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